ネット記事を削除するなら!個人情報や誹謗中傷、犯罪歴が公開されたときの対処法

インターネットが生活の一部となった今、誰もが気軽に情報を発信できるようになりました。とても便利ですし、たくさんの人がコミュニケーションツールや情報発信ができるという良い面もあります。

ネット上に掲載された個人情報や誹謗中傷記事の削除方法は、大きく分けて3つあります。
(1)サイト管理者への任意の削除依頼
(2)弁護士を通じた削除交渉(情報流通プラットフォーム対処法に基づく送信防止措置請求を含む)
(3)裁判所への仮処分命令申立て(または訴訟)
プライバシー権侵害や名誉毀損に該当する情報は、法的根拠に基づいて削除を求めることが可能です。

本記事では、ネット上に掲載された個人情報や誹謗中傷記事、さらには過去の逮捕歴・犯罪歴などが公開された場合に、どのように削除を求めるべきか、専門家の視点から解説します。

目次

ネット記事が原因で引き起こされる被害の一例

ネット記事は一度公開されると不特定多数の人の目に触れるため、様々な被害を招きかねません。被害は精神的な苦痛にとどまらず、社会的信用や経済的損失、そしてストーカーなどの被害が出るケースもあり得ます。

被害の類型具体例法的根拠
個人情報の暴露住所・氏名・勤務先・電話番号の晒し、画像からの自宅特定個人情報保護法、プライバシー権
プライバシー権の侵害交際歴・病歴・家族関係等の私的情報の公開民法709条・710条(不法行為)
誹謗中傷犯罪行為の虚偽投稿、容姿・能力の侮辱名誉毀損罪(刑法230条)、侮辱罪(刑法231条)
逮捕歴・犯罪歴の公開実名報道記事の残存、前科の晒しプライバシー権、忘れられる権利

個人情報の暴露

著名人ではなく一般人であっても、ネット上で住所・氏名・勤務先といった情報が晒されると深刻なリスクを負うことになります。故意に住所を晒されるケースもありますし、友人や知人がうっかり投稿した画像から自宅を特定されて嫌がらせを受ける可能性もあります。

プライバシー権の侵害

ネット上にプライバシーに関わる情報が公開されることで、被害を受けるというケースもあります。自宅の住所や携帯電話番号が投稿されたり、過去の交際歴等が投稿されると、インターネットは全世界中に公開され、際限なく拡散されていく性質を有することから、甚大な被害を被ることがあります。

プライバシー権侵害の成立要件

プライバシー権侵害が成立するためには、一般的には、以下の3つの要件を満たす必要があります(東京地裁昭和39年9月28日判決「宴のあと事件」)。

要件内容具体例
私生活上の事実(またはそれらしい情報)公開された情報が私生活に関する事実であるか、一般人にそう受け取られるもの住所・病歴・交際歴・前科・収入等
非公知性一般に知られていない情報であること本人が積極的に公開していない個人情報
公開による不快感公開されることで本人が不快に感じることが一般的であること一般人の感受性を基準に判断

誹謗中傷

ネットでよく見られるのが、誹謗中傷です。無実であるにも関わらず犯罪行為を行ったという投稿や容姿・能力を侮辱する投稿が、掲示板サイトやSNSには無数に書き込まれています。

逮捕歴や犯罪歴の公開

過去の逮捕歴や前科が公開された場合も、実生活に悪影響を及ぼす可能性があります。逮捕歴があることが公になると、就職や婚姻、人間関係などあらゆる場面で影響を受けることとなります。逮捕から一定の期間を経過しても残っている報道等については、違法性が認められ、削除が認められることもあります。

ネット記事で公開された情報は削除できることもある

インターネット上で公開された情報は、名誉やプライバシーを侵害する内容であれば、削除が認められることがあります。たとえ投稿者が「正当なものを書いただけ」と主張しても、名誉やプライバシー等の権利を侵害している場合には、削除が認められることがあります。

公開直後は小さな問題に見えても、放置することで想像以上の不利益を被るケースは珍しくありません。そのため「削除できる可能性がある」という認識を持ち、できる限り早めに行動することが重要です。

ネット記事を早めに削除すべき理由

ネットに公開された情報は、瞬時に不特定多数に拡散されてしまう恐れがあります。SNSや掲示板などに転載されると、元記事を削除しても二次拡散を止めることは非常に困難です。

ネット記事の問題点は、一度認知されると消えないことにあります。被害を最小限に抑えるには、初動での素早い削除対応が必要です。

順番対応内容ポイント
1証拠を保全するスクリーンショット・URL・投稿日時を記録。PDF保存も有効
2サイト管理者に削除依頼問い合わせフォームから権利侵害の内容を具体的に記載
3警察に相談ストーカー被害や脅迫がある場合は110番。サイバー犯罪相談窓口も活用
4弁護士に相談削除交渉・仮処分・発信者情報開示請求・損害賠償請求の方針を決定

ネットに書かれた情報を削除するためには

ネット記事を削除するには大きく分けて、①サイト管理者との交渉による削除②裁判所の命令の2種類です。それぞれの特徴と注意点を理解しておくことが大切です。

削除方法期間の目安強制力適したケース
自分で削除依頼数日〜数週間なし利用規約違反が明確な場合
弁護士による任意削除交渉1〜4週間なし(法的根拠の提示で説得力UP)権利侵害が明確だが対応されない場合
送信防止措置請求約2週間(7日間の意見照会期間あり)情報流通プラットフォーム対処法に基づく手続きプロバイダやサイト管理者を通じた削除
仮処分命令申立て2〜4ヶ月あり(裁判所命令)任意交渉で削除されない場合
訴訟(本案件訴訟)半年〜1年以上あり(判決)損害賠償も同時に請求する場合

サイトの問い合わせフォームから削除依頼できる

多くのサイトや掲示板には、問い合わせフォームや削除依頼フォームが設置されています。記事のURL・問題箇所・権利侵害の内容といった削除の理由を明記して依頼を行います。

ただし、サイト運営者は膨大な数の削除依頼を受けており、軽微な理由や法的根拠が乏しい依頼は却下されることも多く、申請内容をできるだけ具体的に記載することが重要です。

主要プラットフォーム別の削除依頼先

プラットフォーム削除依頼の方法ポイント
Google検索結果Googleの「結果の削除」ツール(個人情報削除リクエスト)検索結果からの削除であり、元記事は残る。元記事の削除は別途必要
X(旧Twitter)ヘルプセンターから「プライバシー侵害の報告」即時対応がされるケースは比較的少ない
Instagramアプリ内の「報告」機能またはヘルプセンタープライバシー侵害・なりすましは専用フォームあり
5ちゃんねる(5ch)削除依頼板からスレッド形式で依頼弁護士経由でないと対応されにくいケースが多い
ニュースサイト各社の問い合わせフォームまたは内容証明郵便不起訴・無罪の場合は削除に応じやすい傾向
転載ブログ・まとめサイトサーバー管理会社への削除依頼(Whois情報で特定)直接の管理者に連絡できない場合はサーバー会社経由

本人が対応する場合

被害者自身が運営会社に対して削除依頼を行うことができます。この場合は、まず冷静に事情を説明することがポイントです。感情的な表現や脅迫的な文面は逆効果です。

とはいえ、本人対応ではやはり冷静ではいられないケースもありますし、法的に説明できずに削除依頼を却下されてしまうこともあります。

弁護士が対応する場合

弁護士に依頼すると、法的根拠を示しながら冷静に削除要求の根拠について主張するため、サイト運営者が適切な対応をしてくれる可能性が高まる場合があります。

弁護士に依頼した場合、以下のような法的な措置を行うことが考えられます。

① 削除交渉
弁護士からサイト管理者、サーバー会社等に権利侵害を説明し、削除交渉をしていきます。
ただし、この方法では、あくまでサイト管理者等の任意による削除を求めるものであり、必ずしも削除が認められるとは限りません。

② 裁判所への申立て
投稿削除を求める裁判所への申立てには、仮処分命令申立て、または訴訟提起を行うことが多いです。
仮処分命令申立ては訴訟提起するよりも手続きが通常は早く進み、暫定的に投稿削除を命ずるものではありますが、多くのサイト管理者は、裁判所の命令に従い削除し、その後、投稿を復活させることはないため、通常は投稿削除を求めるには、仮処分命令申立てを行うことが有効です。

しかし、仮処分命令申立ては訴訟提起するよりも手続きが通常は早く進み、多くのサイト管理者は裁判所の命令に従い削除します。

2024年に施行された「情報流通プラットフォーム対処法」(旧プロバイダ責任制限法の改正法)により、大規模プラットフォーム事業者には、権利侵害情報に対する迅速な対応体制の整備が義務付けられました。この法改正により、被害者からの削除請求に対する対応がより迅速になることが期待されています。

ネット記事の削除依頼は弁護士に依頼するメリットが大きい

ネット記事を削除する際には、自分で削除依頼を試みることも可能ですが、弁護士に依頼することで得られるメリットもあります。専門的な知識と法的な強制力を背景に、解決までのスピードと確実性を高められるため、深刻な被害に悩む人にとっては最も安心できる選択肢といえます。

法的根拠を示して削除依頼ができる

弁護士が法的根拠を明示して削除を求めることにより、サイト管理者等が投稿削除に応じやすくなります。

最適な方法の選択

弁護士であれば、該当の投稿について、最適な方法を選択し、削除を進めることが可能です。任意での削除にはほとんど応じないサイトや、一見連絡手段の分からないサイト等もあります。

精神的なメリット

弁護士に依頼することで精神的な負担の軽減にもつながるかもしれません。ネットトラブルは被害者にとって大きなストレスとなり、日常生活や仕事に支障を及ぼすことも少なくないでしょう。
弁護士に任せれば、専門家が冷静かつ最適な対応を進めてくれるため、被害者は心理的に安心感を得ながら解決を待つことができます。

ネット記事を削除する際は専門家に相談を

ネット上に掲載された個人情報の晒しや誹謗中傷記事は、プライバシー権侵害や名誉毀損に該当する場合、法的根拠に基づいて削除を求めることが可能です。削除方法には、サイト管理者への任意の削除依頼、弁護士を通じた削除交渉(情報流通プラットフォーム対処法に基づく送信防止措置請求を含む)、裁判所への仮処分命令申立て(または訴訟)の3段階があります。

ネット記事の削除は情報が拡散する前のスピード対応が重要です。自分での対応が難しい場合や、サイト管理者が削除に応じない場合は、インターネットトラブルに強い弁護士に相談することで、法的根拠を示した説得力のある削除請求が可能になります。

弁護士法人アークレスト法律事務所では、掲示板の書き込みや各種サイト・SNSの削除、発信者情報開示請求、損害賠償請求について豊富な実績があります。お困りの方はお気軽にご相談ください。

【参考】総務省「違法・有害情報相談センター」では、ネット上の権利侵害情報に関する無料相談を受け付けています。また、法務省人権擁護局でもインターネットを利用した人権侵害に関する相談が可能です。

よくある質問(FAQ)

Q1. ネット記事の削除を求めるにはどうすればいい?

A. ネット記事の削除方法は3つあります。情報の拡散を防ぐため、早めの対応が重要です。
(1)サイト管理者への任意の削除依頼(問い合わせフォーム等から権利侵害の内容を具体的に記載)
(2)弁護士を通じた削除交渉(法的根拠を示した説得力のある請求)
(3)裁判所への仮処分命令申立てまたは訴訟(法的強制力あり)

Q2. 個人情報を晒された場合、削除してもらえる?

A. はい、プライバシー権侵害に該当する場合は削除を求めることが可能です。プライバシー権侵害が成立するには、一般に、公表内容が3要件を満たす必要があります。
(1)私生活上の事実であること
(2)一般に知られていない情報であること
(3)公開されることで本人が不快に感じることが一般的であること

Q3. プライバシー権侵害とはどのような行為か?

A. プライバシー権侵害とは、本人の同意なく私生活上の事実を公開する行為です。具体的には、住所・電話番号・勤務先の晒し、病歴・交際歴の公開、犯罪歴・前科の暴露などが該当します。プライバシー権は憲法13条の幸福追求権を根拠とする人格権の一つであり、プライバシー権侵害により損害が生じた場合、民法709条に基づく損害賠償請求も可能です。

Q5. Googleの検索結果から自分の情報を消すことはできる?

A. Googleの「結果の削除」ツールから個人情報削除リクエストを送信できます。ただし、これはGoogleの検索結果からの削除であり、元記事自体は残ります。元記事の削除は、サイト管理者への削除依頼または弁護士を通じた法的手続きが別途必要です。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。

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