リベンジポルノは警察が動いてくれる?証拠の集め方や対処法を解説

リベンジポルノの被害に遭ったとき、相談そのものを躊躇してしまうこともありますし、その上「警察で動いてくれるのか」「どんな証拠があれば動いてもらえるのか」と不安になる方もいらっしゃいます。

ですが、リベンジポルノは私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(以下「リベンジポルノ防止法」といいます。)に触れる可能性があるだけでなく、脅迫や名誉毀損など別の犯罪に発展することもあり、警察に相談する意味は十分あります。

この記事では、リベンジポルノとは何か、そして、必要な証拠、警察に相談した後の流れ、削除申請や慰謝料請求について解説します。

目次

リベンジポルノとは?

リベンジポルノという言葉は聞いたことがあるという方も多いでしょう。
ですが、具体的にどのような行為がリベンジポルノに該当するのでしょうか。
まず、リベンジポルノとはどのような行為や状態のことなのかを解説します。

リベンジポルノは具体的にどんなもの?

リベンジポルノ防止法では、「私事性的画像記録」とは、以下のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像に係る電磁的記録、その他の記録であって、第三者が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾し、または撮影したものを除いたものをいうとされています。

①性交または性交類似行為に係る人の姿態
②他人が人の性器等を触る行為または人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって、性欲を興奮させまたは刺激するもの
③衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

この私事性的画像記録を撮影対象者が特定できる方法で、SNS、掲示板、動画サイトなどで公開すると、リベンジポルノ防止法に違反する可能性があります。

具体的には、撮影対象者を特定できる方法で、性交や性交類似行為の場面、性器等への接触を含む姿態、または裸の状態で性的部位が強調された姿態などを記録した画像や動画などを公開すると、リベンジポルノ防止法に違反する可能性があります。
なお、リベンジポルノ防止法は、原則として故意がある場合に成立します。

つまり、単に「動画や画像を保管している」というだけでなくインターネットなどで公開するとリベンジポルノ防止法に違反する可能性があります。
また、その際の行為態様等によると、名誉毀損、脅迫、ストーカー防止法違反など別の犯罪として問題になることがあります。

加害者は第三者というケースもある

リベンジポルノという言葉からは元恋人や元配偶者を想像しがちです。確かに、元交際相手が加害者になるケースが最も多いかもしれません。
警察庁は、令和5年中の統計で、加害者との関係として「交際相手(元交際相手を含む。)」が48.6%である一方、「インターネット上のみの関係にある知人・友人」も21.1%あると公表しています。

マッチングアプリなどで知り合った相手に性的な画像をうっかり送ってしまって被害に遭うケースもありますし、元交際相手等から画像を受け取った第三者がさらに拡散するケースもあります。

リベンジポルノは警察が動いてくれる?

リベンジポルノの被害に遭ったときに、警察は動いてくれるでしょうか。
警察では、リベンジポルノの被害を相談できます。
ですが、警察が動いてくれるかどうかは、被害状況、証拠の有無、行為の違法性、緊急性などを踏まえて判断されます。

リベンジポルノは犯罪として扱われる可能性がある

リベンジポルノは犯罪に該当する可能性がある行為です。

リベンジポルノ防止法では、私事性的画像記録を、撮影対象者の同意なく撮影対象者と特定できる方法で不特定または多数の者が見られる状態に置く行為などを処罰対象としています。
そのため、該当する画像や動画がネット上に投稿された、送信された、拡散目的で渡されたといった場合には、警察が動く余地があります。

警察が動きやすいケースは?

警察が動きやすいのは、まず画像や投稿が確認できる場合です。
投稿画面のプリントアウト、URL、投稿日時、アカウント名、相手とのやり取りなどが揃っていると、被害の状況が伝わりやすくなります。

また、拡散が現在も続いている、加害者から脅しがある、職場や家族への送付をほのめかされている、相手が待ち伏せや付きまといをしているといった事情がある場合は、被害が深刻であると判断されるでしょう。

リベンジポルノ防止法以外に問題となる可能性がある犯罪

リベンジポルノの事案では、リベンジポルノ防止法だけでなく、別の犯罪に問われる可能性もあります。

たとえば、「家族に送る」などのメッセージがあれば脅迫になる可能性がありますし、執拗な連絡やつきまといがあればストーカーとして扱われる可能性もあります。

リベンジポルノで被害届を出す前に知っておきたいこと

リベンジポルノの被害を警察に相談するときには、手続きの違いや優先順位を把握しておくと動きやすくなります。

被害届を出すときに知っておきたいことをまとめました。

被害届と告訴の違い

まず、被害届と告訴の違いについて理解しましょう。

被害届とは警察に対して「このような被害がありました」と被害を申告する手続きです。
一方、告訴は、犯罪事実を申告したうえで処罰を求める意思表示まで含む手続です。

まずは被害届や相談から始まり、事案によって告訴を検討する流れになるケースもあります。

緊急性が高い場合に優先すべき対応

加害者が今まさに画像を拡散している、会いに来ると脅している、自宅や勤務先を知っているという場合は、証拠整理や削除依頼より先に安全確保を優先すべきです。

緊急の危険があるなら110番通報、緊急ではないが警察に相談したい場合は最寄りの警察署や警察相談専用電話「#9110」に連絡しましょう。

必ず逮捕されるわけではない

リベンジポルノで被害届を出したとしても、必ず警察が動くとは限りませんし、加害者が必ず逮捕されるとは限りません。
なぜなら、逮捕は「被害申告があったから自動的に行われる手続」ではなく、現行犯逮捕等を除き、裁判官の逮捕状が必要であり、逮捕の必要性がないときには認められません。

つまり、逮捕は刑罰ではなくあくまでも捜査の手続きのひとつなのです。

リベンジポルノの被害届に必要な証拠とは

リベンジポルノで被害届を出すときは「被害に遭った」「相手に腹をたてている」と伝えるだけでなく、どのような画像や動画が、どこで、いつ、どのように公開・送信されたのかを示せる資料が重要になります。

どのような証拠を残しておくべきかについて解説します。

プリントアウト・URL・投稿日時など残すべき証拠

リベンジポルノの被害に遭ったら、画像や動画が実際に公開・送信されていることが分かる証拠を残しましょう。

たとえば、SNSや掲示板の投稿画面全体をプリントアウトし、アカウント名、投稿日時、コメント、URL、サイト名などを記録してください。

また、相手から直接送られてきた場合や、脅迫を受けている場合には、メッセージの内容、送信画面、送信日時、送信者名などをやり取りの前後が分かる状態で保存しておくことが望ましいです。

可能であれば、PDFファイルや、画面録画なども残しておくと安心です。

DM・LINE・メール・脅し文句は重要な証拠

画像や動画が投稿されていなくても、別の犯罪に該当する可能性があります。

DM、LINE、メール、SMSなどで「別れたら画像を晒す」「言うことを聞かないなら送る」「もうネットに載せた」などの発言がある場合は、内容を記録しましょう。

このような脅しは脅迫の要素があることを示す事情にもなります。

証拠を集めるときの注意点とNG行動

証拠を集めるうえで注意したいポイントもあります。まず、加害者を刺激しすぎないことです。

証拠を取ろうとして感情的に問い詰めたり「警察に行くから覚えておけ」などと強く挑発したりすると、相手が逆上して投稿を増やしたり、別の場所に拡散したりするおそれがあります。
特に、元交際相手や元配偶者が相手の場合は、感情的になりやすいため注意しましょう。

また、証拠を残そうとして自分で画像や動画を他人に転送したり、SNSで「こんな被害に遭った」と投稿して拡散したりするのも避けたほうがよいでしょう。

さらに、見たくないからと相手とのやり取りを消してしまわないようにしましょう。不快で見返したくない内容であっても、それは重要な証拠です。
ブロックや削除をする前に、まず画面保存やプリントアウトを取っておくことが大切です。

被害届を出した後はどうなる?逮捕までの流れ

リベンジポルノの被害届を出した後、すぐに逮捕などの解りやすい形になるとは限りません。
ここでは、被害届を出した後の流れについて解説します。

警察による捜査・投稿者特定

警察は、リベンジポルノの加害者を特定するために捜査をすることがあります。

被害者が提出したプリントアウト、URL、メッセージ履歴、投稿日時などをもとに、実際にどのような投稿や送信があったのかを確認します。そして、ネット上の投稿については、プロバイダ等の事業者と連携して対応することもあるかもしれません。

こうした捜査の詳細については原則として公開されることはありません。
この捜査のあとで、立件するのかといった判断をします。

送検・起訴・不起訴とは

送検とは、警察が捜査を進めた後に、検察に送ることです。

その後、検察官が記録や証拠を確認し、起訴するかどうかを判断します。
検察官は、被疑者の処罰を求めるか否か、つまり起訴するか不起訴にするかを決定する権限を持っています。

画像や動画を早く消したいときの対処法

リベンジポルノの被害に遭った場合は、警察への相談や被害届とは別に、画像や動画の削除について対応をする必要があります。

警察への相談と削除申請は切り分けず考えることが大切です。

サイト運営者・SNS運営会社への削除申請

画像や動画がSNS、掲示板、動画サイトなどに掲載されている場合は、まずそのサービスの問い合わせ窓口や削除申請フォームを確認して手続きをしましょう。

削除依頼はできるだけ早くするほうが、今後の被害の拡大を最小限に食い止めることができます。

加害者が元彼・元配偶者・知人だった場合の注意点

リベンジポルノの被害に遭った場合には、注意すべき点もあります。
中には、ストーカー化したり、嫌がらせに発展するケースもあるため慎重な行動が求められます。

ストーカー化や嫌がらせ

画像や動画を公開した後に、リベンジポルノの加害者からのメッセージ送信や、無言電話、待ち伏せ、勤務先や家族への連絡などが始まることもあります。

つまり、リベンジポルノが、ストーカーや脅迫、嫌がらせに発展する可能性があるということです。

別れ話の後に執着が強くなった、再交際を求めてくる、職場や自宅を知っている、家族に接触しようとしているといった事情がある場合はすぐに警察に相談しましょう。

リベンジポルノの被害届とあわせて検討したい法的手段は?
弁護士への相談はメリットが大きい

リベンジポルノでは、警察への被害届のほかにも検討できる法的な手段があります。
ここでは、慰謝料請求について、そして、弁護士に相談するメリットについて解説します。

慰謝料請求

性的画像や動画を同意なく公開・拡散された場合、精神的苦痛に対する慰謝料請求を検討できます。

リベンジポルノは、単なる嫌がらせではなく精神的苦痛を伴う行為であり、民法上の不法行為に該当する可能性があります。

どの程度の慰謝料請求ができるかは被害の状況によって異なりますので、専門家に相談しましょう。

弁護士に相談するメリット

リベンジポルノは性的な内容を含むため第三者に相談しづらいと感じる人も少なくありません。
また、弁護士に相談するためには費用がかかるため躊躇してしまう方もいらっしゃるでしょう。

まず、どの弁護士に相談するかは自由に決めることができます。
自分が「この人になら話してもいい」と思える相手を選ぶことができます。
また、弁護士には守秘義務があるため相談内容が漏れることはありません。

弁護士に依頼することで、刑事と民事の双方での法的な手段を検討できますし、弁護士は本人に代理して削除依頼や開示請求などを行うことができます。

リベンジポルノの被害に遭って精神的に辛いときに、弁護士の存在は大きな支えになるでしょう。

まとめ

リベンジポルノは犯罪に該当する可能性がある行為ですので、警察に相談して被害届を提出することができます。

被害届の提出やその後の対応のためにも、証拠を保全することが大切です。
リベンジポルノは投稿の内容が短時間で広がってしまう可能性があるため、迅速な対応が重要です。

精神的なストレスを減らすためにも、そして、合理的で最適な対応をするためにも弁護士に依頼するメリットは小さくありません。
弁護士法人アークレスト法律事務所ではリベンジポルノの被害に遭ってしまった場合の相談をお受けしています。
ひとりで抱え込まずにご相談ください。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。

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