トレントの違法ダウンロードはバレる?IPアドレス特定の仕組みと示談金相場|弁護士解説

プライバシー権の侵害とは
目次

【結論】トレントの違法ダウンロードはIPアドレスから高確率で特定される


・接続ログの記録:トレント利用時のIPアドレスは自動的に記録されます
・権利者の監視ツール:著作権者は専門ツールで違法ダウンロードを常時監視しています
・プロバイダへの開示請求:IPアドレスから契約者情報が法的手続きで開示されます 。

トレントを利用したことにより、権利者からプロバイダへの「発信者情報開示請求」が行われ、損害賠償請求に発展するケースもあります。この記事では、トレントの利用に関する法的リスクと、開示請求を受けたときの正しい対処法、示談金の相場について、弁護士目線で解説します。

IPアドレスで違法ダウンロードは特定されるのか?

結論から言うと、トレント等で違法ダウンロードを行った場合、IPアドレスから特定される可能性があります。IPアドレス単体では氏名や住所は判明しませんが、著作権者が発信者情報開示請求を行うことで、プロバイダ経由で契約者情報が開示され、個人が特定されます。特にトレントはダウンロードと同時にアップロードも行われるため、ログが残りやすく、特定されやすいのが特徴です。

以下では、トレントの仕組み、違法ダウンロードが特定される流れ、開示請求への対処法、示談金の相場について詳しく解説します。

IPアドレスから違法ダウンロード者が特定される仕組み

レピュテーションリスクが高まる要因と事例

トレントの仕組みと違法性について整理しておきましょう。

IPアドレスだけでわかる情報とわからない情報

IPアドレスとは、インターネットに接続する機器に割り当てられる、インターネット上の住所のようなものです。IPアドレスだけでは、利用しているプロバイダとおおまかな地域(都道府県レベル)までしか判明しません。氏名・住所・電話番号などの個人情報は、IPアドレス単体では特定できません。

発信者情報開示請求で個人が特定される流れ

しかし、著作権者が法的手続き(発信者情報開示請求)を行うことで、IPアドレスをもとにプロバイダから契約者の氏名・住所等が開示され、個人が特定されます。2022年10月に施行された発信者情報開示命令制度により、従来は2段階必要だった手続きが1つの手続きで完了できるようになり、特定のスピードが速まっています。

トレント利用が特定されやすい理由

トレント(BitTorrent)は、ファイルを分割して複数のユーザー間でやり取りするP2P技術の一種です。ダウンロードと同時にアップロードも行われるため、著作権者のモニタリングツールによりIPアドレスが記録されやすく、他のダウンロード方法と比べて特定されるリスクが格段に高いのが特徴です。

違法ダウンロードがバレる仕組みと確率

トレントの違法ダウンロードは、IPアドレスの記録により高確率で特定可能です。以下、技術的な仕組みと開示請求の実態を解説します。

トレント(BitTorrent)とは、ファイルを分割して複数のユーザー間でやり取りするP2P(ピア・ツー・ピア)技術の一種です。映画ファイルをダウンロードする場合、ファイルを細分化した「ピース」を複数のユーザーからダウンロードし、元の完全なファイルを完成させます。この際、自身もダウンロード済みのピースを他のユーザーにアップロードします。

この方式は、配信元のサーバーに大きな負荷をかけることなく大容量ファイルをやり取りできるため、合法的なソフトウェア配布にも利用されてきました。

しかし、映画・音楽・アニメなどの著作物の視聴に利用されるケースが非常に多く、問題となっています。

著作権で保護されているファイルのダウンロード(アップロード)は違法

著作権で保護されているコンテンツを、権利者の許諾なくアップロード・ダウンロードした場合は著作権法違反となることがあります。
特にトレントではダウンロードするのみでなく、他のユーザーの求めに応じて、自身が保有するピースをアップロードし得る状態に置かれることから、著作権を侵害していることがあります。

ただし、トレントの利用そのものが違法というわけではありません。例えば、著作権がないファイルや自らのオリジナルのコンテンツなどであれば、トレントを使ってファイルをやりとりしても通常は問題ないといえます。

違法となるのは、著作権で保護されているコンテンツをダウンロード(アップロード)した場合です。

違法ダウンロードのリスク

違法ダウンロードには法的なリスクがあります。

具体的には、損害賠償請求(民事)に加え、悪質な場合には刑事責任を追及されることもあります(著作権法第119条第3項:2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金)。「このくらいはバレないだろう」と軽い気持ちで利用した結果、開示請求を経て高額な請求が届くケースもあり得ます。なお、違法ダウンロードは親告罪であり、著作権者の告訴がなければ刑事手続きは開始されませんが、民事の損害賠償請求は別途行われる可能性があります。

トレントの利用で開示請求されたら

トレントを利用している人に対して、開示請求が行われるということは、すでに著作権者が法的手続きの入口に立っている状態と考えられます。

「まさか、そんな大事にならないだろう」と軽く考えず、落ち着いて正しい対応をとることが重要になります。

開示請求とは

開示請求とは、著作権を侵害された権利者が、侵害を行ったとみられる者を特定するためにプロバイダなどに対して「情報の開示」を求めるという法的手続きです。

正式には「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」(通称:情報流通プラットフォーム対処法)に基づく手続きで、一定の要件を満たせば発信者情報の開示が認められます。

開示請求の流れ

違法ダウンロードがIPアドレスから特定され、開示請求に至るまでの流れは以下のとおりです。開示請求については、次のような流れで進んでいきます。

ステップ手続き詳細
Step 1権利者によるIPアドレス特定著作権者がトレントのログからIPアドレスと日時を特定
Step 2プロバイダへの開示請求IPアドレスから判明したプロバイダに対して発信者情報の開示を請求
Step 3意見照会書の送付プロバイダから契約者に意見照会書が届く。開示に応じるか拒否するかを回答
Step 4個人情報の開示開示が認められると氏名・住所・電話番号等が著作権者に通知される
Step 5損害賠償請求・示談交渉特定後、損害賠償請求や示談交渉が開始。応じない場合は訴訟に発展

※上記の番号付きリストは冗長なため、上の表に集約。「拒否した場合」「刑事事件の可能性」は下記で補足。

なお、意見照会書の段階で開示を拒否しても、著作権者は発信者情報開示命令の申立てにより開示を求めることができます。また、民事の示談が成立しても、刑事告訴される可能性がゼロになるわけではありません。

できるだけ早期の段階で適切な対応をとることが大切です。

開示請求されるということは訴訟の可能性がある

プロバイダに対して開示請求が行われるということは、権利者が損害賠償請求や刑事告訴といった法的措置を視野に入れているという状態です。

開示請求は単なる警告ではなく、訴訟や示談請求への第一歩です。相手が誰なのかが解らなければ訴訟提起ができないため、開示請求をしているということです。

特に、悪質な利用形態であったことが判明したような場合には、賠償金が増額されることもあり得ますし、刑事告訴されるリスクもあります。

トレントの違法ダウンロードの示談金の相場

示談金の金額は一律ではありません。
示談は金額が法律で決まっているというものではなく、原則として当事者同士が合意すればよいのです。
利用の頻度などによって異なりますが、数十万円規模の請求がなされるケースも珍しくありません。

トレントの違法ダウンロードの示談金の相場

状況示談金の目安リスク度
映画・アニメ 1作品10万円~40万円
音楽アルバム 1作品10万円~30万円
複数作品(3〜5作品)30万円~100万円
大量ダウンロード(10作品以上)100万円以上 非常に高い
悪質な場合(営利目的・継続的)数百万円+刑事告訴非常に高い

示談金に影響する主な要素としては、ダウンロードした作品の数、作品の商業的価値、ダウンロード期間の長さ、アップロードの有無(トレントの場合は原則あり)、過去の違法ダウンロード歴などが挙げられます。

示談金が変動する要因

示談金は主に以下の5つの要因で変動します。自身の状況がどこに該当するかを把握することで、想定される金額や減額の可能性を判断できます。

① 作品の種類・商業的価値

人気作品や商業コンテンツほど高額になる傾向があります。公開直後の映画や売上の大きいアーティストの楽曲は、相場の上限に近い金額が設定されがちです。

② ダウンロード数

複数作品をダウンロードした場合、累積で請求されます。3〜5作品で30万円〜100万円、10作品以上で100万円以上が目安です。

③ 利用態様(期間・アップロードの有無・営利目的)

ダウンロード期間が長いほど悪質と判断されます。トレントは仕組み上アップロードも同時に行われるため、通常のダウンロードより悪質性が高く評価されます。営利目的や継続的な利用は大幅な増額要因となります。

④ 過去の違法ダウンロード歴

再犯は悪質性が極めて高いと判断され、通常の2〜3倍の金額になることもあります

⑤ 示談交渉の経緯

早期に誠実な対応をすれば減額の余地があります。意見照会書を受け取った段階で速やかに弁護士に相談することが、減額交渉の前提条件となります。反対に、連絡を無視したり虚偽の説明をしたりすると悪質と判断され増額リスクにつながります。

開示請求された場合の対応

開示請求を受けた場合は、意見照会書の送付で開示請求されたことがわかります。ここで、どのように対応するか検討することになります。

使用を停止する

まず、意見照会書が届いた時点でまだ、トレントを利用している場合は ただちに使用を停止する必要があります。

ただし、証拠保全の観点から、問題のあるソフトウェアやファイルを不用意に削除することは避け、すぐに弁護士と相談しながら対応することが重要です。

弁護士に相談する

開示請求の意見照会書を受け取ったら、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが非常に重要です。開示請求に同意し、開示請求者と示談交渉するかなど、弁護士と相談しながら決めていくことが考えられます。

早い段階で専門家のサポートを受けることで、自分の法的な立場を整理して違法性があるのかを客観的に判断できます。弁護士に相談すれば、示談金額の交渉、不要なリスクの回避など、適切な対応をとることができます。

弁護士に相談するメリット

弁護士に依頼すると、お金がかかるというイメージがあるでしょう。確かに、弁護士への依頼費用は発生します。ですが、個人では難しい交渉や法的判断をスムーズに進めることが可能になるといったメリットがあります。また、弁護士に依頼することで、精神的な負担の軽減にもつながります。

示談交渉がスムーズにできる

弁護士は、依頼者本人の代わりに、相手方との示談交渉などを行うことができます。法律の知識がある弁護士が代理することで交渉がスムーズに進みやすくなります。

開示請求の対応や、示談交渉は法的な根拠や実務の知識がなければ適切な交渉が難しいため、弁護士の存在はとても大きなものとなります。弁護士が代理人となることで、相手からの請求額が適正かどうかを精査し、必要に応じて減額交渉を行うことも可能です。

また、丁寧に交渉を行うことで、こちら側に非がある状態であったとしてもできるだけリスクを避けて交渉ができます。

早期解決の可能性

弁護士が代理人となることで、示談交渉がスムーズになり早期解決できる可能性があります。

例えば、示談交渉を行うことで、訴訟に発展する前に問題を解決できるケースもあるのです。時間的・金銭的・精神的な負担を大幅に軽減することができます。また、将来的なリスクの再発防止策もアドバイスしてもらえるため、同じ問題を繰り返さないよう備えることができます。

トレントの事案に強い弁護士に相談する

トレントを利用していて開示請求を受けた場合は、当該事案に強い弁護士を選ぶことが大切です。

弁護士はすべて同じではなく、それぞれに得意分野があります。トレントの利用で開示請求を受けた場合は、実績がある弁護士を選びましょう。

アークレスト法律事務所には、トレント利用などの事案にも強い弁護士が在籍しています。意見照会書を受け取った場合は、まず気軽にご相談ください。状況を詳しく伺って適切なアドバイスをさせていただきます。

よくある質問(FAQ)

Q: IPアドレスから個人は特定できますか?

A: IPアドレス単体では個人の特定はできません。ただし、発信者情報開示請求を通じてプロバイダから契約者情報を取得することで、個人が特定されます。

Q: 違法ダウンロードは本当にバレますか?

A: バレる可能性があります。特にトレントの場合、ダウンロードと同時にアップロードも行われるため、著作権者がIPアドレスを特定し、開示請求を行うことで個人が特定されます。

Q: 開示請求の意見照会書が届いたらどうすればいいですか?

A: 放置や安易な拒否は避け、できるだけ早く弁護士に相談してください。開示に同意して示談交渉を行うか、拒否するかは専門家と相談の上決めるのが適切です。

Q: トレントでダウンロードしたファイルを削除すれば大丈夫ですか?

A: 削除しても、すでにログが記録されているため、開示請求が行われる可能性は消えません。ただし、削除は被害拡大の防止という点で重要です。

Q: 違法ダウンロードの公訴時効はありますか?

A: 違法ダウンロードの公訴時効は3年です(刑事訴訟法第250条第2項第6号)。ただし、民事の損害賠償請求権の消滅時効は別途存在します。

まとめ

トレントは、ちょっと使ってみただけのつもりでも著作権侵害のリスクが非常に高い行為です。

開示請求の意見照会書が届くということはすでに訴訟や損害賠償請求の準備が進んでいると考えるべきです。決して警告や嫌がらせではありません。

重要なのは、開示請求された場合は、できるだけ早期に対応し専門家に相談することです。弁護士に相談することで、法的リスクを最小限に抑え、できるだけ有利な形で解決に導くことができる可能性があります。
お悩みの方はお気軽に弁護士法人アークレスト法律事務所へお問い合わせください。守秘義務を厳守し、ご相談者様に寄り添った対応をお約束します。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。

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