【弁護士監修】リベンジポルノは何罪?犯罪になるケースと防止法・罰則を解説

リベンジポルノは、相手の性的な画像や動画を、本人の同意なく公開・拡散する行為を指します。元交際相手などとの個人的なトラブルの延長のように見えますが、実は、犯罪にあたる可能性がある重大な行為です。

とくに近年は、SNSや匿名掲示板などを通じて画像や動画が拡散されて、デジタルタトゥーとして残ってしまい完全な削除が難しくなるケースも少なくありません。そのため、リベンジポルノは「ただの嫌がらせ」では済まされない、深刻な人権侵害です。

この記事では、リベンジポルノとは何か、どのような場合に犯罪になるのか、成立しうる罪名、罰則、民事責任、被害に遭ったときの対処法、予防策について解説します。

目次

リベンジポルノとは?どんな行為が問題になるのか

リベンジポルノとは具体的にどんな行為なのでしょうか。単なるトラブルや嫌がらせではなく犯罪に該当する可能性があるリベンジポルノについて解説します。

リベンジポルノとは?

リベンジポルノとは、相手の性的な画像や動画を本人の同意なくインターネットなどで公開したり、第三者に送信したりする行為をいいます。

「リベンジ」という言葉が使われていますが、復讐ではなく、復縁の強要や嫌がらせ、口止め、金銭要求などその目的は様々です。どのような動機であったとしても、本人の意思に反して私的な性的画像を拡散することは問題です。

リベンジポルノにあたる可能性がある行為

リベンジポルノにあたる可能性がある行為としては、次のようなものがあります。

  • SNSに性的画像を投稿する
  • 掲示板や匿名サイトにアップする
  • 友人・職場・家族に送信する

どんな場合にリベンジポルノが犯罪になるか

リベンジポルノは具体的にどのような場合に犯罪に該当する可能性があるのでしょうか。

本人の同意なく公開・送信した場合

リベンジポルノが犯罪になる典型的なケースとしては、本人の同意なく性的画像や動画を公開・送信した場合があげられます。

ここで重要なのは、撮影時に本人の同意があったとしても、その後の公開や送信まで許されるわけではないという点です。つまり、本人の同意を得て撮影した画像や動画であっても、勝手にSNSへ投稿したり、知人に転送したりすれば、犯罪になる可能性があります。

つまり「もともと自分が持っていた画像だから自由に使っていい」ということではないのです。本人の性的なプライバシーに関わるものである以上、取り扱いには慎重さが求められます。

顔や氏名などから本人が特定できる場合

リベンジポルノでは、そこから本人が特定できるかどうかも重要なポイントになります。

顔や氏名がわかる場合はもちろんですが、勤務先、学校名、SNSアカウント、声、特徴的な持ち物などから本人がわかる場合も問題になります。

もちろん、個人を特定できないから勝手に公開して良いということではありません。

リベンジポルノは犯罪になる可能性がある

リベンジポルノは犯罪に該当する可能性がある重大な行為です。ちょっとした嫌がらせやいたずらでは済まされませんし、場合によっては本人を長期間苦しめることになる悪質な行為です。

リベンジポルノは犯罪になる可能性がある

リベンジポルノは犯罪になる可能性がある行為です。

リベンジポルノ防止法という法律がありますが、それだけでなく、行為の内容に応じて、わいせつ物頒布罪、脅迫罪、強要罪、名誉毀損罪、侮辱罪、児童ポルノ禁止法違反などに該当する可能性もあります。

つまり、リベンジポルノは複数の犯罪が重なりうる行為なのです。画像の内容、公開方法、送信先、加害者の発言、被害者の年齢などによって、どの犯罪に該当するかが変わってきます。

本人が撮影に同意していても犯罪になることがある

ときに「本人が自分で送ってきた画像なら問題ない」「撮影に同意していたんだからいい」という主張がありますが、これは間違いです。

そもそも、撮影への同意と、第三者への公開・拡散への同意はまったく別のものです。交際しているときや夫婦であったときなど、特別な関係の相手への信頼関係のもとで共有された画像を、勝手に公開したり、他人に見せたりする行為はリベンジポルノに該当する可能性があります。

たとえ、撮影に応じていたとしても、本人が撮影して送ってきたものであっても、公開に同意していない以上、無断での公開は違法性があると考えられます。

リベンジポルノは何罪?

リベンジポルノは犯罪に該当する可能性が極めて高い行為ですが、具体的にどんな犯罪が考えられるのでしょうか。

リベンジポルノ防止法

リベンジポルノ防止法は正式名称を「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」といいます。2014年に成立した法律です。

この法律は、本人が特定できる形で、私的な性的画像や動画を不特定または多数人に提供したり、公然と陳列したりする行為などを処罰対象としています。インターネットへの投稿が典型例ですが、それ以外の媒体であっても問題になる場合もあります。

わいせつ物頒布罪

画像や動画の内容によっては、わいせつ物頒布罪が成立する可能性があります。

これは、わいせつな画像や動画などを頒布したり、公然と陳列したりした場合に該当する犯罪です。リベンジポルノの事案では、投稿された画像や動画の内容が問題になります。性的露出を伴う場合は、わいせつ物頒布罪に該当する可能性もあります。

脅迫罪・強要罪

リベンジポルノが嫌がらせや復讐の目的である場合に多いのが脅迫や強要です。例えば、「画像をばらまく」「家族や職場に送る」と告げて相手を怖がらせる行為などです。

また、復縁を迫ったり、「金を払え」などの要求をしたりする行為は強要罪が成立する可能性があります。

この場合、画像を実際に公開したかどうかにかかわらず、その画像や動画の公開を匂わせて脅迫や強要をした場合に犯罪が成立する余地があります。

名誉毀損罪

名誉毀損罪は、相手の社会的評価を低下させた場合に問題になります。問題となるのは、相手の社会的評価を低下させたかどうかです。

リベンジポルノでは、性的なプライバシーを公開する行為であり、画像とともに説明文や個人情報が掲載されている場合は、名誉毀損罪に該当する可能性があります。また、写真そのものが、社会的評価を低下させると判断される可能性があるため、説明文や個人情報等がなくても、名誉棄損罪が成立し得ることに注意が必要です。

侮辱罪

画像や動画の投稿とあわせて「最低だ」「だらしない」「頭がおかしい」「ふしだら」など、人格を貶めるような表現を公然と投稿した場合は、侮辱罪が成立する可能性があります。

侮辱罪は、公の場で人を侮辱した場合に成立しうる犯罪です。リベンジポルノでは、画像そのものだけでなく、言葉にも違法性が認められるケースがあります。

児童ポルノ禁止法

被害者が18歳未満である場合には、児童ポルノ禁止法も問題になります。

この場合、通常のリベンジポルノよりもさらに重大な法的責任が生じる可能性があります。提供、公開、所持などがそれぞれ問題になることがあり、事件の深刻性が大きくなります。

刑事責任だけでなく民事責任も発生する

リベンジポルノは刑事責任だけでなく、民事での責任も発生する可能性があります。

慰謝料請求

リベンジポルノの加害者は、刑事責任だけでなく、民事上の責任も負う可能性があります。

性的画像を無断で公開・拡散された被害者は、プライバシーを侵害され、精神的苦痛を受けることになるため慰謝料請求の対象となりえます。被害が職場や家族にまで広がった場合や、長期間ネット上に残り続けた場合には、精神的苦痛がより重く評価されることがあります。

刑事事件としての処罰とは別に金銭的な責任を負うことになります。

リベンジポルノの被害に遭わないためにできること

ここまでリベンジポルノがどのような犯罪に該当する可能性があるのかについて説明してきました。ですが、被害に遭わないようにすることが最も大切です。

刑事責任や民事責任を相手に負わせても、投稿された画像や動画がデジタルタトゥーとして残ってしまう可能性があるからです。

性的画像を撮影・共有しない

最も基本的な予防策としては、そもそも性的画像を撮影しない、送らない、共有しないことです。

交際中や婚姻中は、相手を信頼しているためついつい撮影してしまうこともあるかもしれません。ですが、関係が悪化したときにその画像が武器として使われるリスクは否定できません。

そして、いったん相手の端末に渡った画像や動画は、自分の手元で管理できなくなるというリスクがあるのです。

別れ話やトラブル時はデータ管理をする

性的な画像や動画を共有した相手との、別れ話や人間関係のトラブルが生じたときは、画像データの保存先、クラウド共有、共有アルバム、ログイン情報、バックアップ設定などをただちに見直すことが大切です。

共通のパスワードを使っていたり、共有端末があったりすると、思わぬ形でデータが流出することがあります。

トラブルや別れ話をしているときは、精神的な負担がある状態ですが、リベンジポルノのリスクを減らすために画像や動画の削除などを徹底しましょう。

脅しの兆候があるなら早めに相談する

万が一、「画像を持っている」「ばらまいてやる」といった言動や兆候がある場合には、早めに相談することが重要です。

この段階でやり取りの記録を保存し、警察や弁護士に相談しておけば、被害の拡大を防げる可能性があります。 リベンジポルノは、一度、投稿されてしまうと完全な削除が難しいケースも少なくありません。まだ投稿されていないから大丈夫と考えて放置するのは危険です。

リベンジポルノの被害に遭ったときの対処法

リベンジポルノの被害に遭ってしまった場合には、早急な対応がカギとなります。被害者ができる対処法を確認しましょう。

証拠の保存と削除依頼

リベンジポルノ被害に気づいたら、まず証拠を保存することが重要です。

投稿画面のスクリーンショット、URL、投稿日時、アカウント名、送信内容などをできるだけ残しておきましょう。仮に後から削除されても、違法となる可能性が極めて高いため、これらの証拠は重要な資料になります。

証拠を保存したらすぐに削除依頼もしましょう。

警察に相談する

前述のとおり、リベンジポルノは犯罪に該当する可能性があるため、警察に相談できる問題です。

すでにネット上に投稿されている場合や、脅迫を受けている場合は、できるだけ早く相談したほうがよいでしょう。

弁護士に相談する

警察だけでなく、弁護士に相談することで総合的な法的対処が可能になります。

弁護士は本人に代わって、削除請求、発信者情報開示請求、慰謝料請求、告訴などができる専門家です。

特に、加害者がはっきりしない場合や、複数のサイトに転載されている場合には、刑事と民事の両面から対応を組み立てる必要があるため弁護士のサポートはとても有効です。ひとりで抱え込まず、早めに専門家へ相談することが重要です。

まとめ

リベンジポルノは、単なる嫌がらせやケンカではなく、重大な犯罪になりうる行為です。リベンジポルノ防止法だけではなく、わいせつ物頒布罪、脅迫罪、強要罪、名誉毀損罪、侮辱罪、児童ポルノ禁止法違反など、行為の内容によって複数の犯罪が成立する可能性があります。

また、刑事責任だけでなく、慰謝料請求や削除請求などの民事責任も発生するケースがあります。被害に遭った場合は、まず証拠を保存し、早めに警察や弁護士に相談することが大切です。

リベンジポルノは、一度拡散されると深刻な被害が長引きやすい問題です。だからこそ、被害を防ぐための意識と、万一の際の迅速な対応が重要になります。

弁護士法人アークレスト法律事務所では、リベンジポルノの対処についても相談をお受けしています。ネット中傷や名誉毀損の投稿の削除請求やIPアドレス開示請求、民事・刑事事件への対応も行っておりますので、ひとりで抱え込まずにご相談ください。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。

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