犯罪歴・逮捕歴

他人の犯罪歴を一般人が調べる方法を分かりやすく解説

2024.01.17
他人の犯罪歴を一般人が調べる方法を分かりやすく解説

就職の採用時や婚約したとき、不動産契約時など、犯罪歴を調べられたらどうしよう、と不安になるかもしれません。犯罪歴は一般人でも調べることは可能です。ここでは、他人の犯罪歴を調べる方法と、犯罪歴の法的根拠について解説します。

1.他人の犯罪歴を調べる場面

他人の犯罪歴を調べる場面

他人の犯罪歴を調べる場面としては、就職や結婚、受験などの身元調査や融資を受けるときなどの契約で信用が必要なときなどが考えられるでしょう。ここでは、それぞれの場面について詳しく解説していきます。

1-1.就職の採用条件に合致するかを調べるとき

就職の採用時には、犯罪歴があっても自己申告しなくても良い場合があります。履歴書に賞罰欄がないときや、面接や書面で確認されなかったときです。また、刑の受け渡しから一定期間が過ぎると刑が消滅するため、犯罪歴の申告が不要になります。

しかし、なかには求職者の犯罪歴を調べる必要がある職種もあります。特に金融関係の職種や業務、犯罪歴があると資格停止となる職種などです。

1-2.婚約者の身元調査をするとき

婚約が決まったときに、相手方のご両親が婚約者の身元調査を依頼することもあります。大切なご子息・ご息女の婚約相手を徹底的に調べたいと思うのも無理はありません。

1-3.学校や資格を受験するとき

学校受験、特に小学校受験では両親の犯罪歴を含めて身辺調査を行います。

また、国家資格では犯罪歴があると受験できないこともあります。資格をとったあとに犯罪歴が明らかになった場合も、資格停止やはく奪処分になることがあるので注意しましょう。

1-4.金融機関の融資や不動産を契約するとき

金融機関で融資を受けるとき不動産を契約するときに、犯罪歴を調べることがあります。お金や物件などの資産を貸すときは、信用できる相手なのかを確認するために調査が行われます。

2.他人の犯罪歴を一般人が調べる方法

他人の犯罪歴を一般人が調べる方法

他人の正式な犯罪歴は一般人が調べることはできません。なぜなら、警察が管理している犯罪歴は開示されることがないからです。しかし、新聞やネットニュースなどに載った犯罪歴は一般人でも調べられます。

2-1.新聞のデータベース

新聞各社では、過去の新聞をデータベースのアーカイブに保存しています。無料で閲覧することは難しいですが、有料サービスに登録すると閲覧可能です。

実名報道されていれば、検索をかけると該当事件に関する記事をピックアップできます。しかし実名が出ていない場合は、新聞のデータベースでは調べるのは困難でしょう。

2-2.ネットメディア

一般人が調べるには、ネットメディアを利用する方法が簡単です。名前を検索すれば、実名報道された犯罪歴を調べられます。

実名でなくても、ある程度の情報があれば事件の日付や内容から調べることも可能かもしれません。また、顔写真などがネット上に残っていることもあります。

2-3.興信所や探偵事務所

犯罪歴を調べる方法で本格的な方法が、興信所や探偵事務所など専門の調査機関に依頼する方法です。費用はかかりますが、婚約者の身元調査などきちんと犯罪歴を調べたいときに利用されます。

2-4.関係者への聞き込み

前科や前歴について、関係者に直接聞き込みを行う方法もあります。以前関わっていた人物を中心に情報を聞き出すことが一般的です。例えば以前働いていた職場の同僚、地元で同級生だった人、以前住んでいた町で近隣にいた人などが挙げられます。

なぜなら、親族は身内が犯罪者であることを隠す傾向にあり、外部の人間に対して簡単に漏らすとは考えにくいからです。また、最近知り合った人に逮捕歴を自身から公表する場合も少ないと思われるため、利害関係のない関係者が対象となります。

3.調べた犯罪歴に法的根拠はあるのか

調べた犯罪歴に法的根拠はあるのか

犯罪歴を理由にした内定取り消しや、受験で不合格にするのに法的な根拠があるかは、場合によって異なります。ここでは、パターン別に犯罪歴の法的根拠について解説します。

3-1.就職時の内定取り消しや解雇

就職するときに問題になるのが、犯罪歴を理由にした内定取り消しです。就職先から犯罪歴を聞かれなかった場合は、申告義務は生じません。そのため、内定決定後や就職後に犯罪歴が明らかになっても、それを理由に取り消しや解雇はできません。

ただし、犯罪歴がないと偽ったり、就業規則に犯罪歴の取り扱いについて書かれていたりする場合は、懲戒解雇や内定取り消しの法的根拠になります。

3-2.離婚や婚約破棄

婚約をしていた相手、あるいは配偶者に犯罪歴があった場合は、離婚や婚約破棄の事由になり得ます。しかし、慰謝料が請求されるとは限りません。犯罪歴があることで、どのような影響が出るかを考慮したうえでの判断になります。

3-3.小学校受験の不合格や合格取り消し

両親の逮捕歴が小学校受験の合否や合格取り消しに影響する法的根拠はありません。もし影響した場合でも、不合格や取り消しの理由はわからなかったり、別の理由が付けられたりすることが多いでしょう。不合格になった理由がわからなければ、法的根拠がないことを主張することは難しいかもしれません。

4.犯罪歴や逮捕歴の調べ方に関するよくある疑問

犯罪歴や逮捕歴の調べ方に関するよくある疑問

犯罪歴や逮捕歴の調べ方に対して、様々な質問もあがっています。ここからは、犯罪歴・逮捕歴の調べ方に関するよくある質問と、その回答をご紹介します。

4-1.犯罪歴や逮捕歴を調べるための公的手段はある?

犯罪歴・逮捕歴は、警察・検察といった捜査機関に資料として残されています。また、本籍のある市区町村では犯罪人名簿に記載されるなど、犯罪歴・逮捕歴を調べられる公的手段はいくつか存在します。

しかし、本人やご家族から前科の照会を受けても基本的には応じてくれません。これはプライバシー保護の観点から、犯罪に関する情報を管轄している検察庁が特定機関からの照会以外には対応していないためです。市区町村の犯罪人名簿の事務取扱規定でも、警察・検察庁・裁判所など関係行政庁から照会があった時だけ対応することが明記されています。

4-2.逮捕歴があると就職が不利になる?

犯罪歴・逮捕歴は特定機関のみ照会できるため、企業側が事前に就職希望者の犯罪歴・逮捕歴を公的手段で調べることはできません。

ただし、インターネットで就職希望者の情報を調べた時に、逮捕歴が明らかになってしまうことがあります。企業側の調査により逮捕歴が発覚した場合、業種・社風によっては悪い印象につながって就職が不利になる可能性もあるでしょう。

なお、有罪判決を受けておらず逮捕にとどまるのなら、履歴書にわざわざ逮捕歴を書かなくても経歴詐称にはあたりません。逮捕歴は賞罰に含まれないためです。しかし、面接で聞かれた時に逮捕歴があるのにも関わらず嘘をついてしまうと、入社後に発覚した際に経歴詐称で解雇される恐れがあります。

自分から逮捕歴を開示する必要はないものの、虚偽の申告だけはしないように気を付けてください。

4-3.逮捕歴があると退学になる?

逮捕歴が発覚したとしても、必ず退学になるわけではありません。ただし、学校教育法11条では「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、監督庁の定めるところにより、学生に懲戒を加えることができる」としています。簡単に言えば、教育上必要と判断されれば退学処分につながる可能性もあるということです。

退学になるかどうかはそれぞれの学校によって異なります。

学則に処分対象が細かく記載されている学校もありますが、大まかにしか定められていない場合もあります。最終決定権は校長にあり、状況や罪の重さなどに応じて臨機応変に対応することが一般的です。

4-4.逮捕歴があっても海外旅行は可能?

逮捕歴があると海外旅行に行けるか不安に感じる人もいるでしょう。逮捕歴があったとしてもパスポートの取得は制限されず、無効にもならないので海外旅行は可能です。ただし、海外の中でもアメリカへ行く時は注意が必要となります。

アメリカでは逮捕歴について申告する必要があり、容疑の内容によってビザの発行を拒否されてしまう場合もあります。アメリカへ渡航したい時は事前に大使館から確認を取っておくと安心です。

なお、逮捕歴ではなく前科がついていた場合、パスポートやビザの発行制限がかかる可能性があります。

5.一般人でも犯罪歴をある程度調べることは可能

一般人でも犯罪歴をある程度調べることは可能

一般人でも、他人の犯罪歴を調べることは可能です。特にネット上に犯罪歴が残っている場合は、誰でも簡単に情報を手に入れられます。

他人の犯罪歴を調べるのは、就職や受験、契約など信用できるかを確かめたいときです。しかし、犯罪歴を理由に内定を取り消したり、不合格にしたりするには法的根拠が必要になります。状況に応じて、犯罪歴を理由に不当な扱いを受けたと主張できることもありますので、まずは弁護士に相談ください。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。