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意見照会書とは?届くタイミングや行うべき対処など基本を解説
2024.08.20普通に生活しているはずだったのに、いきなり意見照会書が届いたとなれば、多くの人が驚くでしょう。「誹謗中傷をした覚えはない」「冗談で書き込んだ」という人もいるかもしれません。
しかし、意見照会書が届いたということは、相手方から発信者情報開示請求がなされているということであり、住所氏名等が相手方に開示される可能性があるのです。
意見照会書が届いた場合に知っておきたい基礎知識と、対応方法について解説します。
目次
そもそも意見照会書とは?
意見照会書にはどのような意味があるのか、どんなケースで届くのかなどを詳しく解説します。
意見照会書とは発信者情報開示請求に係る書類
発信者情報開示請求は、平成14年に施行された「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」といいます。)」を根拠法規としてなされています。
発信者情報開示請求がなされると、プロバイダ責任制限法の規定により、プロバイダは、発信者の連絡先が不明などにより連絡することができない場合やその他特別の事情がある場合を除き、開示請求に応じるかどうかについて、発信者の意見を聴かなければならないことになっています。
発信者情報開示請求がなされると、プロバイダから投稿がなされた回線の契約者に対して意見照会書が送付されます。意見照会書は、「発信者情報を請求者に開示してもよいか」ということを発信者本人に確認する書類です。
なお、最近のプロバイダ責任制限法の改正により、発信者が開示請求に応じるべきではない旨の意見である場合には、その理由を含めて聴かなければならないことになりました。
そのため、意見照会というよりは、法の規定に忠実にすると、意見聴取というものになっており、意見照会ではなく、意見聴取と言う人もいます。
意見照会書には、回答書が同封されており、開示に同意するかしないか、開示に同意しない場合にはその理由を回答します。この回答書を受けて、プロバイダは、発信者情報を開示するかどうか判断します。
発信者情報開示請求で開示される内容
意見照会書が届き、回答書に同意すると、開示請求者側に発信者側の発信者情報が開示されます。携帯電話会社などのアクセスプロバイダが開示する場合には、保有していない場合を除き、開示される内容は、基本的には以下の発信者側の契約者情報です。
1.氏名または名称
2.住所
3.メールアドレス
4.電話番号
意見照会書が、携帯電話会社などのアクセスプロバイダから送られてくるケースでは、IPアドレスとタイムスタンプは、すでにサイト管理者等のコンテンツプロバイダが開示しています。そのため、IPアドレスとタイムスタンプ以外の情報が、アクセスプロバイダから開示請求者に開示されることになります。
意見照会書はどんなケースで届く?
一般的に、意見照会書が届くのは、インターネット上で権利侵害をされたと考えている被害者が、書き込んだ発信者を特定し、損害賠償請求などの法的措置をとる意向で発信者情報開示請求を進めているケースです。
インターネット上では匿名で投稿がなされることが多く、被害者は発信者が誰であるのか分からないため、被害者はプロバイダに対して発信者情報開示請求を行い、発信者が誰であるのか特定する必要があります。
意見照会書の送り主は?
意見照会書の送り主として考えられるのは、主に2つです。
コンテンツプロバイダから届く場合
投稿したサイトが匿名制でサイト側が投稿者の連絡先が分からない場合等には、意見照会をすることが困難であり、上記したように、意見照会をすることができない場合に該当します。掲示板サイト等、多くのコンテンツプロバイダは、このように意見照会をすることができない場合に該当します。
コンテンツプロバイダから意見照会書が届くのは、サイトが実名登録制のものやメールアドレス等が登録されていて、投稿者の連絡先が判明している場合に限られるでしょう。
アクセスプロバイダから送られてきた場合
意見照会書が届くのは、多くの場合、アクセスプロバイダからとなるでしょう。
アクセスプロバイダから意見照会書が届いた場合には、内容を確認して、回答書を提出し、自身の意見を伝えた方が良い場合が多いでしょう。
意見照会書の内容
意見照会書は、各プロバイダにより内容が異なりますが、概ね以下のような記載がなされています。
・請求者の氏名または名称
・特定電気通信設備:該当のSNSや掲示板等
・掲載された情報:権利侵害にあたる投稿内容
・侵害された権利:被害者が訴える権利侵害の種類
・侵害されたとする理由
・発信者情報の開示をする理由
・開示請求をされている発信者情報
・証拠
なお、請求者の氏名、侵害された理由、証拠については、開示請求者が発信者に示したくない意向を示している場合には、意見照会書には記載がなされていません。
意見照会書が届いたらどうする?意見照会書への回答方法
意見照会書には、回答書と呼ばれる書面が添付されており、発信者は回答書で、情報開示に同意するか同意しないかなどを回答します。意見照会書への対応方法としては、次の3つが考えられます。
・開示に同意する
・開示を拒否する
・無視する
以下では、これらの回答方法についてみていきましょう。
開示に同意する
開示請求された投稿について、権利侵害が明らかで、速やかに開示請求者と和解により解決したい場合等には、開示に同意することも検討した方がよいでしょう。
情報の開示に同意をすると発信者情報開示請求者に発信者の情報が開示されますので、その後、開示請求者から損害賠償請求や、場合によっては刑事告訴がなされることもあります。
そのため、開示に同意しようと考えた場合には、あらかじめ弁護士に相談するなどし、慎重に判断した方がよいでしょう。
開示を拒否する
開示請求者に発信者情報を知られたくない場合には、回答書に発信者情報の開示に同意しない旨を記載することになります。
発信者から開示を拒否する旨の回答があると、プロバイダが発信者情報開示請求者に対して、自ら任意で発信者の情報の開示をすることは滅多にありません。
権利侵害の判断は容易ではないことが多く、誤って発信者情報を開示した場合には、責任を問われる恐れもあり、プロバイダは、自らの判断で開示することには非常に慎重になっているものと思われます。
プロバイダが任意に開示をしないときは、発信者情報開示請求者は、発信者情報開示命令申立て等の裁判手続きにより発信者の情報開示を求めていくことになります。
回答書の記載は、プロバイダが裁判手続きの際に開示請求者の主張に対する反論の材料として使用することもあり、情報の開示に同意しないときは、なぜ開示すべきではないのかを説得的に記載した方が良いでしょう。証拠がある場合は、添付することも重要です。
回答書に記載する理由は、法的な知識のない人が1人で考えるのは難しいため、弁護士に相談するのが良いでしょう。
代わりに弁護士が回答書を作成してくれるだけでなく、意見照会書や回答書に関する疑問点の解消や、今後の流れについても相談に乗ってもらえます。
無視する
発信者情報開示に係る意見照会書への回答は、法律上の義務ではありませんので、回答せずに無視するという対応も考えられます。しかし、このような対応は適切な対応とはいえません。
発信者情報開示請求を受けたプロバイダは、発信者に対して意見照会を行い、発信者からの回答を踏まえて発信者情報の開示をするかどうかを判断します。発信者が、「同意しない」と回答しても、プロバイダが情報を開示する可能性も0ではありませんので、必ずしも発信者の回答が通るとは限りません。
発信者が意見照会書への回答を無視して、期限までに回答をしないと「発信者はこの点に関して特段の主張を行わない」ものとして扱われてしまいます。
発信者情報の開示に同意しなければ、回答せずに無視してもプロバイダが裁判所の命令によらずに自ら開示することは滅多にないでしょうが、意見照会書に記載された内容に心当たりがない場合や、権利侵害にはあたらないと主張したい場合は、回答書できちんと説明することが良い場合もあるでしょう。
せっかく用意された反論の場を自ら潰すことは、もったいないので、意見照会書が届いたら無視するのではなく、きちんと対応した方が良いでしょう。
意見照会書が届いた際の注意点
意見照会書が届いたとき、思わず無視したくなるかもしれません。「自分にはそんなつもりはなかった」「相手が大袈裟なだけ」と感じてしまうかもしれません。
しかし、意見照会書が届いたあとに、そのまま放置すると、立場が不利になってしまう可能性もあります。
ここでは、意見照会書が届いたときに注意するポイントを見ていきましょう。
回答書の期限は14日以内
意見照会書に同封されている、回答書の返送期限は一般的には14日以内です。
期限を過ぎた場合は、回答の意思がないとみなされ、プロバイダは回答なしという前提で発信者情報を開示するかどうか判断します。
そのため、意見照会書が届いたら、速やかに対応することが必要です。
回答書を作成する際は専門家に相談する
回答書に記載する理由は、法的な知識のない人が1人で考えるのは難しいため、前記したように、弁護士に相談するのがよいでしょう。
回答書を専門家に任せることで、発信者情報が開示される可能性が減少するかもしれないと考えれば、高すぎる費用ではないでしょう。
意見照会書への回答後の流れ
発信者情報開示請求に係る意見照会書に回答した場合、その後どのような流れで手続きが進むのでしょうか。
以下では、アクセスプロバイダからの意見照会書で情報の開示に同意した場合と情報の開示を拒否した場合に分けて説明します。
情報の開示に同意した場合
発信者情報開示請求に係る意見照会書に対して、情報の開示に同意する旨の回答をした場合、プロバイダから発信者情報開示請求者に対し、発信者の情報が開示されます。
発信者情報開示請求者は、開示された発信者の情報を踏まえて、以下のような行動に出ることが予想されます。
・損害賠償請求
・刑事告訴
損害賠償請求をする場合、いきなり訴訟提起することも可能ですが、多くの相手方は、まずは内容証明郵便で慰謝料などの賠償金の支払いを求める通知書を送付します。
通知書が届いたら、早期に弁護士に依頼をして、被害者との間で示談交渉を進めていくのが得策です。
被害者との間で示談成立となれば、刑事告訴されることもなくなるかもしれませんので、早期の示談交渉が重要となります。
情報の開示を拒否した場合
発信者情報開示請求に係る意見照会書に対して、情報の開示を拒否する旨の回答をした場合、発信者からの回答を踏まえて、プロバイダが発信者の情報を開示するかどうかを判断します。
プロバイダは、発信者が情報の開示を拒否している場合には、任意に開示することは滅多にありませんので、発信者情報開示請求者に対して開示を拒否するという対応をとる可能性が高いでしょう。
発信者情報開示請求者は、プロバイダから任意の開示を拒否された場合には、次の段階として発信者情報開示命令申立て等の裁判手続きを行うことが予想されます。
最近の法改正により、発信者情報開示命令申立てが創設され、特にアクセスプロバイダに対する開示命令申立てにおいて、訴訟による場合と比べて迅速に進められることになりました。
従来どおり、発信者情報開示請求訴訟を提起することも可能ですが、発信者情報開示命令申立てが創設されてからは、発信者情報開示請求訴訟を提起することは少なくなり、発信者情報開示命令申立てを行うことが多くなりました。
なお、発信者情報開示命令申立てでは、消去禁止命令申立ても併せて行うことが可能であり、プロバイダへの発信者情報消去禁止依頼及び発信者情報開示請求を行わず、発信者情報開示命令申立及び消去禁止命令申立てを行うことも可能です。
この場合には、発信者情報開示命令申立及び消去禁止命令申立てが行われている中で、プロバイダから意見照会書が送られてくることになります。
また、コンテンツプロバイダに対する発信者情報開示命令申立てを行い、提供命令を経て、アクセスプロバイダに対する発信者情報開示命令申立て及び消去禁止命令申立てを併合して審理がなされるケースでも、同様にこれらの申立て中にプロバイダから意見照会書が送付されることになります。
このように、最近の法改正により、意見照会書が送付されてくる状況には、複数の状況があることになります。
裁判所が発信者情報開示を命じ、それが確定した場合には、発信者が情報の開示を拒否する旨の回答をしていたとしても、プロバイダから発信者情報開示請求者に対して、情報の開示が行われます。
その後は、情報の開示に同意した場合と同様に損害賠償請求や刑事告訴などの対応がとられることが予想されます。
意見照会書が届いたら弁護士に相談してから回答するのがおすすめ
発信者情報開示請求に係る意見照会書が届いたときは、自分ひとりで判断するのではなく、弁護士に相談してから回答するのがおすすめです。
発信者情報の開示がなされなくなるかもしれない
意見照会書への回答は、自分で作成することも可能ですが、回答書は、プロバイダが開示請求者に対する反論の材料とし、裁判所に証拠として提出することもあり、内容によれば、それにより、裁判所が開示請求を認容しないこともあり得ます。
そのため、開示されたくないのであれば、弁護士に相談し、回答書を代わりに作成してもらうのがよいでしょう。
情報の開示を拒否する場合には、権利侵害(名誉権侵害、プライバシー権侵害、著作権侵害、肖像権侵害等)の理由ごとに権利侵害の明白性がないことを基礎づける事情を主張していかなければなりません。そのためには、法的知識や経験が不可欠となりますので、知識や経験に乏しい一般の方が適切な理由を記載するのは困難といえるでしょう。
意見照会書が届いて内容を確認したら、そのまま放置せずに、ネットトラブルに詳しい弁護士に相談しましょう。
専門家がいることで、気持ちも落ち着くでしょう。また、発信者情報が開示されたとしても、慌てて弁護士を探す必要がなく、その後の流れについても相談に乗ってもらえます。
発信者情報が開示されてしまった後の対応を任せられる
権利侵害の投稿内容によっては、意見照会書で発信者情報の開示を拒否する旨の回答をしたとしても、プロバイダの判断や裁判所の判断によって発信者情報が開示されることがあります。
発信者情報が開示されると、被害者は、発信者に対して民事上の責任追及として損害賠償請求を、刑事上の責任追及として刑事告訴を行うことが予想されます。
このような被害者からの法的責任追及に対して適切に対応するには、専門家である弁護士のサポートが不可欠となります。
発信者情報が開示されてしまった後の対応を自分ひとりで行うのは、負担も大きく、判断を誤るおそれもありますので、まずは弁護士の相談することをおすすめします。
監修者
野口 明男(代表弁護士)
開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。
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