賃貸物件を退去する際には、原状回復費用やハウスクリーニング代などの退去費用が発生します。この記事では、退去費用の相場や、借主と貸主の負担の考え方、そして高額請求を防ぐポイントについて解説します。
賃貸物件の退去費用とは?

退去費用とは、物件を入居時の状態に戻す「原状回復」のためにかかる費用のことです。借主の故意・過失による破損の修繕やハウスクリーニング代が該当します。
なお、経年劣化による汚れや損耗については、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」により、原則として借主の負担とはならないとされています。
借主と貸主が退去費用を負担するそれぞれのケース

借主が退去費用を負担するケース
借主の故意・過失による損傷が対象です。具体例としては、飲み物をこぼしたシミ、壁紙の傷、タバコによる変色、ペットの引っ掻き傷などが挙げられます。
貸主が退去費用を負担するケース
通常の使用による経年劣化は貸主の負担です。具体例としては、家具を設置した跡、日焼けによる色落ち、画鋲の穴、一般的な生活に伴う汚れなどが挙げられます。
賃貸物件の退去費用の相場
| 20㎡~30㎡ (ワンルームなど) |
2万円~4万円 |
|---|---|
| 40㎡~50㎡ (1LDK、2DKなど) |
4万円~7万円 |
| 60㎡~70㎡ (2DK、2LDKなど) |
6万円~9万円 |
| 70㎡~90㎡ (2LDK、3LDKなど) |
7万円~11万円 |
退去費用の相場は部屋の広さによって異なります。また、喫煙やペット飼育があった場合は、通常よりも高額になる傾向があります。
賃貸物件で高額な退去費用が請求された際の相談先

退去費用が高額すぎると感じた場合、以下の機関に相談することができます。
日本消費者協会(無料相談室)
消費者トラブル全般について無料で相談できる窓口です。退去費用に関する一般的なアドバイスを受けることができます。
日本賃貸住宅管理協会(電話相談のみ)
賃貸住宅に関する相談を電話で受け付けています。退去費用の妥当性について専門的な意見を聞くことができます。
消費生活センター(公的窓口)
各自治体に設置された公的な相談窓口です。退去費用に関する相談も受け付けており、あっせんを行う場合もあります。
弁護士
最終的には民事調停や訴訟が必要となる場合もあり、法的な専門家である弁護士への相談が有効です。
以下の表は、各相談先の対応範囲と限界を整理したものです。ご自身の状況に応じて、適切な相談先を選んでください。
日本消費者協会
| 費用 | 無料 |
|---|---|
| 対応範囲 | 一般的なアドバイス、情報提供 |
| 限界 | 法的交渉や代理は不可 具体的な減額交渉はできない |
| 推奨される場面 | 費用が発生する (ただし成功報酬型ならリスク軽減可能) |
日本賃貸住宅管理協会
| 費用 | 無料(電話のみ) |
|---|---|
| 対応範囲 | 賃貸住宅に関する専門的な助言 |
| 限界 | 電話相談のみで対面不可 法的手続きの代行は不可 |
| 推奨される場面 | 費用が発生する (ただし成功報酬型ならリスク軽減可能) |
消費者センター
| 費用 | 無料 |
|---|---|
| 対応範囲 | あっせん・助言、情報提供 |
| 限界 | あっせんに強制力なし 相手が応じなければ解決困難 |
| 推奨される場面 | 費用が発生する (ただし成功報酬型ならリスク軽減可能) |
弁護士
| 費用 | 有料(成功報酬型あり) |
|---|---|
| 対応範囲 | 法的交渉・代理調停・訴訟 |
| 限界 | 費用が発生する (ただし成功報酬型ならリスク軽減可能) |
| 推奨される場面 | 費用が発生する (ただし成功報酬型ならリスク軽減可能) |
まとめ

賃貸物件の退去費用は、借主の故意・過失による損傷が対象であり、経年劣化による損耗は原則として貸主の負担です。退去費用が高額すぎると感じた場合は、まずは各相談窓口に相談し、必要に応じて弁護士による法的な減額交渉を検討しましょう。
弁護士法人アークレスト法律事務所では、成功報酬で退去費用の減額交渉を承っております。
よくある質問(FAQ)
Q1. 賃貸物件の退去費用の相場はどれくらいですか?
A. 原状回復費用は物件の広さや使用年数によりますが、ワンルームで2〜6万円程度、ファミリータイプ (2LDK以上) で5〜10万円程度が一般的です。これに加えてハウスクリーニング代 (2〜8万円) が請求されます。この相場を大きく超える場合は、明細の精査と減額交渉を検討すべきです。
Q2. 退去費用を削減するためにできることは何ですか?
A. 入居時に物件の傷や汚れを写真で記録 (入居時チェックシート作成)、退去前に自分でクリーニングや簡易補修を実施、退去立会いで明細項目を1つずつ確認することが基本です。請求後でも、賃貸借契約書と原状回復ガイドラインに照らして不当な項目があれば減額を求められます。
Q3. 退去費用が高額なときの相談先はどこですか?
A. 相談先は段階に応じて選びましょう。①無料で気軽に聞きたい場合は消費生活センター (消費者ホットライン188) や日本消費者協会、②賃貸特有の問題なら日本賃貸住宅管理協会、③減額交渉や法的手段が必要なら弁護士、が選択肢です。弁護士は完全成功報酬で対応する事務所もあるため、初期費用なく依頼できます。
Q4. 店舗やオフィスの退去費用を減額することはできますか?
A. 店舗やオフィスの賃貸借契約は、住宅と異なり通常損耗も賃借人負担とする特約が一般的なため、住宅と同じ感覚では交渉できません。ただし、見積もり項目に経年劣化分や明らかに相場を超える工事費が含まれていれば、減額交渉の余地はあります。詳しくは別記事「オフィスの退去費用が高額すぎる?」で解説しています。
Q5. 退去費用の減額に弁護士を使うメリットは何ですか?
A. 弁護士に依頼すると、①請求金額が原状回復ガイドラインや判例に照らして正当か精査、②代理人として貸主と交渉、③裁判所への調停・訴訟といった法的手続きの代行、④判例知識による有利な解決、というメリットがあります。完全成功報酬制を採用している事務所であれば、減額できなければ費用負担はありません。






