悪徳業者から被害に遭ったら?具体的な対処法や相談窓口を解説
「ネット誹謗中傷対策業者」ではなく「弁護士」に中傷削除を依頼すべき理由
2018.08.08ネット誹謗中傷被害を受けたとき、対処方法を依頼する相手としては、「弁護士」と「ネット誹謗中傷対策業者」があります。
一般の方の場合、「どのような違いがあるのか分からない」ことがありますが、この2者には明確で大きな違いがあります。
ネット誹謗中傷対策業者に依頼しても、根本的な問題解決にはつながらないケースが多いので、注意が必要です。
今回は、ネット誹謗中傷対策を、「対策業者」ではなく「弁護士」に依頼すべき理由について、解説します。
1.ネット誹謗中傷対策は、専門的な知識と経験が必要
ネット誹謗中傷対策をするときには、専門的な知識と経験を要するものです。
ネット上の記事を削除させるときには、削除のためのノウハウが必要ですし、掲示板ごとの特性などを把握しておく必要もあります。投稿者を特定するためには、法的な対応も必要となってくるためです。
そこで、被害を受けたら、自分だけで対処しようとするより専門家に任せることをお勧めします。
2.ネット誹謗中傷対策業者とは
ネット誹謗中傷対策を依頼しようとして専門家を検索すると、さまざまな「ネット誹謗中傷対策業者」を発見することになるでしょう。
ネット誹謗中傷対策業者とは、ネット上の誹謗中傷記事の監視や検索順位の低下(逆SEO)による影響力の減少などを、主な業務とする業者です。
掲示板やSNSなどで誹謗中傷の投稿をされた場合、放っておくとその記事がどんどん拡散されて、被害が広がるおそれがあるので、早期に対処が必要です。
ネット誹謗中傷対策業者は、そうした記事の監視や影響力の低下を請け負っているのです。
3.ネット誹謗中傷対策業者の限界
ただ、ネット誹謗中傷対策業者は、もう1つの専門家である弁護士とは全く異なります。
限界も多いので、以下で見ていきましょう。
3-1.記事が削除されるとは限らない
1つ目の問題は、「記事が削除されるとは限らない」ことです。
ネット誹謗中傷対策業者は、弁護士資格を持っていないので、他人の「代理人」として交渉することができません。そこで、依頼者の代理として記事の削除を求めたり、法的手段をとったりすることはできないのです。
業者にできるのは「逆SEO」と言って、検索順位を下げることによって記事を人の目に触れないようにすることくらいです。そうなると、記事そのものは残るので、たとえば実名検索などをされると、記事を見られてしまうおそれが出てきます。
3-2.投稿者を特定できない
ネット誹謗中傷対策業者は、記事の検索順位を下げることで表面的なリスクを回避することができるかもしれません。しかし、投稿者を特定することはできませんので、再投稿をされ続ける可能性があるのです。
ネット上の投稿者を特定しようとすると、裁判所での仮処分や訴訟などの法的な手続が必要となり、弁護士しか対応できないからです。もちろん、投稿者を特定してペナルティを与えることもできません。
3-3.違法業者が存在する
ネット誹謗中傷対策業者には違法業者があります。
日本には弁護士法72条という法律があるので、弁護士以外の者が報酬をもらって他人の代理人として行動することは認められていません。
ところが、中にはこの規制を破り、勝手に依頼者の代理人を名乗ったり、依頼者名義を直接名乗ったりして記事削除の交渉をしてしまう業者がいます。
このようなことをすると、削除依頼を受けた相手の方も「違法業者から連絡が来た」と受け止めるので騒ぎになり、より問題が大きくなります。このことが原因で、対象の記事が炎上してしまい、より強いインパクトを伴って拡散されてしまうおそれもあるのです。
以上のように、ネット誹謗中傷業者に依頼するとデメリットやリスクが高いので、決してお勧めできません。
※風評被害対策会社の違法性については、下記の記事にて詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。4.弁護士に依頼するメリット
これに対し、弁護士に依頼すると以下のようなメリットがあります。
4-1.弁護士の名前で交渉を進められる。
自分で削除依頼をすると、サイト管理人や交渉相手に貴方の名前で交渉する必要が出てきます。しかし、弁護士が代理人となりサイト管理人と交渉するので、 自分の本名をはじめとする個人情報が、晒されたり漏洩するリスクが極めて低くなります。
4-2.記事を削除交渉ができる
弁護士は、当事者の代理人として交渉できます。また、法的な手段を駆使してきっちり対応できます。 ネット誹謗中傷対策業者では、ドメイン登録者がわからないので、サイト管理者を特定できず、削除請求は不可能となります。
4-3.弁護士法23条照会を利用できる
ネット誹謗中傷で投稿者を特定しようとするとき、対象サイトのドメイン登録者が不明なケースがあります。その場合には、ドメイン代行業者に照会をして、ドメイン登録者の情報を得る必要がありますが、そのようなことができるのは弁護士のみです。弁護士には弁護士法23条照会という方法を利用する権限があるからです。
4-4.投稿者を特定してペナルティを与えられる
弁護士に依頼すると、記事を削除できるだけではなく、投稿者を特定して損害賠償請求や刑事告訴をすることにより、ペナルティを与えることも可能です。
※IPアドレスを開示する方法については、下記の記事にて詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。 ※投稿者の個人情報を特定する方法については、下記の記事にて詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。4-5.仮処分・訴訟など法的手続きが可能
ネット誹謗中傷対策を進めるときには、仮処分や訴訟などの法的手続きが必要となるケースが多いです。弁護士ならば、このような方法を駆使して効果的に対処できますが、ネット誹謗中傷対策業者にはこのようなことはできません。
以上のように、ネット誹謗中傷対策を行うときには、弁護士に依頼することが何より有効です。被害に遭ってお困りの場合には、お早めに当事務所までご相談ください。
監修者
野口 明男(代表弁護士)
開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。
- 最新記事