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ネット風評被害の口コミは削除可能?4つの具体策を解説

2021.12.06
ネット風評被害の口コミは削除可能?4つの具体策を解説

爆サイや転職会議、OpenWorkなど、個人が気軽に口コミを投稿できるサイトは様々な種類が存在しています。さらにSNSによって短期間で情報が拡散されやすいため、思わぬきっかけで風評被害に遭う恐れも否定できません。

企業がネットで風評被害に遭った場合の対応として、まず原因となった口コミや投稿の削除があります。本記事では、ネット上の口コミを削除する方法について解説します。

ネットの風評被害の口コミは削除できる?

ネットの風評被害の口コミは削除できる?

ネット上に風評被害を引き起こしかねない投稿を見つけた場合、そのネット掲示板や口コミサイト、SNS管理会社などに削除依頼をすることができます。口コミサイトの場合、専用の削除依頼フォームが用意されていることも多く、削除依頼の手続き自体は簡単です。

ただし、依頼したからといって必ずしも削除されるわけではないことに注意してください。削除されないケースとしては以下のようなものがあります。

誹謗中傷の対象となる個人・法人名が伏せられている

削除が可能なのは、被害者が特定できる投稿です。例えば「あの会社の営業は仕事をサボってばかりいる」という投稿では、誹謗中傷の対象となった個人や企業がわからないため、名誉毀損等を訴えることは難しいでしょう。

ただし、「○橋×太郎」「○田商店」のような伏字や、周知のペンネーム等は、指している個人・法人が明らかなので削除依頼に応じてもらえる可能性が高くなります。

被った損害が明確ではない

個人・法人名を挙げて書き込んでいる場合も、どんな被害を被ったのかが客観的に証明できない場合は、削除が認められないことがあります。

具体的な損害が発生したといえるのは、例えば証拠もないのに会社名を名指しして「A社の製品は2、3回使うと必ず故障する」という内容の書き込みが行われた後にA社製品の売上が明らかに落ちたという場合です。

また、「Xは頭が悪い」「Yは間抜けだ」といった書き込みは内容が抽象的なので、名指しされていたとしてもその本人に損害が発生する可能性はあまり高くないと考えられます。

逆に、氏名と大学名を名指しして「Xは勉強できないからZ大学にカネで裏口入学した」という内容の投稿は、本人やその大学に損害が発生する可能性があると判断されやすくなります。

風評被害の原因となる口コミや書き込みの削除方法

風評被害の原因となる口コミや書き込みの削除方法

風評被害の原因となる口コミや書き込みを削除する方法は4つあります。

サイトのフォームを通じてサイト運営者に削除依頼

最も手軽にできるのが削除フォームを使った削除依頼です。多くのサイトに削除依頼をするフォームが設置されていて、他人の投稿の削除依頼がそこからできるようになっています。

サイトはそれぞれ削除基準を示したガイドラインを設けていて、投稿の削除はガイドラインに照らし合わせて判断されます。ただし、ガイドラインに抵触するかどうかを判断するのは運営者であり、サイトのフォームを通じて削除依頼をしても、簡単には依頼に応じてもらえないことが多いです。

送信防止措置依頼の手続き

送信防止措置依頼はプロバイダ責任制限法に基づく手続きです。サイトの運営者か、それがわからない場合はドメイン登録者やサイトのサーバー管理会社に対して行います。法的にはどちらも「プロバイダ」と呼ばれます。

1.送信防止措置依頼書の送付

送信防止措置依頼とは、投稿の削除依頼のことです。依頼書の送付は郵送または問い合わせフォームや専用メールアドレスを通して行います。

弁護士が手続きを代理する場合は郵送手続きのみ受け付けるとしていることもあるので、各プロバイダの指示に従ってください。

2.プロバイダから投稿者に意見照会

依頼書が届くと、プロバイダは投稿者自身に意思を確認します。ただしプロバイダは投稿者の意見に従う義務はありません。自己の判断で該当の投稿を削除するかどうかを決定しますが、投稿者の反論があった場合は、それを尊重して投稿削除を控えるケースもあります。

裁判所を通じて削除の仮処分

法的に削除請求を行う場合、通常の民事訴訟によると時間がかかるため、より迅速な手続きである民事保全法上の仮処分手続きを利用するのが一般的です。具体的には民事保全法第23条2項に基づく「仮の地位を定める仮処分命令」の申立てを行います。

1.裁判所に対する仮処分命令の申立て

仮処分命令を申し立てるにあたり、被害者は民事保全法第13条が求める「保全すべき権利関係及び保全の必要性を疎明」する資料を提出します。同条の「疎明」は正式裁判で求められる「証明」に比べて要件が緩やかなので、投稿のスクリーンショット等の証拠で十分です。

2.審尋・立担保

審尋は、被害者とプロバイダが裁判所に意見を述べる機会です。審尋を経て裁判所が申立てに理由があると認めた場合、被害者は裁判所が決定した担保金を法務局に供託します。

担保金は仮処分執行の正当性が後に裁判で覆される可能性を考慮して、念のため相手方が被る損害を担保するものです。金額は事案によって異なりますが、30~50万円となる場合が多く、通常は一定の手続きを経て被害者に還付されます。

3.仮処分命令の発令・執行

担保金が供託されると裁判所により投稿記事削除の仮処分命令が発令されます。申立てから発令までにかかる時間は、通常1~2か月程度です。

仮処分命令が発令されるとほとんどのプロバイダは削除請求に応じます。万が一削除に応じない場合は執行の手続きの申立てを行います。執行の申立てをすると、民事執行法上の「間接強制」として、プロバイダ側が投稿を削除するまでの期間、裁判所が定めた金額を被害者に対して支払わせることが可能です。

加害者本人に対する削除依頼

プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求を通じて、加害者本人に投稿の削除を求めることもできます。口コミなどを投稿した本人であれば投稿を削除できるサイトで有効な方法です。

1.加害者の氏名と住所を特定

加害者を特定するには、まずサイト管理者に投稿のIPアドレスを開示してもらってプロバイダを特定し、プロバイダから投稿した人の住所や氏名を開示してもらうという流れになります。

2.証拠の保全

加害者に対して削除依頼する場合、問題となっている投稿のスクリーンショットを撮ってSDカード等に保存するか印刷して証拠化しておきましょう。

3.内容証明郵便の送付

被害者は、一定の期限内に投稿を削除するよう求める内容証明郵便を送付します。内容証明郵便には以下の事項を記載しましょう。

  • 削除依頼する理由
    特定の投稿(投稿日時・番号を特定)が権利侵害行為に該当する旨
  • 期限内に削除しない場合の対応
    権利侵害に基づく損害賠償請求訴訟を提起する旨

風評被害対策は口コミ削除だけでは不十分!企業がとるべき事前対策

風評被害対策は口コミ削除だけでは不十分!企業がとるべき事前対策

風評被害の対策としては、迅速な投稿の削除をはじめとする事後対策に加えて、未然に防ぐ備えをしておくことも欠かせません。ここでは平時からできる企業の風評被害対策についてご紹介します。

・従業員の教育
正社員だけでなく、パート・アルバイト・派遣従業員も含めて、すべての従業員に対してネット利用上注意すべきこと、行ってはならないことを周知徹底します。

・危機管理体制の整備
危機管理の一環として、経営陣への報告のタイミングや意思決定のプロセス、有事を想定した対処方法をガイドラインとして明文化しておきましょう。

・モニタリング
風評被害が発生しやすいサイトやスレッドをモニタリングすることも効果的です。手作業ですると多大な労力を要するため、自動監視ツールを利用することをおすすめします。

なお、アークレスト法律事務所では、自動監視ツールの「風評監視システム」をご提供しています。ツール上で、以下の機能をご利用いただけます。

  • 風評の自動監視・チェック
    毎日自動でWEB上の風評をモニタリング
  • ネガティブワードの検知
    検索エンジンやSNS、掲示板のネガティブワードをリアルタイムで検知・報告

また、当事務所では以下についてもワンストップで対応可能です。

  • 検索エンジンへの表示対策
    WEB上のSNS、掲示板への削除依頼
  • IP開示・投稿者の特定
  • 投稿者への訴訟

詳しくは当事務所までお気軽にお問い合わせください。

アークレスト法律事務所の「風評監視システム」

風評被害とその対策について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご参照ください。

風評被害ってどんなもの?企業に及ぶ影響と5つの対策方法をわかりやすく解説

風評被害の口コミ削除や対策には弁護士に相談を

風評被害に遭った場合、弁護士に対応を依頼したほうがサイト側の削除対応や違法行為への対抗手続きがスムーズに進みやすいです。

アークレスト法律事務所では、企業の風評被害対策を得意とする弁護士が在籍しています。投稿削除請求の手続きをはじめ、風評被害を防ぐための社内体制づくりを考えている企業の担当者の方は、ぜひアークレスト法律事務所にご相談ください。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。