悪徳業者から被害に遭ったら?具体的な対処法や相談窓口を解説
ネットでの名誉毀損に対する仮処分の流れを分かりやすく解説
2021.01.22ホスラブや爆サイなどの掲示板に、誹謗中傷を書き込まれた場合、投稿をそのままにしておくと営業に大きな影響を与えるかもしれません。名誉毀損にあたる投稿は、サイト運営者に削除依頼を出しましょう。
しかし、削除依頼が受理されない場合は、民事訴訟を起こして削除請求する必要があります。民事訴訟の手続きや裁判には、時間がかかります。削除されるまで投稿が放置されることになり、名誉毀損に対する対処法としては不適です。
そのため、ホスラブや爆サイでの名誉毀損には、仮処分を申し立ててすばやく投稿を削除してもらいましょう。ここでは、名誉毀損に対する削除仮処分の基礎知識と適用要件、流れについて詳しく説明します。
目次
目次
1.ネット投稿の名誉毀損に対する削除仮処分とは
削除仮処分とは、民事訴訟で勝訴したときと同様の条件で、投稿の削除を認めてもらう手続きです。ホスラブや爆サイの誹謗中傷を放置することで、拡散して被害が大きくなるのを防げます。
ただし、仮処分で削除が認められても、その後の訴訟で敗訴した場合はサイト運営者の判断で投稿が復活する可能性があります。
しかし、仮処分命令が発令されると訴訟でも削除対象になるため、わざわざ投稿を復活させる可能性は、ほぼないと考えてよいでしょう。そのため、仮処分後の本訴訟は起こさなくてすむことがほとんどです。
2.ネット投稿の名誉毀損で削除仮処分が可能なケース
ネット投稿を名誉毀損で削除仮処分できるのは、被保全権利と保全の必要性を満たしたときです。それぞれ、どのようなケースが該当するのかを説明します。
2-1.被保全権利
被保全権利とは、著作権や名誉権、プライバシー権など削除仮処分を申し立てるときに主張する権利です。
削除仮処分では、被保全権利が侵害されていることを訴えます。名誉毀損で削除仮処分が成立しないのは、下記の条件に当てはまるときです。投稿は合法とされ、仮処分の対象とならないケースがあります。仮処分の申し立てでは、下記の条件に当てはまらないことを主張する必要があります。
- 公共の利害に関する内容である
- 公共の利益を図るために書き込まれた投稿である
- 内容が事実である
2-2.保全の必要性
保全の必要性とは、仮処分を申し立てる理由のことです。裁判で争わずに、仮処分で迅速に削除請求をする理由が問われます。 仮処分で投稿が削除されなかったときに、被害者が被る損害を主張することで保全性の必要性を証明できます。
3.ネットでの名誉毀損に対する削除仮処分の流れ
名誉毀損に対して削除仮処分の申し立てを考える前に、仮処分の流れを理解しておきましょう。民事訴訟よりも対応が早いとはいえ、申立から1~2ヵ月かかる点に注意が必要です。
3-1.裁判所に削除請求の申立
名誉毀損で削除仮処分を請求するときは、裁判所に仮処分命令を申し立てます。申立書と、名誉毀損となる証拠が必要です。
証拠品には、具体的に投稿のプリントアウトやスクリーンショットなどを提出します。内容だけでなく、どのサイトにいつ投稿されたかがわかるように、投稿とサイト名が入るようにプリントしましょう。
3-2.審尋で意見・主張を提出
審尋とは、債権者(申立者)とサイト運営者、それぞれに書面あるいは口頭で陳述する機会を裁判所が与えることです。サイト運営者が立ち会う審尋期日が設けられて、意見や証拠を提出し、裁判所が審議します。
3-3.立担保で担保金を供託
審議後に、仮処分に値すると認められた場合は、担保金を法務局に供託します。おおよそ50万円弱とされており、のちに手続きをおこなうと還付されます。
還付されるとはいえ、一時的に費用が必要になる点に注意が必要です。
3-4.仮処分命令が発令されると削除
担保金の供託が確認されると、仮処分命令が発令されます。仮処分命令が出されると、サイト運営者はほとんどの場合に命令を受けて投稿の削除をおこないます。
ただし、仮処分命令の発令だけでは削除を強制できないため、この段階で削除されるかはサイト運営者次第です。
3-5.削除に応じない場合は執行申立
サイト運営者が仮処分命令に応じない場合は、執行の申し立てをおこなえます。強制執行の手続きから、削除までの期間は債務の履行を確保するために、相当金額の支払いを求めることが可能です。[注1]
[注1]e-GOV:民事執行法第172条
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=354AC0000000004_20200401_501AC0000000002
4.すぐにでも削除したいなら弁護士に仮処分の相談をしよう
ホスラブや爆サイで誹謗中傷を書き込まれた場合は、民事訴訟を起こして削除を要求できます。しかし、民事訴訟の手続きや裁判には時間がかかるため、投稿が拡散するリスクが高まります。
投稿の削除を急ぐなら、仮処分を申し立てるとよいでしょう。仮処分は訴訟よりも早く削除でき、最終的に裁判になる可能性も低いからです。
民事訴訟を起こすよりも簡易ではありますが、専門知識がないとスムーズに進まないかもしれません。まずは誹謗中傷への対応を弁護士に相談するとよいでしょう。
監修者
野口 明男(代表弁護士)
開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。
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