悪徳業者から被害に遭ったら?具体的な対処法や相談窓口を解説
名誉毀損は源氏名に対しても認められる?成立の可否を決める要件
2021.02.08爆サイやホスラブで誹謗中傷を受けたとき、勤務先に相談しても「無視すればいい」などと冷たい対応をされ困っていませんか?
本名ではなく源氏名で誹謗中傷を受けた場合でも、名誉毀損が成立するかもしれません。まずは、源氏名に対する名誉毀損が成立する要件をチェックしてみましょう。
源氏名に対する名誉毀損が認められるケースと、その場合の対処法について、法律の基礎から説明します。
目次
目次
1.名誉毀損は源氏名に対しても認められる?
名誉毀損は源氏名に対するものでも、認められる可能性は高いといえます。
そもそも名誉毀損とは、名誉を傷つける行為を指します。もう少し詳しくいうと、「不特定多数の人が見ている場所で、他人の悪口を言い、その人の社会的評価を下げる行為」です。
刑法230条に定められている法律で、違反者には3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金が課せられます。
もちろん、不特定多数の人が見る爆サイ・ホスラブなどの匿名掲示板や、SNSでの誹謗中傷も対象です。ただし、悪口の内容が「ブス」「バカ」などの抽象的な表現のときは、名誉毀損にはなりません。この場合は侮辱罪にあたるのですが、詳細は後述します。
また悪口だったとしても、社会的評価が下がらない内容は、名誉毀損にあたらないことがポイントです。[注1]
[注1]エール少額短期保険:名誉毀損とは?認められる要件や判例・慰謝料について知る2.源氏名に対しての名誉毀損が成立するケース
源氏名に対する誹謗中傷で名誉毀損が成立するケースでは、特に下記の2つの要件が必要です。自分のパターンが、要件を満たしているかを確認しましょう。
2-1.要件1.具体的な事実にあたる
具体的事実とは、「アホ」「ブス」などの抽象的な誹謗中傷ではなく、「浮気している」「枕営業している」という、より具体性のある内容です。
「事実」とありますが、内容が嘘か本当かは関係ありません。
2-2.要件2.社会的評価が下がる内容である
社会的評価とは、社会で暮らすうえで周囲から受ける評価です。誹謗中傷で「社会的評価が下がる」というのは、内容を見た周囲の人が、その人の評価を下げることを指します。つまり、名誉毀損が成立するのは、誹謗中傷がある特定の人物のことを指している、と判断できる場合です。
誹謗中傷が源氏名だったとしても、周囲の人が誰のことを指すのかがわかる内容であれば、名誉毀損が成立する可能性が高いと考えられます。
3.源氏名に対しての名誉毀損が成立しないケース
源氏名に対する誹謗中傷で、名誉毀損が成立しないケースをみていきましょう。
3-1.法的措置がとれないケース
名誉毀損にあたらず法的措置がとれないケースは、源氏名で個人を特定できないときです。下記の例をみてみましょう。
例.ナオキは借金があってお店からお金を盗んだことがある
源氏名が「ナオキ」のホストは、全国に何人もいると考えられ、お店の名前も書き込まれておらず、名誉毀損が成立しない可能性が高いと考えられます。
ただし、爆サイやホスラブのスレッドにお店の名前が付いているときは、個人が特定されていると主張できるかもしれません。
3-2.名誉毀損以外の罪にあたるケース
名誉毀損ではなく、侮辱罪や著作権侵害、脅迫罪など、別の犯罪にあたるケースも考えられます。
お店やSNSの画像を使って誹謗中傷されたケースは、著作権侵害にあたります。犯罪を予告する内容なら脅迫罪、誹謗中傷でお店の営業に損害がでたら、偽計業務妨害です。
4.源氏名に対しての名誉毀損を書かれた際の法的措置
源氏名に対して名誉毀損を書かれたら、どのような対策がとれるのかを説明します。[注4]
[注4]刑事事件弁護士ナビ:名誉毀損で逮捕されるケース|刑事と民事の名誉毀損の違いと対処法4-1.刑事事件として告訴する
名誉毀損は、刑法230条に定義されており、刑事事件として告訴できます。警察が自ら動くことはなく、被害者が訴状を提出する必要があります。
日本では刑事裁判になれば、加害者が有罪となる有罪率は99%以上です。ただし、刑事事件では損害賠償を請求できません。名誉毀損で慰謝料が必要なときは、併せて民事裁判を起こす必要があります。
4-2.民事事件で損害賠償請求する
名誉毀損で民事裁判を起こすと、損害賠償請求ができます。ただし、請求がとおるか、請求した金額がそのままもらえるかは裁判次第です。
名誉毀損の慰謝料は、個人ではおおよそ数十万円とされ、決して大きい金額ではありません。裁判費用や弁護士費用を考えると、赤字になる覚悟が必要です。
5.源氏名に対して名誉毀損を書かれたら削除依頼前に弁護士に相談
源氏名に対する誹謗中傷でも、名誉毀損が成立する要件を満たせば、法的措置がとれるかもしれません。書き込みを削除依頼することも可能ですが、削除してしまうと裁判の証拠にならないので注意が必要です。
「源氏名だから訴えられないのでは?」「法律はよくわからない」と一人で悩まず、まずは弁護士や国の法律相談・法テラスに相談しましょう。
監修者
野口 明男(代表弁護士)
開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。
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