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名誉毀損の弁護士費用はどれくらい?費用相場や依頼メリットを解説
2025.10.30
SNSやオンラインコミュニティが生活に欠かせないものとなり、誰もが気軽に情報発信できるようになった一方で、名誉毀損や誹謗中傷の被害に遭うリスクも増大しています。単なる悪口と安易に捉えがちですが、その行為は被害者の人生を大きく変えるほどの深刻な損害をもたらしかねません。
被害を受けた際に、泣き寝入りせず、法的な措置を検討する人は増えています。しかし、「弁護士に相談すると費用はいくらかかるのか」「そもそも費用に見合った成果が得られるのか」といった疑問から、なかなか一歩踏み出せない方も多いでしょう。
そこで本投稿では、名誉毀損や誹謗中傷への法的手続を弁護士に依頼する際の費用相場や、弁護士に依頼するメリット、そして最新の法的動向と実際の事例を交えて、被害に遭った方が冷静かつ適切に対応するためのポイントを詳しく解説します。
目次
名誉毀損・誹謗中傷の弁護士費用相場と費用の内訳

名誉毀損や誹謗中傷に対する法的手続にかかる弁護士費用は、主に「 相談料」「着手金」「報酬金」の3つに分けられます。また、裁判を起こす際には、裁判所に納める実費も必要です。
弁護士費用は「何」に対して支払うのか?
弁護士費用は、大きく分けて2つの段階で発生します。
【第一段階】 発信者の特定
匿名で名誉を毀損する投稿や書き込みがなされた場合、まず加害者(投稿者)を特定する必要があります。この手続は「発信者情報開示請求」と呼ばれ、多くの場合、サイト管理者とプロバイダの両方に対する法的手続が必要となります。
サイト管理者への開示請求
投稿されたサイト(X、Facebook、匿名掲示板など)の管理者にIPアドレスの開示を求めます。
プロバイダへの開示請求
サイト管理者から開示されたIPアドレスをもとに、プロバイダ(インターネット接続業者)に契約者の氏名や住所の開示を求めます。
この2段階の手続を経て、加害者を特定し、次の慰謝料請求へと進みます。
【第二段階】 損害賠償請求(慰謝料請求)
加害者が特定できたら、名誉毀損によって受けた精神的苦痛に対する慰謝料や、弁護士費用などの損害賠償を請求します。
弁護士費用の相場(2025年現在)
弁護士費用は法律事務所によって異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。
相談料
30分5,000円から10,000円程度が相場ですが、相談前に確認しておきましょう。
着手金
着手金は、弁護士に事件を依頼した時点で支払う費用です。結果にかかわらず返金されないのが原則です。
2022年10月の法改正により、従来は「サイト管理者への開示請求」と「プロバイダへの開示請求」という2つの手続が必要でした。この場合、それぞれに費用がかかり、着手金は合計で40万円から60万円程度が相場でした。
しかし、現在は、ひとつの裁判手続で発信者情報を開示させることができる「発信者情報開示命令」の制度が利用できます。この新しい手続の場合、弁護士費用は従来の合計額よりも安く抑えられる傾向にあり、30万円から40万円程度が相場となることが多いです。
ただし、事案によっては、従来通り複数の手続が必要となる場合もあるため、弁護士に相談する際にどちらの手続が適用されるか確認するようにしましょう。
報酬金
報酬金は、事件が解決した時点で支払う成功報酬です。相手から得た慰謝料額に応じて計算されます。(旧)日本弁護士連合会報酬等基準に準じる法律事務所が現在も多いです。この基準になると、報酬金は、以下のような基準で決められることになります。
ア 獲得した慰謝料が300万円以下の場合: 獲得金額の16%
イ 獲得した慰謝料が300万円を超える場合: 獲得金額の10% + 18万円
ただし、慰謝料請求だけではなく、発信者情報開示請求についても別途報酬金が発生する場合があります。これも事務所によって異なるため、契約前に必ず確認が必要です。
その他の費用
その他では、以下のような費用が発生する場合があります。
ア 実費:裁判所に納める手数料(印紙代)、郵便料金、交通費など。
イ 日当:弁護士が裁判所へ出廷する際などに発生する費用。
ウ 担保金:発信者情報開示請求の手続において裁判所供託を求められることがあります。通常は数十万円程度で、手続後に返還されます。
名誉毀損・誹謗中傷の慰謝料相場と近年の動向

慰謝料の金額は、被害の内容や加害行為の悪質性、社会的影響度などによって大きく変動します。
慰謝料の一般的な相場
名誉毀損の被害者が個人の場合は、慰謝料は10万円から50万円程度となるのが一般的です。ただし、これはあくまで目安であり、悪質な投稿によって大きな精神的苦痛を受けた場合や、社会的評価の著しい低下が認められる場合、個人でも100万円以上の慰謝料が認められるケースも増えています。
一方、法人の場合は50万円から100万円程度が一般的ですが、社会的信用の毀損度合いによって、数百万円規模の慰謝料が認められるケースもあります。
慰謝料が増額される要因
以下のような事情がある場合、慰謝料が増額される傾向にあります。
ア 投稿内容が虚偽であり、悪質性が高い場合
イ 投稿が多数回にわたって繰り返し行われた場合
ウ 被害者が特定の職業(芸能人、政治家など)で社会的な影響が大きい場合
エ 投稿によって休職や退職に追い込まれるなど、深刻な被害が生じた場合
オ 投稿内容に個人情報(氏名、住所、勤務先など)が含まれていた場合
最新の法的動向:発信者情報開示命令事件
2022年10月には、改正プロバイダ責任制限法が施行されました。これにより、従来は2段階の手続が必要だった発信者情報開示請求が、裁判所の「発信者情報開示命令」によって一括でできるようになりました。
これにより、手続がより迅速かつ効率的に進められるようになり、被害者の負担が軽減されることが期待されています。
ただし、弁護士費用が大幅に下がるわけではありません。弁護士に依頼する際は、この新しい手続に対応しているかどうかも確認すると良いでしょう。
名誉毀損を弁護士に依頼するメリット

名誉毀損による慰謝料請求を希望する場合には、専門家である弁護士に依頼した方が良いことが多いでしょう。具体的に、弁護士に依頼するとどのようなメリットがあるのかについて解説します。
相手に会わずに解決できる
弁護士に依頼する最大のメリットは、加害者に会わずに解決できることです。名誉毀損の事案は、加害者と被害者との間に激しい感情的な対立があることが通常です。したがって、被害者が相手に直接慰謝料請求をしても、加害者がまともに取り合わないことが多いです。それどころか、慰謝料請求を受けたことで加害者が逆上して誹謗中傷をさらに加速させ、被害者の身に危険が及びかねないこともあります。
このため、被害者にとっては自分で対応をすること自体が精神的に大きな負担となります。弁護士に依頼することにより、本人が直接対応することの負担から解放されます。
面倒な裁判手続をすべて代行してもらえる
名誉毀損による慰謝料請求では訴訟を起こさざるを得ないことも多いですが、裁判所の手続は法律にのっとり行われる厳格な手続です。このような手続を本人が自分で調べながら進めるのは大変です。また、投稿者がわからず発信者情報開示請求を行う場合には、プロバイダのログ保存期間が限られているとの事情があるため、保存期間内に迅速に手続を行う必要があります。
以上のことから、面倒な裁判手続を弁護士が迅速かつ確実に処理してくれることも弁護士に依頼するメリットといえます。
適正な慰謝料額の獲得
個人で交渉すると、加害者から提示された低い金額で合意してしまうことがあります。しかし、弁護士は過去の判例や事案の悪質性に基づき、適正な慰謝料額を算出し、加害者と交渉することができます。これにより、被害に見合った正当な金額の慰謝料を取得できる可能性が高まります。
弁護士に依頼する際の重要なポイント

名誉毀損や誹謗中傷の被害に遭った際、いざ弁護士に依頼しようと思っても、何から手をつければいいのか迷う方も多いでしょう。弁護士への相談をスムーズに進め、問題解決に確実につなげるためには、事前にいくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。ここでは、実際に弁護士に依頼する前に準備しておくべきことや、知っておくべき注意点について解説します。
証拠の確保を最優先に
弁護士に相談する前に、まずは被害の証拠を可能な限り多く集めておきましょう。インターネット上の投稿であれば、スクリーンショットを撮るのが最も有効な方法です。
加害者やサイト管理者が投稿を削除すると、プロバイダが通信ログを削除してしまう恐れがあります。被害に気づいたら、何よりもまず証拠を保全することが重要です。
URL全体を含めて撮影する
投稿がされたページのアドレス(URL)も必ず表示させて撮影しましょう。
日時を記録する
スクリーンショットを撮影した日時も記録しておくと、証拠の信憑性が高まるので、忘れないようにしましょう。
投稿が複数ある場合はすべて保存する
誹謗中傷が複数回にわたる場合は、すべての投稿を漏れなく保存しましょう。
相手の資力も考慮する
勝訴判決を得ても、加害者に支払い能力がなければ、慰謝料を実際に受け取ることができない可能性があります。弁護士と相談する際には、相手の資力についても話し合っておくと良いでしょう。加害者が学生や無職の場合、慰謝料を回収するのが難しいケースがあることを理解しておくことが必要です。
最後に:名誉毀損・誹謗中傷はひとりで悩まないようにしましょう
インターネット上の名誉毀損や誹謗中傷は、被害者の人生に大きな傷跡を残します。もし現在、被害に遭っていて、「どうすればいいかわからない」と一人で悩んでいる方がいたら、まずは専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は、被害に遭われた方の話を丁寧に聞き、法的見地から解決策を提示することができます。相談するだけで、心の負担が軽くなることもあるでしょう。
弁護士法人アークレスト法律事務所は、インターネット上の名誉毀損や誹謗中傷の法的対応について多くの実績があります。名誉毀損や誹謗中傷の被害に遭われて心を痛めている方は、ぜひ一度ご相談ください。全力でサポートいたします。

監修者
野口 明男(代表弁護士)
開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。
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