【弁護士監修】終活とは?元気なうちに済ませておきたい7つの準備

終活とは、自分が亡くなった後のことや、判断能力が低下したときに備えて、生前のうちに身の回りや各種の準備を整えておく活動です。財産や葬儀の準備だけでなく、「誰が手続きを行うか」まで含めて備えておくことで、自分の希望を実現し、残された家族の負担も軽くできます。

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将来の医療や介護、財産、葬儀や死後の手続きについてあらかじめ考えておくと、自分の希望を家族や支援者に伝えやすくなります。

終活とは、いつか来る日のために、生前のうちに準備を進めておくことを指します。死後の準備だけでなく、これからの暮らし方や家族への伝え方を整理する作業でもあります。

ここでは、終活で整理しておきたい内容と、早めに備えておきたい法的手続きを確認します。

目次

終活とは?

「終活」は、人生の終わりを迎えるための活動を指します。なんの準備もなく人生を終えてしまうと、残された家族は、葬儀や保険、相続などの手続きに奔走することになるでしょう。また、あらかじめ自分の意思を定めないまま正常な判断ができない状態に陥った場合、希望どおりの晩年を過ごせなくなる可能性もあります。

終活は、死後の準備だけを意味するわけではありません。晩年の生き方と人生の終え方全般についての準備でもあります。自分の希望を明確にし、家族が判断に迷う場面を減らすための準備といえます。

終活における7つのやることリスト

終活の進め方に、決まったルールはありません。何をするのかも、どのように進めるのかも自由です。

とはいえ、指針がないと進めにくいものです。迷ったときは、まず次の7項目から整理すると進めやすくなります。

1.エンディングノートを作る

エンディングノートとは、人生の終わりを迎えるにあたって伝えておきたいことをまとめたノートです。

記載内容は、本人の氏名や住所といった個人情報、資産や保険といったお金関係、終末期の医療や介護の希望、葬儀の希望、死去したことを知らせてほしい人など多岐に渡ります。

エンディングノートに決まった形式はないため、一般的なノートに書くこともできます。しかし、市販のエンディングノートには、あらかじめ書いておくと良いことが整理されているので記入しやすいでしょう。

なお、エンディングノートに法的な拘束力はありません。葬儀や手続きを確実に実行してもらいたい場合は、後述する死後事務委任契約などで備える必要があります。

2.生前整理を行う

人は、生活を送るなかで様々な資産を築きます。死後に家族や第三者の手を煩わせないよう、生前に身の回り品や財産の整理を進めておきましょう。

品物の整理・処分

衣類や日用品、趣味の品など、所有している品物の整理は早めに始めましょう。

整理をするときは、1年間を振り返って使用したかどうかを考えてみるのがおすすめです。1年使っていないものは、これから先も使わない可能性が高いからです。

不用品は、リサイクルショップやフリマアプリに出すことで次の利用者を見つけられます。趣味の品などは、友人や仲間たちに譲るのも良いでしょう。引き取り手がないものは、不用品回収や粗大ごみなどに出すことになります。

資産の把握

保有資産は、死後、相続人に引き継がれることになります。相続人が簡単に財産を把握できるように、資産の把握と整理をしておきましょう。

まずは、銀行口座と証券口座、保有しているクレジットカードを書き出してみてください。口座やカードが多いと、相続の際の手間が増えます。利用頻度の低い口座やクレジットカードは解約して、なるべく数を減らしておくと良いでしょう。

また、それぞれの口座の残高や保有している投資商品の一覧、加入している保険の一覧なども作っておきましょう。

3.デジタル終活

デジタル終活は、デジタルデータにまつわる終活です。利用中の月額サービスや、オンライン証券の口座データなどお金にまつわるデータは特に重要ですから、内容とID、パスワードを書き出しておきましょう。

パソコンやスマートフォンの中の写真、SNSアカウント、メールデータなどの整理も必要です。残すものは家族がわかるように整理しておき、見られたくないものは処分します。見られたくないが処分もしたくないものには、パスワードをかけておくのが良いでしょう。

4.医療や介護に対する要望をまとめる

最期が近くなったとき、どのような医療や介護を受けたいのかを検討し、家族に伝えておきましょう。具体的には、病院、ホスピス、在宅といった最期を迎える場所の選択と、どの程度積極的な治療を受けたいかといった要望が該当します。

また、介護が必要になったときに利用できる制度の調査も大切です。自分で正常な判断ができなくなる可能性も考えて、あらかじめ希望を伝えるとともに、早期に異変に気づいてもらえる環境づくりをしておきましょう。

5.葬儀に関する準備

終活では、葬儀を滞りなく行うための準備もしておきましょう。遺影の用意や、葬儀に呼びたい人と呼びたくない人のリストアップ、予算、希望の葬儀社などをまとめておくと手続きがスムーズです。

なお、葬儀をしたくない場合は「したくない」という希望を伝えなければいけません。エンディングノートに明記したり、家族に伝えたりしておきましょう。

6.お墓を決める

現代では、どこのお墓に入るのかも個人が生前に決められます。先祖代々のお墓に入るのではなく、納骨堂や樹木葬を選ぶこともできます。また、生前にお墓を建てておく「生前建墓」も可能です。この場合、お墓に相続税はかかりません。

墓にも、公営墓地や寺院墓地、霊園などの種類があります。費用や立地、管理体制、設備などを参考に検討しましょう。

7.遺言書を書く

相続トラブルを避けるためには、遺言書の作成が効果的です。遺言を残すほどの財産はないと思っていても、思わぬトラブルになることもあります。財産目録の作成時に、合わせて考えておきましょう。

なお、法律上遺言は厳格な要式行為とされており、普通方式としては「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」のいずれかの要式を満たす必要があります。特に内容を第三者の確認なしに作成する自筆証書遺言や秘密証書遺言を作成する際は、不備に気を付けましょう。

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終活で見落としやすい「判断能力の低下」と「死後の手続き」への備え

7つのやることリストで、財産・情報・葬儀・遺言の準備は整えられます。しかし、ここで見落とされやすいのが、「判断能力が低下したとき、誰が支援するのか」「亡くなった後、誰が実際に手続きを行うのか」という点です。エンディングノートや遺言書に希望を書いても、それを実行する人を法的に決めておかなければ、希望どおりに進むとは限りません。

判断能力の低下に備える――任意後見契約

認知症などで判断能力が低下すると、財産の管理や福祉サービスの契約を自分で行うことが難しくなります。判断能力があるうちに、将来支援してもらう人と支援内容を契約で決めておくのが任意後見契約です。誰に何を任せるかを自分で選べる点が特徴です。

死後の手続きに備える――死後事務委任契約

葬儀の手配、行政への届出、医療費や施設利用料の精算、公共料金の解約といった「亡くなった後の手続き」は、遺言書では実行を任せられず、任意後見契約も本人の死亡で終了するためカバーできません。これらを生前のうちに信頼できる人へ託しておくのが死後事務委任契約です。身寄りのない方や、家族に負担をかけたくない方にとって、有効な備えとなります。

判断能力が低下した後の支援には任意後見契約、亡くなった後の事務手続きには死後事務委任契約、財産の承継には遺言書が使われます。必要に応じて組み合わせておくと、本人の希望を実行しやすくなります。それぞれの詳しい内容や使い分けは、死後事務委任契約に関する記事で解説しています。

終活を行ったほうが良い理由

終活をしておくと、本人の希望を整理できるだけでなく、家族が手続きや判断に迷う場面を減らせます。

終活が役立つ場面を、主に次の3点から確認します。

老後生活の不安を解消

医療や介護、住まい、死後のことを事前に整理しておくと、希望を家族や支援者に伝えやすくなります。

高齢になると、若い頃にはなかったトラブルや悩み、不安も出てきます。介護や医療、死を迎える場所、死後のことなどを考えると不安にさいなまれるという方もいるでしょう。終活で将来に向き合うことは、こうした不安の解消につながります。

遺産相続に対するトラブル防止

遺言書の作成や財産の棚卸と整理をしておくことが、遺族間のトラブル回避になります。

特に問題なく付き合っていた家族でも、お金がからむと揉めてしまうものです。また、相続財産の把握にも手間がかかります。財産が全部でどのくらいあり、誰に何を残したいのかを本人が記しておけば、相続手続きもスムーズに進むでしょう。

家族の負担軽減

身の回りを整理し、自分の意思を明確にしておくことは、家族の負担軽減につながります。

医療や介護をどのように受けたいのか、どのような最後を迎えたいのかが明らかになっていれば、家族が「本当にこれで良かったんだろうか」と悩む必要はなくなるでしょう。葬儀の希望や遺影の用意なども同様です。

また、身の回り品を整理しておくことで、本当に家族に残したい大切なものがわかりやすくなります。残したいもの、処分してよいものを分けておくことも、家族の負担の軽減につながります。

終活を始めるタイミングは人それぞれ

終活をいつ始めるかは、人それぞれです。とはいえ、20代、30代、40代の頃は、仕事や子育てなどでなかなか自分の時間が取れない方も多いでしょう。それに、この年代の方にとって、死はまだ遠い存在です。

50代に差し掛かったら、将来のことを考え始めてもよいでしょう。退職前後の60歳〜65歳頃を目安に、財産や医療・介護、相続の準備を具体化する人も多くなります。

遺言書や任意後見契約、死後事務委任契約は、弁護士に依頼して作成してもらうことができます。活発に行動できるうちに、信頼できる相談先を見つけておきましょう。

当事務所では、遺言書の作成をはじめ、任意後見契約や死後事務委任契約など、終活に関する法的な備えを総合的にサポートしています。準備の優先順位に迷う場合は、家族構成や財産の状況を踏まえて、必要な手続きから整理できます。

「誰が手続きをするか」まで、決まっていますか。
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遺言書だけでは、葬儀や各種手続きの実行までは任せられません。必要な備えを整理してご案内します。

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よくある質問(FAQ)

終活は何から始めればよいですか。

まずはエンディングノートで希望や財産を書き出すところから始めると、整理しやすくなります。そのうえで、遺言書・任意後見契約・死後事務委任契約など、法的な備えを必要に応じて検討するとよいでしょう。

遺言書を書けば、葬儀や手続きも任せられますか。

いいえ。遺言書は主に財産の承継を定めるもので、葬儀や各種手続きの実行は対象外です。これらを任せたい場合は、死後事務委任契約で備える必要があります。

身寄りがない場合、終活で特に備えるべきことは何ですか。

亡くなった後の手続きを行う人がいないため、死後事務委任契約の検討が特に重要です。判断能力の低下に備える任意後見契約とあわせて準備しておくと安心です。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。