企業の風評被害

【弁護士監修】レピュテーションリスクとは?リスクが顕在化した事例と対策方法

2022.09.29
【弁護士監修】レピュテーションリスクとは?リスクが顕在化した事例と対策方法

SNSをはじめとするさまざまな情報媒体が利用できる現代。企業や商品のレビューを誰でも簡単に投稿、閲覧できるため、企業は常に第三者から監視されている状況といえます。企業が過失を犯したり、ユーザーを満足させられなかったりするとすぐに拡散されてしまうリスクがあります。

インターネットの力を軽視して顧客を失うことがないよう、レピュテーションリスクのことを理解しておくことが大切です。この記事では、レピュテーションリスクの原因や事例、対策方法などを詳しく解説します。

レピュテーションリスクとは

レピュテーションリスクとは

レピュテーションは、「評判」を意味する言葉です。ここから、レピュテーションリスクとは、企業や製品に関する悪い評判が企業の信用やブランド価値に深刻な影響をもたらす危険性を意味します。レピュテーションリスクが注目されるようになった背景には、情報の高度化やインターネットの成熟があげられます。

現代はインターネットの普及により、企業やブランドの訴求が簡単に行えるようになり、企業に対するユーザーの期待値を高めやすい時代です。しかし、その反面、企業に対するネガティブな評価も拡散されやすくなっています。ときには多くのネガティブ評価が拡散された結果、炎上してしまい、株価にも影響を与えてしまうこともあります。

レピュテーションリスクを抑えるためにも、日頃のリスク管理と対策が大切です。

レピュテーションリスクが高まる要因と事例

レピュテーションリスクが高まる要因と事例

レピュテーションリスクは、企業の評判が顧客や消費者の期待を裏切ったときに高まります。リスクが高まる要因と、実際に企業が被害を受けた事例を紹介します。

コンプライアンス違反

企業が法律等の社会的規範に反することを行っていた場合、当然のことながらレピュテーションリスクにさらされます。コンプライアンス違反が明るみに出ると、評判の悪化から経営難になるほど大きなダメージを被ることも珍しくないでしょう。

コンプライアンス違反の具体例としては、脱税や横領、インサイダー取引や相場操縦行為、産地偽装や違法建築などがあげられます。これらのコンプライアンス違反は、顧客やユーザーの指摘により発覚することもありますが、社員からの内部告発によって明るみに出てしまうケースもあります。

事例:賞味期限や産地の偽装が発覚(船場吉兆)

コンプライアンス違反の事例としては、船場吉兆の賞味期限や産地偽装があげられます。高級料亭として知られていた船場吉兆ですが、2007年に数々のコンプライアンス違反が内部告発により明るみに出ました。記者会見の様子がテレビでも大々的に報道されたこともあり、記憶に残っている人もいるでしょう。

結果的に船場吉兆は顧客の信頼を回復できず、2008年5月28日をもって廃業に追い込まれています。コンプライアンス違反がいかにレピュテーションリスクになっているかを示す事例です。

社員の不祥事

従業員の不祥事は企業にとってのレピュテーションリスクです。近年では、勤務中にふざけた行為を画像や動画で撮影し、SNSに投稿する通称「バイトテロ」なども横行しています。

特に会社の規模が大きくなればなるほど、経営陣による監督が現場まで行き届きにくくなるため、従業員の不祥事というリスクも高まるでしょう。

事例:アルバイトの不衛生行為がネットに拡散(ピザーラ)

社員や従業員の不祥事の有名な事例は、ピザーラで起きたバイトテロの一件です。ピザーラ東大和店の女性アルバイト従業員2人が、店内の冷蔵庫やシンクに入った写真を撮影し、SNS上に公開したことで大炎上しました。

結果的に、ピザーラ東大和店を経営していたフランチャイズ店の有限会社ワンダーは信頼を回復できず、2016年に破産申請しています。

製品・サービスの欠陥や質の低下

製品やサービスの欠陥や質の低下は、レピュテーションリスクの増大に直結する問題です。特に現代は、SNSや口コミサイトなどで「あのお店の態度は最悪だった」「同じ価格なら別のお店のほうが大きい」などといったクレームが瞬く間に拡散されます。

また、リコールなどが行われた際には、ユーザーから「あのメーカーは品質が低い」と評価され、別メーカーに流れてしまうケースもあります。

事例:部品の欠陥による大規模リコール(トヨタ)

製品の欠陥が原因でレピュテーションリスクを増大させた例としては、トヨタの大規模リコールが有名です。一部の年代で製造されたノアやヴォクシーなどの車両で、低圧燃料ポンプのインペラに欠陥がありました。最悪の場合はエンストする危険性があるとして、2020年10月にリコールを表明しています。

根拠のない風評被害

根拠のない風評被害によって信頼が損なわれるケースもあります。特に現代はSNSの利用ユーザーも多く、感情的に企業の誹謗中傷を書く人も少なくないでしょう。書かれた誹謗中傷が事実であるかどうかに関わらず、人々の関心を集める内容であればあっという間に拡散されてしまいます。

根拠のない風評被害から守るためにも、顧客満足度を高める企業経営は大切です。また、根拠がなく影響の大きい誹謗中傷に関しては、法的措置を取るなど毅然とした対応も必要になります。

事例:友人同士のジョークが発端で取り付け騒ぎに発展(豊川信用金庫)

風評被害のレピュテーションリスクの事例としては、「豊川信用金庫事件」があげられます。1973年に起きた銀行の取り付け騒ぎのことで、女子高生の友人同士のジョークによって引き起こされました。豊川信用金庫に就職の決まっていた友人をからかうつもりで「豊川信用金庫は(銀行強盗に襲われるから)危ないよ」と言ったことが発端です。

この話を聞いていた周りの人たちが「豊川信用金庫は(経営が)危ない」と勘違いし、瞬く間に噂が広がった結果、総額20億円もの取り付け騒ぎとなりました。一度広まってしまった情報は訂正が難しいことを示す典型的な例でしょう。

リスクを軽減する「レピュテーションマネジメント」の方法

リスクを軽減する「レピュテーションマネジメント」の方法

紹介してきた事例のように、企業の信頼を損なう事態に陥らないよう、平時からレピュテーションリスクを管理することが重要です。ここでは、レピュテーションリスクを抑えるための事前準備を含めた管理方法を解説します。

危機管理対応のマニュアルを策定

レピュテーションリスクのマネジメントとしてまずできることは、危機管理対応のマニュアル策定です。問題発生時の社内フローなどを決めておきましょう。経営層や従業員全体で危機管理への対処法を理解していれば、有事の際にスムーズに対応を進められます。

社内規定や業務マニュアルを再度作り直して、レピュテーションリスクから事故を引き起こさない体制作りを目指しましょう 。

情報発信

レピュテーションを保つためには、顧客との良好な関係性の構築も重要です。顧客やユーザーと信頼関係を作るためには、SNSを通じた情報発信が効果的です。自社サービスの紹介や宣伝だけでなく、企業姿勢や経営理念などを伝え続けることで信頼を獲得できるでしょう。

従業員教育の徹底

「バイトテロ」などのレピュテーションリスクを抑えるためには、従業員教育の徹底が必須です。定期的に研修を実施して、不祥事が発生しにくい社風を作っていくようにしましょう。

研修を行う際は、実際のSNSの投稿リスクや賠償請求などの具体例を取りあげ、たった一つの悪ふざけが多く人の人生を破滅させる意識を強く根付かせることが大切です。研修や教育を行ったあと、同意書や誓約書の提出を義務付けるとさらに高い効果が期待できます。

社内の監視・チェック体制を強化

社員の不祥事を抑止するには、社内の監視・チェック体制の強化が有効です。社内のチェック体制の強化は、経営陣と現場で方法が異なります。経営陣相互間で監視・監督する体制を作るようにしましょう。また、現場レベルではコンプライアンス違反を防ぐための多重チェックや、違反者には制裁がある旨の発信などがおすすめです。

顧問弁護士を置く

レピュテーション・マネジメントを遂行するうえで心強いのが顧問弁護士の設置です。法的措置が必要なときはもちろん、平時でもコンプライアンス違反や法的な問題がないかをチェックするときに助言をもらえます。法律の専門家にいつでも相談できる体制を作っておけば、安心して企業活動を行えるでしょう。

アークレクト法律事務所では、法人向けの顧問契約も請け負っています。対応が難しい風評被害対策にも豊富な経験を有していますので、レピュテーションリスクに不安がある人はお気軽にご相談ください。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。