人権侵害

人権侵害とは、人が人として当然にもっている「人格的生存に不可欠な権利(人権)」を侵害することです。人権の主なものは憲法によって保障されている権利であり、たとえば身体や生命を侵されないこと、表現の自由、幸福追求権などが該当します。

人権侵害は、もともとは国家権力などの公権力が主体となって、個人に認められた憲法上の権利(人権)を侵害することを指す言葉でした。たとえば国が国民の自由な発言や表現を禁止したり、国家に刃向かうものを不当に逮捕したり暴行を振るったり裁判をせずに処罰したりする場合などです。
しかし近年では意味合いが広まり、「私人間における権利侵害トラブル」にも「人権侵害」という言葉が使われるケースも増えてきました。たとえば雇用者が被雇用者にサービス残業を強いたり強制労働させたりすることも人権侵害となります。

ネット上における権利侵害のトラブルが「人権侵害」といわれるケースもあります。たとえばネット上での誹謗中傷は「名誉権侵害」、個人情報をさらすと「プライバシー権侵害」、他人の姿が写っている写真や画像を勝手に投稿すると「肖像権侵害」などとなります。

本来的な「人格侵害」は「強者が弱者に対して行うもの」であり、対等な関係での名誉毀損等の権利侵害は人権侵害とは異なります。ただ「人権侵害」であろうと「対等な相手からの権利侵害」であろうと、他者から権利侵害を甘んじて受ける必要はなく、不法行為にもとづく損害賠償請求が可能となります。