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実名報道は削除依頼できる?逮捕歴や前科の情報を消す4つの方法
2021.10.07一度、実名報道で被疑者の氏名や前科が公開されてしまうと、その記録はなかなかネットから消すことができません。本人の知らないところで、犯罪の記録が転載され、保存されていることもあります。しかし、もしそのことが更生の足かせになってしまうとしたら不幸なことです。
そこで今回は、逮捕の事実や犯罪歴に関するネット上の実名報道を削除できるのか、詳しく解説していきます。過去に起こした事件のために人生をやり直せないと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
実名報道の情報は削除できる?
実名報道の記録は、削除できる場合とできない場合があります。
逮捕歴や前科などは個人情報に該当するため、プライバシー権を根拠に掲載情報の削除を請求することが可能です。しかし、実際に削除されるかどうかは、報道機関の判断や媒体、状況などによって異なります。
削除できるケース
前述の通り、ネット上の実名犯罪情報は、プライバシー権の侵害を根拠に削除を請求することができます。人にはそれぞれプライバシー権があり、平穏な私生活をみだりに公開されないことが保証されているためです。
一方で報道機関は「表現の自由」に基づいて報道しているため、記事の削除請求には応じないのが一般的な対応です。この場合、プライバシー権と表現の自由のどちらが優先されるかが問題になりますが、裁判で「プライバシー権が優先される」と判断されれば記事の削除が認められます。
また、個人ブログや掲示板などに書き込まれた情報は、掲載元に対して個別に削除依頼が可能です。こちらも削除を拒否されることは考えられますが、法的手段に訴え、裁判で認められれば削除が可能です。
削除が難しいケース
ネット上に掲載されたニュース記事は、表現の自由に基づく行為であるため、裁判をしても必ずしも削除依頼が通るとは限りません。中立的な報道の場合は、情報の有益性を鑑みてプライバシー権よりも優先される可能性があるでしょう。
また、SNSに書き込まれ、不特定多数にシェアされた場合、残さず削除対応することは事実上できません。これは権利の問題というよりも物理的な手間の問題です。
実名報道によって被る不利益
逮捕時の報道や前科が残り続けることは、日常生活に影響を与える恐れもあります。実名とともに報道されることで被る不利益の具体例を考えてみます。
就職や転職での採用可否にかかわる
実名報道は、就職や転職での採用に影響する可能性があります。就職希望先の人事担当者が、検索エンジンを使って応募者の名前を検索することがあるためです。
検索結果に逮捕時の情報が出てくると、心証を損ない採用が見送られるかもしれません。社会復帰が困難となってしまう前に、早急に対策を講じることが必要です。
勤務先での人事考課に悪影響を与えてしまう
無事に就職先を見つけることができても、勤務先からの評価に悪影響を与える可能性もあります。例えば、きちんと業務をこなしていても、前科があるという事実が人事考課(従業員の成績や能力、業務姿勢などを評価すること)に予断を与えてしまうかもしれません。
前科があるから簡単に転職先が見つからないだろうと足元を見て、差別的な待遇をする企業もあるため、注意が必要です。
賃貸契約を結べない可能性がある
賃貸物件を借りる際も、ネット上に逮捕時の記事が残っていることで、入居審査(賃貸物件を契約する前に、人柄や支払い能力の有無を判断する審査のこと)に落ちる可能性があります。
大家は「支払いが滞らず、トラブルを引き起こさない入居者に物件を貸したい」と思うものです。人柄や支払い能力に問題が無くても、前科があるというだけで危険人物視されることは十分考えられます。
交際・結婚で恋人や両親に悪い印象を与えてしまう
実名報道は、恋人やその両親にも悪い印象を与えかねません。子供の交際相手に前科があることを承知したうえで、交際や結婚を簡単に許す両親は多くないでしょう。
仮にネット上に逮捕されたときの記事や情報が残ったままだと、生涯を共にしたいと思った相手と出会えても結果的に破局に至ってしまうかもしれません。
実名報道された逮捕歴や前科を削除依頼する方法
実名報道された逮捕歴や前科に関する情報を削除依頼する方法は複数あります。ここでは4つのパターンをそれぞれ詳しく解説していきます。
方法1 削除フォームから削除依頼する
ネット上の書き込みサービスの大半に設けられている「通報機能」や「削除フォーム」からサイトの運営者に削除依頼の請求が可能です。
5ちゃんねるなどの匿名掲示板やSNSサイトに実名が書き込まれた場合、まずサイトの削除フォームから削除依頼してみてください。
必ず依頼に応じてもらえるという保証はありませんが、費用はかかりません。この方法で削除依頼に応じてもらえなかった場合は、別の対策を講じる必要があります。
方法2 弁護士に削除依頼してもらう
削除フォームからの削除依頼に応じてもらえなかった場合の次善の策は、弁護士に対応を依頼することです。
逮捕歴や前科などの情報を公表することに社会的な意義があると考えるサイト運営者に対しては、法的根拠に基づき説得するのが効果的です。弁護士を通して削除の必要性を説明すれば、スムーズに要求に応じてもらえる可能性が高くなります。インターネットの法律問題に精通した弁護士を頼りましょう。
方法3 運営者に送信防止措置依頼を送る
実名報道がなされたサイトの運営者に「送信防止措置依頼」を送ることで、削除依頼に応じてもらえる可能性があります。
送信防止措置依頼とは、ネット上で権利の侵害を受けた際に、プロバイダ責任制限法に基づいてサイトの運営側(プロバイダ)に対して削除依頼を要求することです。
一般的には、弁護士が依頼者に代わってサイトの運営側に対して「送信防止措置依頼書」という書類を送付します。書面を受け取った相手側が要否を検討し、可能であれば発信者(投稿者)に照会手続きを行い、反論がなければ対象の記事や投稿を削除するという流れです。
ただし、削除依頼を受け入れるかどうかは、発信者の意思とサイト運営者(プロバイダ)の判断次第です。
実名報道の削除依頼はまず弁護士に相談を
ネット上の実名報道に対して個人で削除依頼しても、要求に応じてもらえないケースは珍しくありません。報道機関などは、被疑者の実名や犯罪歴を公表することにこそ社会的な価値があると考えていることもあり、表現の自由と犯罪者のプライバシー権のバランスについては意見が分かれるところです。
それでも削除依頼に応じてもらうには、ときにサイト管理者を法的根拠に基づいた説得が必要になります。また、そうした対処は情報が匿名掲示板やSNSなどに拡散されてしまわないうちに動かなければなりません。
そのため、被害や影響を抑えるには、できるだけ早い段階でwebや通信関係に強い弁護士を通じて実名報道の削除依頼を行うのがおすすめです。弁護士法人アークレスト法律事務所は、インターネット関連のトラブルを数多く解決してきた実績をもとに、実名記事削除も迅速に進めてまいります。ぜひお気軽にご相談ください。
監修者
野口 明男(代表弁護士)
開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。
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