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名誉毀損罪(刑法230条)の成立条件や量刑について解説
2021.04.03ホスラブや爆サイに、悪口を書きこまれて困っていませんか?
ホスラブや爆サイなどの匿名掲示板に、誹謗中傷を書き込まれたケースでも、名誉毀損罪に該当する可能性があります。
名誉毀損は、誰しもが1度は耳にしたことのある言葉でしょう。他人の名誉をおとしめるような行為は、刑法230条に規定されている、れっきとした犯罪行為なのです。ネット上の悪口であっても名誉毀損罪に該当する可能性があります。
名誉毀損罪で訴えるためには、刑法230条の条件を満たす必要があります。本記事では、名誉毀損が成立する条件や、刑の重さについて解説します。
1.名誉毀損罪(刑法230条)の内容
名誉毀損罪とは、刑法230条に規定されている犯罪行為です。
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
[引用元]e-GOV:第三十四章 名誉に対する罪
ホスラブや爆サイなど、インターネット上の誹謗中傷も、名誉毀損罪の対象となることがあります。
しかし、上記の法令の原文は、「公然」や「適示」など馴染みのない言葉が入っていて、理解しにくいかもしれません。言葉の意味や名誉毀損が認められる要件について、次項でわかりやすく説明します。
2.名誉毀損罪(刑法230条)の成立条件
刑法230条で定められている名誉毀損罪は、以下の4つの条件を満たしたときに成立する犯罪です。ホスラブや爆サイなど、インターネット上のトラブルでも、条件にあてはまるケースでは、名誉毀損罪に該当する可能性があります。
2-1.公然とおこなわれること
公然性とは、「不特定多数の人が直接に認識できる状況」です。不特定多数の人の中には、顔を知らないインターネット上の人々も含まれます。
つまり、ホスラブや爆サイなどの匿名掲示板上で、誹謗中傷をおこなった場合も、「公然と名誉を毀損された」と言えます。
2-2.事実を適示していること
名誉毀損罪が成立するには、事実を摘示していることが条件です。摘示とは「あばくこと」を指し、事実を具体的に示すことが、条件に該当します。
たとえば、「Aさんは枕営業をしている」といった具体的な内容です。この場合の事実とは、真実であるかは問われません。もし、誹謗中傷が「バカ」や「デブ」などの抽象的な表現である場合は、名誉毀損罪ではなく、侮辱罪に該当します。
2-3.人の名誉を毀損していること
刑法230条名誉毀損罪の成立には、「人の名誉を毀損していること」という条件も必要です。
「誹謗中傷されているなら、名誉を毀損していることになるのでは?」と思われるかもしれません。しかし、刑法230条では、「どこの誰が」誹謗中傷されているかが重要で、誹謗中傷されている個人が特定できない内容は、名誉毀損に該当しないのです。
名誉毀損罪では、「受けた行為によって社会的評価が下がったこと」が条件になります。そのため、誹謗中傷されている対象が誰かわからない場合は、名誉毀損罪に該当しません。
ただし、イニシャルやハンドルネームでも、投稿の流れなどから、特定の誰かのことを指していると判断できる場合は、名誉毀損が成立することもあります。
2-4.事実の有無は問わない
刑法230条では、基本的に書かれた内容が、真実かどうかは関係ありません。たとえば、ホスラブで「AはBと不倫している」と書き込まれたケースでは、実際に不倫をしていたとしても、ほかの条件を満たせば名誉毀損罪の対象です。
ただし、死者に対して名誉を毀損した場合の、事実の摘示は名誉毀損にあたりません。誹謗中傷された対象が死者の場合は、虚偽の事実を適示したときに、名誉毀損罪が成立します。
3.名誉毀損罪(刑法230条)の量刑は?
名誉毀損罪が成立した場合に、加害者にはどのような量刑が、科せられるのかを説明します。
3-1.刑事責任の場合
刑法230条では、名誉毀損罪により法定刑が確定した場合は、次の量刑が科せられます。
- 3年以下の懲役、もしくは禁錮
- 50万円以下の罰金
上記どちらかの刑事罰が与えられ、前科がつきます。
3-2.民事責任の場合
名誉毀損の場合は、刑事事件だけでなく、民事事件として民事裁判を起こすことも可能です。民事裁判を起こして、名誉毀損が認められたときは、加害者に慰謝料の支払が科せられます。
慰謝料は、状況によって金額が変わるため、一概にいくらとはいいきれませんが、裁判で決まる場合は50~100万円程度です。
4.名誉毀損罪は刑法230条で刑罰の対象となる
名誉毀損罪は、刑法230条に定められた犯罪行為です。
ホスラブや爆サイなどの匿名掲示板で誹謗中傷されたケースでも、名誉毀損罪の条件を満たせば、刑事事件として告訴できます。名誉毀損罪が成立すれば、加害者には3年以下の懲役あるいは禁錮、または50万円以下の罰金が科せられ、前科がつきます。
ホスラブや爆サイでの名誉毀損罪が成立するかは、状況によるため、ネットの誹謗中傷に詳しい弁護士に相談するのがよいでしょう。
監修者
野口 明男(代表弁護士)
開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。
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