企業の風評被害

悪質なGoogleマイビジネスの口コミ削除業者に注意!見分け方や対処法を解説

2021.11.16
悪質なGoogleマイビジネスの口コミ削除業者に注意!見分け方や対処法を解説

多くの店舗運営者にとってGoogleマイビジネス上の口コミは、自店の信頼度を示す重要な指標です。身に覚えのない書き込みは、自店の信頼性にもかかわるため、返信で反論したくなるところですが、逆に炎上してしまうリスクもあり慎重にならざるを得ません。

そして、そんな心理状況につけ込んで、口コミ削除をうたう悪徳業者も存在します。こういった悪徳業者の手口や見分け方、連絡があった場合の対処法を解説します。

Googleマイビジネスの口コミ削除業者の悪質な手口

Googleマイビジネスの口コミ削除業者の悪質な手口

2021年8月、Googleマイビジネスの口コミの改ざんを請け負う削除業者が、多数のクリニックの口コミ対策を請け負っていたという報道がありました。

記事によれば、在籍するスタッフが高評価のレビューを書き込み、通常は消すことのできないレビューを非表示にして評価を上げるという手口で、評価を操作していたということです。

「風評被害を放置すると業績が低下する」と不安を煽り、配布していた資料にも「評価3.5以下になると大変なことになる」と脅し文句を入れて営業をかけていました。成功報酬は50万円程度で、2年間で400件にのぼる数を受注していたといいます。

参考:病院の口コミ、改ざん業者が高評価に書き換え…「評価3・5以下なら大変」と営業攻勢 : 社会 : ニュース

悪質な口コミ削除業者の見分け方チェックリスト

悪質な口コミ削除業者の見分け方チェックリスト

口コミ削除業者がすべて違法であるとは断定しませんが、以下のような特徴に該当する業者は、詐欺の可能性があるため注意しましょう。

即日対応の触れ込み

即日対応をうたい文句にする業者には注意が必要です。書き込みの削除は基本的に書き込んだ本人にしかできません。

もし即日で対応できたのであれば、その業者自身が書き込んでいた口コミだった可能性があります。本人が書き込んでいない投稿は裁判手続を経るか、Googleが任意に対応する場合でも即日削除はされないので、即日対応などできるはずもありません。

直接営業の連絡があった

削除業者から直接営業の連絡があった場合にも注意が必要です。悪質な業者は、先述のような自作自演の手口を使っている可能性があります。

いわゆるマッチポンプと呼ばれるもので、自ら誹謗中傷の書き込みをしてから、その店に営業の連絡を入れるという手法です。絶対ではありませんが、誹謗中傷に悩まされ始めたタイミングで連絡が入った場合は警戒したほうがよいでしょう。

過大な喧伝

「高評価の口コミを増やせます」または「店舗に不利な投稿は必ず削除できます!」などといったうたい文句で宣伝している業者にも注意してください。本来、口コミの評価を操作することや、口コミを「確実に」削除することはできないからです。

Googleマイビジネスは、店舗側から口コミ・評価を投稿できない仕組みのため、高評価の口コミを意図的に増やすことはできません。また、不都合な口コミを削除するにはGoogleマイビジネスに報告することになりますが、Googleマイビジネスは必ず店舗側の主張を聞いてくれるというわけではなく、投稿の削除には応じてくれないこともあるのが現実です。

法律事務所以外の業者

誹謗中傷や悪質な書き込みの削除は、本人または弁護士がGoogleマイビジネスの専用フォームから行います。弁護士ではない業者が報酬を受け取って法律行為(この場合は「交渉」に当たります)をすることは、弁護士法違反の「非弁行為」に該当します。

協力弁護士や提携弁護士がいるように見せかけている業者もいるようなので、騙されないようにしてください。

Google口コミ削除を悪徳業者に依頼した場合のリスク

Google口コミ削除を悪徳業者に依頼した場合のリスク

もし、Googleマイビジネス上の口コミを悪徳業者に依頼することは、依頼者側にも様々なリスクがあります。

店舗に対する悪評価が解消されない

悪徳業者の中には、報酬を受け取りながら何の対応もしないところもあります。この場合は当然のこととして、悪質な書き込みが削除されることはありません。

また、マッチポンプ型の業者の場合は、自ら投稿して収入の種を作るくらいの業者ですから、削除しても再び悪質な書き込みがなされることになります。何度この手の業者に削除依頼をしても、悪評価が完全に消えることは期待できません。

違法行為(非弁行為)の片棒を担ぐことになる

弁護士資格を持たない業者が削除依頼をするのは、弁護士法違反の「非弁行為」に該当します。つまり、そのような業者に依頼するということは、依頼した店舗運営者も違法行為に協力する形になってしまうということです。

アカウントが停止される

Googleマイビジネスを利用する際のガイドラインを確認すると、不正や違法行為に対し厳しい態度で臨んでいることが分かります。

違法行為
Googleでは不正な行為や違法行為は一切許容されません。場合によってはアカウントが停止されたり、ビジネス情報が検索結果から削除されたりします。ご承知おきください。

引用元:Google に掲載するローカル ビジネス情報のガイドライン
https://support.google.com/business/answer/3038177#illegal

削除代行業者を通じてGoogleマイビジネスに削除依頼をすることは違法行為に当たるため、店舗のGoogleアカウントが停止されてしまうおそれがあります。

1回目のアカウント停止であれば復旧が可能です。しかし、2回目のアカウント停止になると、実質的にアカウント削除のペナルティを受けることになります。

悪徳業者からの連絡があった場合の対処法

悪徳業者からの連絡があった場合の対処法

もし、「高評価の口コミを増やせます」、「高確率で口コミの削除ができます」などとうたう悪徳業者から連絡があった場合、どうすれば良いのでしょうか。

絶対に依頼しない

再三述べてきたとおり、このような業者が行っていることは、違法行為に該当する可能性が高いため、依頼するのはハイリスクです。依頼するデメリットの方が大きいので、絶対に依頼しないことが肝心です。

業者の情報を確認する

このような業者から連絡があった場合は、会社と責任者の名前、会社の住所、実績を確認しておきましょう。実在が疑われるような会社に依頼するのは非常に危険です。また、協力している弁護士がいるかどうかの確認も重要です。違法行為に手を貸してしまうのを事前に防ぎ、店舗を守ることにつながります。

コンタクト情報を記録する

業者からコンタクトをとってきた場合、その情報を記録しておくことをおすすめします。電話やメールの日時と内容を記録・保存しておきましょう。特に電話の内容を録音しておくと、誤って依頼してしまい、後日返金請求することになったときにも役立ちます。

Googleマイビジネスに報告する

最近になって、急に低評価が増えたり、身に覚えのない口コミが投稿されたりした場合、悪徳業者による仕込みの可能性が考えられます。その際は、Googleマイビジネスに報告しましょう。報告方法は次のとおりです。

該当の投稿を検索

まずは、Google検索画面からビジネス情報を検索して、問題となる口コミを見つけます。その投稿が、Googleの投稿コンテンツに関するポリシーに違反していることを確認しましょう。

レポートタイプを選択して報告

該当する投稿をクリックして開いたら、メニューを選択し、[投稿を報告]をクリックします。表示されるオプションの中から当てはまるレポートタイプを選択して報告は完了です。

すでに悪徳業者に依頼してしまった場合は弁護士に相談を

すでに悪徳業者に依頼してしまった場合は弁護士に相談を

すでに悪徳業者に依頼してしまった場合には、すぐにネット問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。業者に支払った代金は業者が不当に得たものとして「不当利得返還請求」するなどの対応策をとることが可能です。また、同時に悪質な書き込みの削除依頼の相談もできます。

弁護士法人アークレスト法律事務所は、これまでネット上でのトラブルや問題の解決に鋭意取り組んできました。状況に応じた個別の対応が可能ですので、ネット上でのトラブルや誹謗中傷の書き込み等にお困りの方は、お気軽にご相談ください。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。