犯罪に関わった事実はないのに、誤認逮捕でも逮捕歴が残ってしまいます。さらに、ネット上に逮捕されたニュースなどが半永久的に残ります。ネット上の逮捕歴は検索すれば誰でも見つけられる状態にあり、そのまま放置してしまうと生活に大きな影響を与える可能性があります。
この記事では、誤認逮捕による逮捕歴の意味や影響、そして削除を認めてもらう方法について解説します。
1.誤認逮捕による逮捕歴の意味
誤認逮捕とは、実際には罪を犯していないのに被疑者として逮捕されることです。事件と一切関係がなくても逮捕された事実が残り、逮捕歴が付きます。ここでは、誤認逮捕の逮捕と前歴との違い、逮捕歴の意味について解説します。
1-1.逮捕歴と前歴の違い
逮捕歴は、逮捕された事実に関する記録です。起訴された・されていないに関わらず、逮捕されると逮捕歴が残ります。誤認逮捕のように、逮捕自体が間違いだったとしても、記録は残ってしまうのです。
似た意味の言葉に、前歴があります。前歴とは、被疑者として犯罪捜査を受けた記録のことです。逮捕されなくても、検挙されると前歴として記録が残ります。
| 区分 | 定義 | 記録の残存 | 就職への影響 | 削除の可否 |
|---|---|---|---|---|
| 前科 | 有罪判決を受けた記録 | 検察庁DB・犯罪人名簿に記録(一定期間後消滅) | 資格の欠格事由に該当する場合あり | 刑の消滅後は法的効力なし(ネット上の情報は別途削除要) |
| 前歴 | 被疑者として捜査を受けた記録 | 捜査機関に記録が残る(消滅しない) | 逮捕歴と同様、身辺調査で判明の可能性 | ネット上の記事は削除請求可能 |
| 誤認逮捕 | 無実にもかかわらず逮捕された記録 | 逮捕歴として一生残る | 実名報道されている場合、就職・結婚に影響 | ネット記事の削除請求可能。刑事補償請求も可能 |
1-2.誤認逮捕の逮捕歴はいつまで残るか
逮捕されると、関係機関に逮捕歴が記録されます。氏名や住所だけでなく、指紋などの情報も保管されます。このデータが第三者に提供されることはありませんが、捜査記録から削除されることはなく、一生残ります。誤認逮捕の場合でも同様です。誤認逮捕だったからといって、逮捕歴が自動的に消去されるわけではありません。
2.誤認逮捕の逮捕歴による影響
誤認逮捕されて逮捕歴が残ると、逮捕された直後だけでなく、以降の生活にも影響が出る可能性があります。捜査機関が持つ逮捕歴は公開されませんが、逮捕されたときのニュースは残るからです。
とくにネット上の情報は消されることなく、半永久的に残されます。
2-1.家族への影響
逮捕されてニュースになると、家族が通う学校や職場などでも噂が広がります。近隣住民にも情報が広まって、引っ越す必要が出てくるかもしれません。
それだけでなく、逮捕されて実名が報道されると、SNSやブログなどで情報が拡散されます。誤認逮捕だとわかったあとも、その情報が消されることなく放置され、引っ越し先でも誹謗中傷を受ける可能性があります。
2-2.仕事への影響
ネット上に逮捕歴が残ると、就職をするときに不利になることがあります。なぜなら、身辺調査をする企業もあるからです。誤認逮捕の場合は有罪判決を受けていないため、賞罰欄への記載義務はありませんが、検索で発見されるリスクは残ります。
誤認逮捕による3つの実害
① 社会的評価の低下(名誉毀損)
実名報道により「逮捕された人」というレッテルが貼られ、職場・近隣での信用を失うおそれがあります。
法的解決策: 名誉毀損に基づく損害賠償請求や、報道機関への訂正記事・削除要請。
② デジタルタトゥー(ネット上の永続的な記録)
逮捕報道がネット上に残り続け、検索するたびに表示されてしまいます。
法的解決策: サイト管理者への削除依頼、検索エンジンへの削除申請、裁判所の仮処分による削除命令。
③ 経済的損失(休業・失職)
逮捕による身柄拘束で仕事を失い、誤認判明後も再就職が困難になる場合があります。
法的解決策: 刑事補償請求(憲法40条・刑事補償法)や、国家賠償請求(国家賠償法1条)。
3.誤認逮捕で生じる逮捕歴の問題点と対処方法
3-1.名誉毀損
名誉毀損とは、不特定多数の人が目にする場所で社会的評価を下げるような言動のことです。誤認逮捕にもかかわらず、ネット上で犯人のように扱うこと、誹謗中傷をすることも名誉毀損に当たります。
3-2.逮捕歴の削除と刑事補償
ネット上に残る逮捕情報を消さない限り、検索すれば誰でも逮捕歴を知ることができる状態です。根本的に解決するには、ネット上の逮捕歴を削除するしかありません。
ネットの情報は削除が難しいイメージがありますが、法的に削除依頼をすることも可能です。逮捕歴の削除方法については、このあと詳しくご紹介します。
また、誤認逮捕で身柄を拘束され、その後に無罪の裁判を受けた場合、刑事補償法(昭和25年法律第1号)に基づき、拘束1日あたり1,000円以上12,500円以下の刑事補償金を請求できます(憲法40条)。無罪判決を受けた場合だけでなく、不起訴処分となった場合にも、被疑者補償規程に基づく補償を受けられる場合があります。
4.誤認逮捕による逮捕歴の削除方法
4-1.自分で削除依頼をする
誤認逮捕の逮捕歴が残っているサイトや掲示板の管理人に、自分自身で削除を依頼することもできます。ただし、サイト管理人に削除の義務はなく、依頼に応じてもらえるのを待つしかありません。
4-2.弁護士に依頼して削除依頼をする
弁護士に依頼すると、逮捕歴の削除を依頼する法的な書類の作成やサイト管理人への交渉までを請け負ってもらえます。特に誤認逮捕の場合は、犯罪を犯していないという事実が明確であるため、弁護士を通じた削除請求が認められやすい傾向にあります。書き込み削除を専門にしている弁護士がおすすめです。
5.誤認逮捕による逮捕歴が生活の妨げにならない対処を
誤認逮捕されると、逮捕された事実は一生残ります。しかし、ネット上の逮捕報道については削除を求めることが可能です。犯罪を犯した事実がないため、報道の公益性が低下しやすく、削除が認められやすいのが誤認逮捕の特徴です。
誹謗中傷や事実でない情報による損害を受けた場合は、名誉毀損で訴えを起こすことも可能です。ネット上の逮捕歴が生活に支障をきたしている場合は、できるだけ早く専門の弁護士に相談し、削除依頼することをおすすめします。
6.よくある質問(FAQ)
誤認逮捕でも逮捕歴は残りますか?
はい、残ります。誤認逮捕であっても、逮捕された事実は「逮捕歴」として記録され、氏名・住所・指紋等の情報が捜査機関に保管されます。この記録は自動的には消去されません。
誤認逮捕の逮捕歴はネットから削除できますか?
削除請求は可能です。誤認逮捕の場合は犯罪を犯していない事実が明確であるため、報道の公益性が低下しやすく、サイト管理者への削除依頼や裁判所の仮処分により削除が認められやすい傾向にあります。
誤認逮捕された場合、補償を受けることはできますか?
はい。無罪判決を受けた場合は刑事補償法に基づき、拘束1日あたり1,000円〜12,500円の補償金を請求できます。不起訴処分の場合も、被疑者補償規程に基づく補償を受けられる場合があります。さらに、捜査機関の過失が認められれば、国家賠償法に基づく損害賠償請求も検討できます。
誤認逮捕の逮捕歴は就職に影響しますか?
誤認逮捕は有罪判決ではないため、賞罰欄への記載義務はありません。しかし、実名報道がネット上に残っている場合、採用担当者が検索で逮捕歴を発見するリスクがあります。ネット上の報道記事の削除が有効な対策です。
前科・前歴・逮捕歴の違いは何ですか?
前科は有罪判決を受けた記録、前歴は被疑者として捜査を受けた記録、逮捕歴は逮捕された事実の記録です。誤認逮捕の場合は前科にはなりませんが、前歴と逮捕歴は残ります。

