デジタルタトゥーの定義があるわけではありませんが、一般的に悪い情報がインターネット上に残り続けていることを意味します。SNSの投稿、写真、掲示板への書き込みなどは、一度拡散されると完全に消去することは容易ではありません。
そして、就職活動や転職活動で、過去の投稿やネット上の情報が思わぬ形で見つかって結果に影響する可能性があります。軽い気持ちで投稿した内容を後で後悔するケースもあるでしょう。
この記事では、デジタルタトゥーが就職・転職にどう影響するのか、後悔しないためにできる対策、さらに弁護士に相談できるケースまで整理して解説します。
デジタルタトゥーは就職・転職に影響するのか

デジタルタトゥーは、就職や転職にまったく無関係とはいえません。もちろん、企業が応募者のすべてを詳しく調べるとは限りません。ですが、名前での検索やSNSの確認を行うことは十分あり得ます。
そのため、ネット上に残っている過去の投稿やトラブル情報が、人物評価や企業側の不安材料につながる可能性があります。
企業が応募者のSNSやネット上の情報を見ることはある?
企業は、採用の際に履歴書や職務経歴書だけでなく、応募者の人柄やリスクを広く見ようとするケースがあります。その一環として、名前で検索したり、公開されているSNSを確認したりすることもあるでしょう。
採用する企業としては「トラブルを起こす可能性がないか」「情報管理の意識はどうなのか」「社会人としての常識に問題がないか」といった点は重視してみているかもしれません。
もちろん、検索でデジタルタトゥーが見つかったからといって、必ず不採用になるとは限りません。ただ、複数の応募者を比較して誰を採用するかが決められるため、わざわざ不安要素がある人を選びにくいという現実はあります。
デジタルタトゥーは「マイナス要素」になり得るものです。
転職時にもデジタルタトゥーが問題になるケースがある
転職の場合は新卒採用以上に「信頼して仕事を任せられるか」「社会人としての資質」が重要視される傾向があります。そのため、不用意な投稿、守秘義務を軽視するような発信、職場への強い不満や攻撃的な書き込みがインターネット上に残っていた場合は、転職先に警戒されやすくなります。
転職では経験やキャリアが重視されるため、炎上歴やトラブル歴が見つかると、スキル以前に「採用リスクが高い人」と判断されることがあります。
就職・転職に影響しやすいデジタルタトゥーの具体例

就職や転職に影響しやすいデジタルタトゥーとはどのようなものなのでしょうか。過去のどんな情報が影響するのかについて見ていきましょう。
SNSの不適切投稿や炎上発言
デジタルタトゥーとして残りやすい個人の発言として典型的なのが、SNS上の不適切な投稿です。暴言、差別的発言、迷惑行為の自慢、過激な発言、他人を嘲笑する投稿などは、就職や転職に影響しやすいといえるでしょう。
不適切なSNS投稿は「過去の一発言」ではなく「その人の判断力や倫理観の表れ」と受け取られてしまいます。
そのため、投稿内容によっては「不適切な人物」と思われてしまうのです。
逮捕歴・事件報道
逮捕報道や事件報道がデジタルタトゥーとして残っている場合は、就職や転職への影響が大きい情報です。
たとえ不起訴処分であっても、記事タイトルだけが残っていると強い印象だけが残ります。「逮捕された」というだけでマイナスイメージになってしまいます。
就職や転職の場面では、採用担当者がその背景事情まで丁寧に確認してくれるとは限りません。また、結果ではなく「逮捕された」「事件に関わった」というだけでネガティブなイメージが強くなって候補から外される可能性もあります。
デジタルタトゥーで後悔しないために今すぐできる対策

デジタルタトゥーは、問題が起きてから慌ててもすでに手遅れになっているケースもあります。ですが、それでもできるだけ早く手を打つほうが現実的です。
すでに拡散してしまった情報を完全に消すのは難しくても、新たなリスクを防いだりすることはできます。
自分の名前・ID・ハンドルネームで検索して確認する
まずは自分の過去の発言などがデジタルタトゥーとして残っているかをチェックします。自分の名前、旧姓、SNSのID、ハンドルネームなどをインターネットで検索してみることです。
一般的な検索エンジンだけでなく、画像検索、SNS内検索、掲示板検索も確認したほうがよいでしょう。過去に使っていたアカウント名、放置していたブログなど、自分の記憶にない情報が残っているかもしれません。
就職や転職を控えているなら、一度セルフチェックしておくと安心です。
SNSの公開範囲や過去投稿を見直す
次に、今、使用しているSNSやブログの公開設定を確認しましょう。プロフィール、投稿、写真一覧、フォロワー一覧、タグ付けされた投稿など、思っている以上に多くの情報が公開されているかもしれません。
過去投稿もできるだけ遡って見直し、少しでも不適切だと感じるものや誤解を招きそうなものは、削除したほうがいいでしょう。
とくに注意したいのは、単独では問題なさそうでも、他の情報と組み合わさることでリスクの高い投稿になってしまうケースです。
不要なアカウントや古い投稿を整理する
長く使っていないアカウントや、存在を忘れていたブログなどは、放置しているとリスクになることがあります。
更新していない古いアカウントは公開範囲の設定が甘かったり、昔の感覚のまま危うい投稿が残っていたりするためです。
削除できるものは削除し、削除できない場合は非公開設定に変更した方が良いかもしれません。
デジタルタトゥーは消せるのか

すでにネット上に残ってしまったデジタルタトゥーがある場合は、その情報をすべて消すのは難しいと言わざるをえません。ですが、これ以上の拡散を防ぐための対策は可能です。
サイト管理者等に削除請求する
自分で削除できないものについては、まず掲載先に削除依頼を行います。SNSの運営会社、サイト管理者、検索サイト運営会社などです。
特に、権利侵害がある場合には、削除に応じてもらえる可能性が高くなります。
削除依頼の際には、問題ページのURL、投稿内容、どの点が問題か、どのような権利が侵害されているかをはっきりと伝えることが大切です。
ただし、削除依頼を出したからといって必ず投稿が消えるというわけではありません。任意の対応となるため、相手が削除に応じないこともあります。
完全に消せないと考えるほうがよい
デジタルタトゥーが厄介なのは、元の投稿が消えても、転載、アーカイブといった形で残っている可能性があるという点です。
そのため、「完全削除」をしようとしても、現実には難しいのです。
特に、個人の端末に保存されているデータは消せません。公開されている投稿であれば削除請求の対象になりますが、個人が私的に保存しているデータはどうしようもないのが現実です。
デジタルタトゥーについて弁護士に相談できるケース

デジタルタトゥーとして残っている情報が単に不快というレベルを超え、権利侵害や社会的な不利益につながっている場合は弁護士に相談する余地があります。
とくに、就職・転職への影響がある場合やプライバシーが侵害されている場合は、早めに法的な見通しを確認したほうがよいケースがあります。
名誉毀損にあたる投稿がある場合
デジタルタトゥーの内容が社会的評価を下げるものであるという場合は、名誉毀損にあたる可能性があります。
「この人は問題がある」と思わせる内容が表示されるなら、放置するとリスクがあります。
もちろん、名誉毀損にあたるかどうかは内容次第ですが、名誉毀損に該当しそうな場合は、慰謝料請求や刑事告訴といった対応ができるため弁護士に相談する価値があります。
個人情報やプライバシー侵害がある場合
住所、電話番号、勤務先、家族構成、交際歴など、私生活上の情報が無断で公開されている場合は、プライバシー権侵害が問題になります。
こうした情報は、単に不快というだけでなく、就職・転職活動の場面で本人特定や偏見、嫌がらせにつながるおそれがあります。自身が被害者である場合は、すぐに就職や転職へ影響するとは限りませんが、二次被害につながるおそれがあるため、早急な対応が必要です。
リベンジポルノの場合
性的画像について撮影された写真などがネット上で拡散されるリベンジポルノは重大な権利侵害です。
とくに性的画像は一度広がると再拡散されやすく、本人の精神的負担も極めて大きくなります。
こうしたケースでは、削除請求だけでなく、投稿者の特定、損害賠償請求、場合によっては警察への相談も視野に入れることになります。スピードが重要なので、早めに弁護士や警察に相談したほうがよいでしょう。
削除請求や発信者情報開示請求を検討したい場合
問題の投稿を削除したいだけでなく「誰が書いたのか知りたい」「今後の拡散を止めたい」という場合には、発信者情報開示請求という方法があります。
これは法的な要件や手続きが必要ですので、自力で判断するのは難しい分野となります。
情報開示請求を検討している場合は、弁護士に相談するほうがよいでしょう。
就職・転職への影響が大きく早急な対応が必要な場合
今、残っているデジタルタトゥーが就職や転職に影響するものである場合は、早急な対応が求められます。ネット上の情報が明らかに不利益の原因になっている段階で「そのうち消えるかもしれないし」と待つ余裕はありません。
弁護士から法的な根拠に基づいて削除依頼をするほうがスムーズに対応ができるでしょう。
弁護士に相談するメリット

デジタルタトゥーの問題は精神的なダメージが大きく感情的になりやすいですが、だからこそ冷静な対処と証拠、そして、法的な整理が重要です。
弁護士に相談すると、単に「つらい」「不快」という状態から、「何が問題で、何ができるか」という段階に移行できます。
法的な判断をしてもらえる
トラブルを弁護士に相談することで、名誉毀損、プライバシー権侵害、肖像権侵害といった法的な観点から、削除請求が可能かどうか、どんな対応ができるのかを判断してもらえます。
単に「腹が立つ」「つらい」から一歩進んで「法的に主張できること」を冷静に見極める作業ができます。
証拠の集め方や保存方法を教えてもらえる
デジタルタトゥーへの対処で大切なのが証拠です。
ネット上の投稿は突然消えることがあります。後から「確かにあった」と主張しても、証拠が不十分で損害賠償請求などがしづらくなることがあります。
弁護士に相談すれば、URL、投稿日時やアカウント情報の保存など、何を証拠として押さえるべきかについてもサポートを受けられます。
削除請求・開示請求・損害賠償請求まですべて相談できる
デジタルタトゥーの問題は、投稿や書き込みを削除すればそれで終わるものではありません。投稿者を特定して損害賠償請求ができるケースもありますし、内容によっては刑事告訴といった対応もあるでしょう。
弁護士に相談すれば、削除請求だけでなく、開示請求や損害賠償請求、刑事告訴ができるのかまですべて相談できます。
まとめ
デジタルタトゥーは、一度ネット上に出た情報が残り続けるというもので、就職や転職に影響するおそれがあります。過去のSNS投稿や個人情報、掲示板の書き込みなどを見られると就職や転職で不利益につながる場合があります。
リスク管理としてできることは、まず、自分の名前やIDで検索し、SNSの公開範囲や過去投稿を見直すことです。そして、すでに投稿が残っている場合は、削除申請や必要に応じた法的対応を検討しましょう。
名誉毀損、プライバシー権侵害など権利侵害がある場合は、弁護士に相談できるケースもあります。早めに状況を確認し、適切に対処することがポイントです。





