デジタルタトゥー

デジタルタトゥーとは?消せない過去の自分に苦しめられる人生

2019.12.13
デジタルタトゥーとは?消せない過去の自分に苦しめられる人生

デジタルタトゥーが社会問題化しています。インターネットに掲載された画像や動画、文章などの情報を完全に削除することは難しいことを表す「デジタルタトゥー」。
デジタルタテトゥーにまつわるトラブルは、多くの人を悩ませています。
裸の写真だったり、アダルトビデオの映像だったりと、過去の知られたくない映像や動画、活動の記録などが一度インターネットに掲載されると、完全に削除することはできず、一生本人の人生に付きまといます。就職や結婚、子育てなどにも悪影響を及ぼしかねません。今回は、デジタルタトゥーの実態や与える影響について、事例を挙げながら解説していきます。

1.デジタルタトゥーとは?

デジタルタトゥーとは?

まずは、デジタルタトゥーの定義を確認しておきます。インターネットに一度掲載されたものは完全に消し去ることは、非常に困難です。そのことが、皮膚への入れ墨と似ていることから、消したいけれど消えずにインターネットを漂う情報を「デジタルタトゥー」と呼ぶようになりました。

インターネットにアップロードされた画像等は、早期に削除などの対応をとらなければ、どんどん拡散してしまい、完全に削除することはほぼ不可能となります。リベンジポルノに代表されるような性的な画像だけでなく、自身が加害者となったいじめの動画や、バイトテロなども十分デジタルタトゥーになり得ます。

これらの画像が一度アップロードされて拡散されてしまうと、個人のパソコンやスマホに保存されてしまい、削除しても再度拡散されるなど永続的に残り続けます。また、炎上が大きい場合は過去ログ倉庫やまとめサイトなどに掲載されてしまい、多くの人の目に触れることになります。

掲載サイトの魚拓が取られると、掲示板等から削除しても魚拓サイトには残ってしまいます。一度出回ってしまうと、インターネットの世界から完全に消し去ることは非常に困難と言えるでしょう。

2.事例で見るデジタルタトゥーの種類

事例で見るデジタルタトゥーの種類

次に具体例を挙げながらデジタルタトゥーの種類を確認していきます。デジタルタトゥーは、本人に自覚がなくても将来に悪影響を与えることにかりかねないので、注意が必要です。

2-1.リベンジポルノやアダルトチャット、動画などの性的な画像や動画

デジタルタトゥーの中でも、多くの人を苦しめているのが性的な画像動画などです。性的な画像や動画は、拡散・炎上していなくても当該者の人生を台無しにしかねません。

デジタルタトゥーという言葉が脚光を浴びるはるか昔に、アダルトビデオへの出演が週刊誌によって報道され、将来を嘱望されたスポーツ選手が日本での活動を断念することになったという出来事がありました。

この事例では、「有名人の過去を週刊誌が暴いた」ことによって人生が台無しになりましたが、多くの一般人にとって縁遠い話です。一個人の過去を、わざわざ記事にする報道機関は存在しないでしょう。しかし、インターネットの登場、そして画像検索機能の向上により、一般人の過去の性的な画像や経歴が容易に発掘されてしまう環境になりました。

タレント活動を目指していた女性が、過去のチャットレディ活動を暴かれてしまい、将来を棒に振ってしまったという事例もあります。彼女のようなタレントの卵ではない、ごく普通の一般人でも、今の生活や将来を脅かすことになりかねません。

リベンジポルノ防止法は、本人の意思に反して性的な画像や動画をアップロードすることを禁じています。しかし、これに違反するような、性的な画像や動画は多くインターネット上に存在しています。全てのケースで拡散・炎上するわけではありませんが、「画像検索機能」を用いることでほとんど人の目に触れない性的な画像が脚光を浴び、その後の経歴に傷をつけることも少なくありません。

恋人の写真や新入社員の写真などを画像検索すると、性的な画像がヒットしてしまうといった事例も考えられます。性的な画像がインターネット上に出回っていることは、少なからず評判を貶めることになります。

風俗店で勤務経験がある女性が、一般の男性と結婚する際に風俗店のホームページに掲載されていた顔写真や下着姿の写真などが画像検索によって見つかってしまい、結婚どころか交際自体も白紙に戻されたという事例もあります。

炎上していない、拡散されていないから安心というわけではなく、誰でも容易にその情報にたどり着くことができる検索エンジン機能の向上が、デジタルタトゥー問題を深刻化させていると言えるでしょう。

2-2.消せない逮捕歴・犯罪歴

デジタルタトゥーは、本人がアップロードした画像や動画だけでなく、逮捕起訴といった報道にも当てはまります。罪を犯したことが事実かどうかを問わず、その履歴はニュースサイトやまとめサイトなどに残ります。

日本では、逮捕されたとしても起訴されず不起訴処分になれば、罪に問われることもありませんし、前科つくこともありません。しかしながら、「逮捕された」というだけで犯罪者扱いされてしまい、誹謗中傷を受けることになりかねません。将来の就職や結婚に多大なる影響を与えることになります。

2-3.バイトテロ、バカッターの炎上

近年では、TwitterやInstagramなどに悪ふざけの動画やいじめ動画、バイトテロ動画を掲載して炎上・拡散する事件が増えています。Twitterにそれらの画像や動画をアップロードすることを、バカッター、Instagramに掲載することをバカスタグラムと呼ぶこともあります。

これらの投稿が拡散・炎上すると、あっという間に本人の住所や名前などの個人情報が特定されて晒されてしまいます。本人の顔写真や自宅の写真が出回ることも少なくありません。これらの情報を拡散することは、プライバシー権の侵害や名誉毀損に該当すると考えられます。そして、投稿者本人の行為が違法である場合は、訴訟を提起するなどして争わなければ、慰謝料等の請求も難しいものです。

3.本人だけでなく家族や子どもにまで悪影響を及ぼすデジタルタトゥー

本人だけでなく家族や子どもにまで悪影響を及ぼすデジタルタトゥー

デジタルタトゥーは、本人の人生に非常に大きな爪痕を残します。それだけでなく家族や子どもにまで影響を与える可能性があります。

3-1.就職活動が不利になる

性的画像やバイトテロ、逮捕歴・犯罪歴などの情報は、本人の名前や顔写真で検索するとヒットすることから、就職の選考に悪影響を与えかねません。企業の採用担当者が、レピュテーションマネジメントとしてSNSや掲示板などで候補者名を検索するなどの業務が増えています。特に、就職の際は念入りに調査されることもあり、犯罪歴やバイトテロなどの情報が掲載されていれば、就職は不利になると言えるでしょう。

3-2.家族や子どもが誹謗中傷される

ご自身の性的な画像や逮捕歴・犯罪歴、ネット炎上などの情報は、家族や子どもにも悪影響を与えます。親の性的な画像が掲載されていることがわかると、子ども同士の付き合いを制限する親もおりますので、子ども自身にも誹謗中傷の言葉が向けられる危険性があります。そして、いじめの原因にもなり、子どもの健やかな生育に支障をきたす懸念があります。
また妻や夫のデジタルタトゥーが原因で、職場で嫌がらせを受けたり、噂を拡散されて居心地が悪くなったりすることも少なくありません。

3-3.恋愛・結婚がうまくいかない

過去の犯罪歴や性的な画像が、大きな影響を与える1つが恋愛や結婚です。恋人や婚約者が、名前や写真などで検索したときに、犯罪歴や炎上歴、性的な画像がヒットすることで、結婚を控える、交際を諦めるなどの事例は少なくありません。昔は、調査会社を用いた身辺調査で、過去が調査されることがありました。しかし、現在は誰でも費用をかけずにインターネットで検索するだけで、過去を調べることができます。交際相手だけでなく、その家族や親族が検索することも考えられます。
当事者同士が納得していても、デジタルタトゥーが原因で周囲の反対に遭い、交際や結婚が阻止されてしまうこともあるのです。

3-4.退学処分・解雇

デジタルタトゥーによって、過去の写真や動画、言動などが学校や職場に発覚してしまうと、退学や解雇を余儀なくされることもあります。数年前のことだからと放置しておくと、同級生や教師、同僚や上司などのインターネット検索により、発掘されてしまうリスクが常に付きまといます。それが犯罪歴やバイトテロといった本人に過失がある事柄の場合は、退学や退職に追い込まれる可能性もあります。

3-5.店舗の閉店

逮捕されても、証拠不十分で不起訴となるケースも多数存在します。ところが、インターネットニュースなどの情報は、逮捕された事実だけを報じて、不起訴処分になったことまで報じることはほとんどありません。
アパレルや飲食店、美容室で開業した際に、それら過去の情報がデジタルタトゥーとして店舗の営業に甚大な悪影響を及ぼすことがあります。オーナー名、店主名で検索することで、逮捕歴・犯罪歴が露見してしまい、店舗の閉店を余儀なくされる事態に陥るおそれもあるのです。

また、過去の出来事だけでなく、言動が炎上の対象になることもあります。アップした写真や動画、発言などが議論の対象となり、店舗に悪評が殺到することもありますので、注意しなければなりません。

3-6.鳴り止まない嫌がらせの電話

キャバクラ勤務の女性が、同僚の嫌がらせによって出会い系サイトや公衆トイレなどに電話番号を書かれてしまい、ひっきりなしに携帯電話にいかがわしい電話がかかってくるようになったという事例もあります。電話だけでなくメールにも、卑猥な内容のメールが届くようになり、携帯電話自体が使用不能な状態に陥ってしまいます。
公衆トイレへの落書きは、落書きを削除すれば問題ありませんが、インターネット上に掲載されてしまった電話番号は半永久的に消されることはなく、数年経った後でも時折嫌がらせの電話がかかってきます。本人に落ち度がなく、写真や動画をアップロードされていなくても、電話番号がデジタルタトゥー化して日常生活に長く支障をきたし続けることもあるのです。

4.まとめ

まとめ

デジタルタトゥーは、本人の人生だけでなく家族の人生にも大きな悪影響を与える問題です。放置しておけば収まるというものではなく、炎上・拡散が落ち着いても、時を経て再拡散する事例もあります。
また、同僚や上司、人事担当者や配偶者、恋人やその親族によって検索されることで知られたくない過去の出来事や事件が発覚してしまうことも少なくありません。 これらのデジタルタトゥー問題を解決するために有効な手段は「速やかな削除」です。

※デジタルタトゥー問題を深刻化させないための削除方法については、下記の記事にて詳細を解説をしております。あわせてご覧ください。

今すぐに、デジタルタトゥーの削除をしてほしい、被害の拡大を防止したいという方は、弁護士法人アークレスト法律事務所にお問い合わせください。インターネットの削除実績が豊富な弁護士が、親身になってスピーディーに対応します。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。