【弁護士監修】デジタルタトゥーとは?意味と事例をわかりやすく・簡単に解説

デジタルタトゥーという言葉を聞いたことはありますか。どこかで耳にしたことはあるものの、なんとなくのイメージしかないという方もいらっしゃるかもしれません。

デジタルタトゥーとは、一度インターネット上に公開された情報が、削除しても完全には消えにくく、長く残り続けてしまう状態を指します。入れ墨のように、あとから消したくなっても簡単には消せないことから、このように呼ばれています。
SNSの投稿、写真、動画、逮捕報道、個人情報の流出などは、いずれもデジタルタトゥーになるおそれがあります。

この記事では、デジタルタトゥーの意味をわかりやすく簡単に解説したうえで、リスクや対処法について解説します。

目次

デジタルタトゥーとは?

デジタルタトゥーとは何かを正しく理解しておくことで、どのような情報が問題になりやすいのか、なぜ削除が難しいのかを把握しやすくなります。まずは、その意味から確認していきましょう。

デジタルタトゥーの意味

デジタルタトゥーは、インターネット上に公開された情報をあとから削除しようとしても完全には消えず、長く残り続けてしまいます。

タトゥー・・・つまり入れ墨のように、一度刻まれると簡単には消せないことから、このように呼ばれています。SNSの投稿や掲示板の書き込みだけでなく、画像、動画、ニュース記事、検索結果なども、デジタルタトゥーとして残り続ける情報に含まれます。

デジタルタトゥーとはこんな状態

デジタルタトゥーとは簡単にいうと「ネット上に公開されたことで残ってしまう、消しにくい記録」のことです。

たとえば、次のようなものが該当します。

  • 写真や動画
  • SNSでの発言
  • 炎上した投稿のスクリーンショット
  • 個人情報が載った書き込み
  • 逮捕報道やトラブルに関する記事

このような情報は、元の投稿を削除しても、個人の端末に保存されていたり、転載されたり、検索結果に残っていたりするためなかったことにはなりません。

法律用語ではない

デジタルタトゥーは法律用語ではありません。

インターネットを利用する人たちを中心に使われている表現ですが、内容によっては名誉毀損、プライバシー侵害、肖像権侵害、リベンジポルノなどの法的問題に発展することがあります。

デジタルタトゥーが消えない理由

デジタルタトゥーの問題は、一度公開された情報が本人の手を離れ、さまざまな場所に残ってしまうことにあります。では、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。

保存や転載ができる

インターネット上に公開された情報は、見た人が自由に保存できます。

スクリーンショットや画像のダウンロードによって個人の端末やクラウドに保存されている場合、それらをすべて削除することはできません。そして、その保存された画像などが別のSNSや掲示板に転載されると、さらに別の誰かの端末にも保存されることになります。

つまり、元の投稿を削除しても、情報が半永久的に残り続けてしまうのです。

まとめサイトや過去ログに残る

掲示板やSNSの投稿は、まとめサイト、過去ログ、アーカイブサイトなどに転載・保存されているケースがあります。

この場合、元の投稿を削除しても、別のページで引き続き閲覧できる状態になってしまいます。これもデジタルタトゥーの一種です。

検索エンジン

過去の投稿などと名前、顔写真、電話番号、勤務先、学校名などと結び付いた情報が、検索エンジンで表示されるケースもあります。すでに削除した過去の出来事であっても、検索結果に表示されたり、関連キーワードとして表示されたりすることがあります。

その結果、消したはずの情報が何度も掘り起こされてしまうおそれがあります。

デジタルタトゥーの代表的な事例

デジタルタトゥーは、インターネットで情報発信をしている人であれば、誰にでも生じるおそれがあります。日常のSNS利用の中で、誰にでも起こり得るものです。

SNSの不適切投稿

デジタルタトゥーのもっとも身近な例として、SNSへの投稿があります。 誰でも気軽に言葉や画像、動画を投稿できるSNSはコミュニケーションツールとして優れている反面、デジタルタトゥーのリスクもあります。

たとえば、悪ふざけの動画、迷惑行為の投稿、差別的な発言、他人を傷つける書き込みなどは、炎上する可能性が高く、拡散されると長期間残りやすくなります。

投稿した本人は軽い冗談のつもりだったとしても、見る人に強い印象を与える内容であれば、スクリーンショットなどで保存され、元の投稿を削除しても拡散され続ける可能性があります。

性的な画像や動画の拡散

プライベートなシーンを撮影した私的な写真や動画が公開・転載されるケースも、深刻なデジタルタトゥーのひとつです。

こうした性的な写真や動画は保存されるケースも多く、いったん流出すると歯止めが利かず、本人の意思に反して複数のサイトやSNSで拡散されてしまいます。

性的な画像や動画の拡散は、精神的苦痛が大きいだけでなく、人間関係や仕事、生活全体に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。

逮捕報道や事件に関する記事

逮捕や送検といった刑事事件として報道された内容が、長期間ネット上に残り続けることもあります。
その後、不起訴になったり無罪になったりしたとしても、逮捕報道だけが検索に残ってしまうと、本人にとって大きな不利益になりかねません。

たとえ無罪であっても、逮捕に関する情報がデジタルタトゥーとして残ることで、不利益を受けたり、差別を受けたりするおそれがあります。

個人情報

個人情報がネット上に晒されたり、個人が特定されるものが映り込んだ画像や動画が拡散されたりするケースも、デジタルタトゥーになりやすいといえるでしょう。

氏名、住所、電話番号、学校名、勤務先、顔写真などがネット上に晒されるケースもあります。
こうした情報は、 嫌がらせ、無言電話、ストーカー行為、なりすましなどの二次被害につながるおそれがあります。

デジタルタトゥーの影響は?情報が残されるリスク

デジタルタトゥーの怖さは、情報が残ることだけでなく、その情報が将来のさまざまな場面で本人や家族の不利益になり得ることです。

ここで、実際に生じやすい影響を確認しておきましょう。

就職や転職への影響

デジタルタトゥーが就職や転職に影響するケースがあります。企業の中には、採用判断のために名前やSNSを検索するところもあります。

その際に、不適切な投稿や炎上歴、トラブルに関する記事などが見つかると、印象が悪くなり、不採用の理由になる可能性もあります。

恋愛や結婚への影響

交際相手やその家族がネット検索を行い、過去の投稿や画像、報道を知るケースもあります。

本人にとってはすでに過去のことであっても、相手から見れば現在進行形の不安材料として受け止められることがあります。

学校生活や職場での評価

職場の同僚や上司、部下が検索したり、学校の友人が検索したりして、過去の投稿や動画が発覚し、学校や職場での関係に問題が生じるケースもあります。

内容によっては、職場での信頼を失ったり、学校での交友関係に支障が出たり、進学や在籍に影響が及んだりすることもあります。

デジタルタトゥーへの対処法

デジタルタトゥーは、放置するとますます状況が悪化する傾向があります。そのため、見つけたときはすみやかに適切な対応を取る必要があります。

証拠を保存する

自分や家族、勤務先に関する投稿などがデジタルタトゥーとして残っているのを見つけた場合は、拡散している投稿や画像、URL、アカウント名、投稿日時、検索結果の表示画面などを保存しましょう。

インターネット上の投稿について削除請求をする場合、「どこに」「何が」「どのような形で」掲載されていたのかが極めて重要です。

自分で拡散しない

デジタルタトゥーの内容を否定するために、自ら反論したり、SNSで引用したりすると、かえってその情報を拡散してしまうことがあります。

反論したくなることもあるかもしれませんし、事実確認は必要ですが、冷静な対応を心がけましょう。

削除を申請する

個人の端末やクラウドに保存された情報を消すことはできませんが、インターネット上に公開されている投稿などであれば、削除申請によって被害の拡大を抑えられる可能性があります。

この場合、サイト運営者やSNS運営会社に対して削除申請を行います。
プライバシー侵害、権利侵害、利用規約違反などにあたる場合、削除に応じてもらえる可能性があります。

弁護士や警察に相談する

誹謗中傷、個人情報、性的画像の拡散など、被害が深刻で違法性が疑われる場合は、早めに警察や弁護士へ相談したほうがよいケースもあります。

投稿内容によっては、名誉毀損、侮辱、プライバシー侵害、肖像権侵害などにあたる可能性があるため、放置しないようにしましょう。

内容によっては警察が対応するケースもありますし、弁護士が削除請求、発信者情報開示請求、損害賠償請求などを行うケースもあります。

デジタルタトゥーは自分で削除できる?

デジタルタトゥーに気づいたとき、多くの方がまず「自分で消せるのか」と考えるでしょう。しかし、投稿者本人が削除できる場合もあれば、自力では対応しきれない場合もあります。

自分で削除できるケース

自分が管理しているブログやサイトであれば、削除できる可能性があります。投稿した画像や動画、コメントなども、本人が管理権限を持っている場合には削除できることがあります。

もっとも、元の投稿を削除できたとしても、スクリーンショットなどで第三者が保存している可能性があるため、それだけで問題が完全に解決するとは限りません。

自分で削除できないケース

自分で削除できないケースの典型例は、第三者が転載している場合です。
たとえば、投稿内容がまとめサイトや掲示板、別のSNSアカウントに転載されているときは、自分ではどうすることもできません。
また、検索エンジンの検索結果に表示されている場合も、自分の操作だけで直ちに消せるわけではありません。

そして、記事や投稿の掲載先が残っている限り、検索結果に表示され続けることがありますし、掲載元を削除した後も検索結果への反映に時間がかかることがあります。

削除できても完全に消えるとは限らないのがデジタルタトゥー

デジタルタトゥーは、今投稿されている情報を削除したとしても、第三者がスクリーンショットを保存していたり、画像や文章を転載していたりする場合があるため、完全に世の中から消してしまうことはできません。

元の投稿の削除や、転載された投稿や情報の削除だけでは対応しきれないケースが多くあります。

デジタルタトゥーと誹謗中傷の違い

デジタルタトゥーは、誹謗中傷や名誉毀損と関わるケースもあります。ここでは、デジタルタトゥーと誹謗中傷・名誉毀損の違いを整理します。

誹謗中傷と名誉毀損

誹謗中傷とは、相手の社会的評価を下げるような発言や、相手を傷つける悪質な発言を指します。ネット上では、悪口、侮辱的な表現、事実に反する書き込み、名誉を傷つける投稿などが問題になることがあります。

内容次第では、名誉毀損や侮辱、プライバシー侵害などの法的問題に発展することもあります。

デジタルタトゥーは誹謗中傷なのか

デジタルタトゥーとして情報が保存されているだけであれば、直ちに誹謗中傷や名誉毀損にあたるとは限りません。個人でスクリーンショットを保管すること自体は、直ちに違法とはいえないためです。

ただし、その保存した情報を拡散したり、内容によっては相手の社会的評価を下げたりする場合には、名誉毀損や誹謗中傷に該当するケースもあります。

まとめ

デジタルタトゥーとは、一度インターネット上に公開された情報が、元の投稿や記事を削除しても完全に消えることなく、第三者によって保存・転載されることで長く残り続けてしまう状態をいいます。SNSの投稿や写真、動画、個人情報、逮捕報道、性的な画像などは、デジタルタトゥーになるおそれがあります。

デジタルタトゥーは、情報そのものがネット上や第三者の端末、クラウドに残り続けることで、過去の情報が繰り返し掘り起こされてしまうリスクがあります。

もし、自分に関する情報がデジタルタトゥーとしてネット上に残っている場合は、放置せず、証拠を残したうえで削除申請や相談を進めることが大切です。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。

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