水のトラブルでは悪質業者に注意!被害に遭ったときの対処法を解説
ネット上の企業の悪評を削除する方法や具体的な事例を紹介
2021.10.02「○○会社の営業は嘘つきだ」「休みなく働かされる」
転職情報サイトや住宅情報サイトの口コミで、企業に対する悪評が書き込まれると、社会的評価が低下して利益に影響する可能性があります。
「ネット上の情報は簡単に削除できない」というイメージを持っている人も多いでしょう。しかし、正しい手続を踏むことで、企業の悪評を削除できるケースもあります。
今回は、ネット上に掲載された企業の悪評を削除する方法と、根拠となる法律について解説します。あわせて、削除に成功した事例も紹介します。企業の利益を守るためにも、ネット上の悪評対策を確認していきましょう。
目次
目次
1.ネット上の企業の悪評は削除できる?
ネット上に書き込まれた企業の悪評は、正しい手続を踏むことで削除できる場合があります。ただし、悪評の削除は絶対にできるとは言い切れません。悪評の内容や書き込まれた状況によっては、削除できない可能性もあります。
まずは、企業を悩ませるネット上の悪評例と書き込みの影響例を解説します。
1-1.企業を悩ませる悪評の例と影響
企業に影響を与える悪評の例を挙げます。
- 株式会社A営業部の部長は不倫している
- B社の営業担当の対応は最悪だった
- 無理やりサービス残業させられた
こうした悪評は企業イメージを損なわせ、売上を減少させる恐れがあります。もし転職情報サイトに悪評を書き込まれれば、求人への応募者が極端に減り、優秀な人材を逃すリスクも考えられます。
インターネット上の情報は半永久的に残る仕組みです。悪評をそのままにすれば、情報は拡散され、より深刻な影響を及ぼしかねません。
企業イメージを守るためにも、悪評はできるだけ早く削除しましょう。
1-2.悪評は匿名制のサイトに書き込まれやすい
企業の悪評は、匿名制のサイトや掲示板に多く書き込まれます。「匿名だからばれない」と考える利用者もおり、虚偽の内容を投稿する悪質なケースも見られます。
匿名制のサイト・ツールやサイト例は、以下のとおりです。
匿名サイトの種類 | サイト例 |
転職情報サイト | ・転職会議 ・カイシャの評判 |
住宅情報サイト | ・e戸建て ・マンションコミュニティ |
コミュニティーサイト | ・爆サイ ・5ちゃんねる |
検索・レビューツール | ・Googleサジェスト ・Googleレビュー |
Googleサジェストは検索エンジンを利用する際に、関連するキーワードを表示するGoogleのサービスです。便利なツールですが、サジェストに企業のネガティブなキーワードが表示されることで、評判が下がる恐れもあります。
上記の情報サイトは、企業の認知度を上げるために有効活用もできますが、悪評を書き込まれた場合はマイナスの評価につながります。悪評を書き込まれた場合に備えて、あらかじめ対処法を考えておくとよいでしょう。
2.企業の悪評を削除できる根拠
悪評は削除可能ですが、どんなものでも削除できるわけではありません。削除対象となるのは、法律に抵触する悪評です。ここでは、企業の悪評を削除できる根拠となる法律について紹介します。
2-1.名誉毀損罪
名誉毀損とは、刑法第230条に定められている犯罪行為です。「公然と事実を摘示して他人の名誉を毀損」した場合に、3年以下の懲役もしくは禁固、または50万円以下の罰金が科せられます。[注1]
具体例としては、以下のような悪評が名誉毀損にあたります。
- A社の営業部長は不倫している
- B社の○○は枕営業をしている
事実にかかわらず、書き込まれた側の社会的評価が下がる内容であれば、名誉毀損に該当する可能性があります。名誉毀損に該当する悪評は、書き込んだ人に対して刑事上・民事上の責任も問えます。悪評によって経営に影響が出ているケースでは、刑事告訴や損害賠償請求も視野に入れましょう。
2-2.侮辱罪
侮辱罪とは、刑法第231条に定められている行為です。名誉毀損とは異なり、事実の摘示がなくても該当します。[注2]
たとえば、以下の例が侮辱罪です。
- A社の担当Bはバカだ
- C社の商品はまずい
- D社はブラック企業だ
「バカ」「まずい」「ブラック企業」など、抽象的で確認する基準がない書き込みは侮辱罪にあたります。
3.悪評の削除が困難なケース
情報サイトの口コミや掲示板の悪評のなかには、削除が困難なケースもあります。とくに個人の感想は口コミとして、サイトに有益な情報であるため、サイト運営者は削除しない可能性が高いでしょう。「思った」「感じた」といった口コミは感想表現に過ぎず、書き込んだ人の感情を否定したり立証したりすることは困難だからです。
また、日本国憲法第21条で保障される「表現の自由」から、個人的な意見や感想は尊重される傾向にあります。一方的に削除すると、権利侵害として損害賠償請求に発展する可能性があるためです。
4.ネット上の企業の悪評を削除する方法
企業の悪評を削除するには、投稿された掲示板やサイトの運営者に削除を依頼するのが基本です。ただし、あくまでも削除は任意であり、依頼したからといって必ず悪評を削除してもらえるという訳ではありません。
そこで、ここでは削除依頼の方法と、依頼に応じてもらえなかった場合の手続き方法について紹介します。
4-1.各掲示板やサイトに依頼して削除してもらう
まずは、悪評を書き込まれた掲示板やサイトの運営者に削除依頼します。大手掲示板や口コミサイトでは削除依頼フォームが用意されており、悪評を削除するよう願い出ることができます。専用フォームがない場合も、問い合わせフォームやサイトに掲載されているメールアドレスから、削除の依頼をしましょう。
削除依頼をするときは、該当ページのURLや削除依頼する理由を明記します。どの法律に反するかも記載し、違法性を説く必要があります。
4-2.送信防止措置手続を行う
削除依頼を受けて悪評を削除するかは、サイトの運営者次第です。強制ではないため、削除してもらえない可能性もあります。悪評を削除してもらえない場合は、送信防止措置手続へと移ります。
送信防止措置手続とは、名誉毀損や権利侵害などがある情報を当該サイトから削除するための手続です。プロバイダ責任制限法の第3条にもとづいて定められている手続です。[注3]
違法・有害情報相談センターから、「名誉毀損・プライバシー関連送信防止措置手続」用紙をダウンロードできます。内容を記入し、サイト運営者へ送付します。[注4]しかし、サイト運営者の氏名や住所が不明な場合は、送信防止措置手続きを行えません。ネット上で「Whois検索」して、事前に連絡先を探す必要があります。
4-3.裁判所に仮処分の申立をする
実は、送信防止措置手続に悪評削除の強制力はありません。手続を踏んでもサイト運営者が悪評を削除しないときは、裁判所へ仮処分の申立を行います。仮処分とは、裁判の結果を待たずに行われる暫定的処置です。
一般的に裁判が終わるまでには半年以上の時間がかかります。結果を待つと被害者に不利益が発生するリスクがある場合に、仮処分によって迅速な手続で処置が決まる仕組みです。
ネットに書き込まれた企業の悪評は、裁判所の判断を待っていると拡散する恐れがあります。仮処分を申し立てれば、早期に該当の投稿削除を命令してもらえます。
仮処分は裁判でも同じ判決になるケースが多く、仮処分であってもサイト運営者は悪評を削除するのが一般的です。サイト運営者が仮処分に従わないときは、強制執行の手続きもできます。
5.ネット上で企業の悪評を削除した成功事例
ここからは、実際に企業の悪評削除に成功した事例を紹介します。
5-1.事例1「商品に関する虚偽情報の削除」
商品に関する虚偽情報の書かれたサイトが、ネット検索の上位に表示されていた事例です。商品について検索した場合に、企業の信用に影響を与える恐れがあり、削除依頼の対象であることは明らかと考えられます。
サイト運営者と連絡をとり、ページの削除に成功しています。
5-2.事例2「従業員に対する誹謗中傷を口コミから削除」
Googleマップで企業を検索すると、口コミに虚偽の事業内容や従業員の誹謗中傷が書き込まれていた事例です。口コミで来店や利用を決めるケースも多くあり、いわれのない内容を書き込まれると事業に多大な影響を及ぼします。従業員はもちろん、企業に対する誹謗中傷も名誉毀損罪に該当します。
この事例では、弁護士が対応して誹謗中傷を削除しました。
6.企業の悪評は弁護士に依頼して迅速に削除しよう
ネットに書き込まれた悪評は半永久的に残されるどころか、放置すると拡散する恐れもあります。できるだけ早く削除し、企業への影響を最小限にとどめることがポイントです。
悪評を書き込まれたサイトへは、自分で削除依頼をすることも可能ですが、さらなるトラブルに発展させないためにも、弁護士に依頼しましょう。
悪評削除に慣れている弁護士であれば、今後の流れや対応についてアドバイスももらえます。万が一、送信防止措置手続きが必要になった場合も、書類作成を依頼できます。
まずは、書き込まれた悪評の削除が可能かどうかについて、弁護士に相談するとよいでしょう。
[注1][注2]e-GOV:刑法 [注3]e-GOV:特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 [注4]違法・有害情報相談センター:削除依頼の流れについて監修者
野口 明男(代表弁護士)
開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。
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