ガールズバーが風営法違反になるケース|接待・無許可営業の境界線

風営法違反」と一口に言っても、具体的にどのような行為が対象になるのか分からず不安を感じているガールズバー経営者の方は少なくありません。

結論からいえば、ガールズバーが風営法違反に問われるケースは、「接待」に当たる接客を無許可で行うケースだけでなく、営業できない用途地域での営業、年少者関連の遵守事項違反など、複数の類型があります。

この記事では、ガールズバーが風営法違反となる具体的なケースを類型別に整理し、2025年の改正が及ぼす影響、開業前に確認すべきポイントまで、弁護士がわかりやすく解説します。

目次

結論|ガールズバーの風営法違反は「接待の無許可営業」だけではない

ガールズバーの風営法違反というと、「接待」に当たる接客を無許可で行っているケースを思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし実際には、これに加えて、営業が禁止されている用途地域での営業、年少者の接客従事や酒類提供に関する遵守事項違反など、複数の類型があります。以下、それぞれを解説します。

【違反類型1】接待の無許可営業

最も典型的な違反類型は、実態として「接待」に当たる接客をしているにもかかわらず、風俗営業許可(1号営業)を取得せずに営業しているケースです。

「接待」に当たる行為・当たらない行為の具体的な線引きや、この類型の罰則については、「ガールズバー摘発で経営者が問われる責任|逮捕・罰金・営業停止のリスク」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

【違反類型2】用途地域規制違反(禁止区域での深夜営業)

深夜酒類提供飲食店営業は、都市計画法上の用途地域による制限を受けます。
第一種・第二種低層住居専用地域や住居地域など、住居系の用途地域では、原則として深夜酒類提供飲食店営業を行うことができません。

こうした地域で深夜0時以降営業しようとした場合、届出が受理されず、営業を行えば風営法55条により50万円以下の罰金の対象となる可能性があります。
開業前に、店舗所在地の用途地域を必ず確認しておく必要があります。

【違反類型3】22条の遵守事項違反(客引き・年少者関連の規制)

深夜酒類提供飲食店営業には、風営法22条の遵守事項が準用されます。
ここでは、ガールズバー経営者が特に注意すべき項目を紹介します。

18歳未満の接客従事禁止/22時以降の立入制限

18歳未満の者を接客業務に従事させることは禁止されています。
また、22時以降は、保護者の同伴がない18歳未満の者を客として店内に立ち入らせることも禁止されています。

20歳未満への酒類提供禁止

20歳未満の客に酒類を提供することは、風営法上の遵守事項違反であるとともに、未成年者飲酒禁止法にも抵触します。年齢確認の徹底が重要です。

客引き行為の禁止

通行人などに対して、執拗な呼び込みやつきまといといった客引き行為を行うことも禁止されています。

2025年風営法改正の他の柱はガールズバーにも及ぶか

接待飲食営業の遵守事項・禁止行為

2025年6月28日施行の改正では、接待飲食営業(1号営業)に対して、事実と異なる料金説明の禁止や、客の恋愛感情につけ込んだ勧誘の禁止など、新たな遵守事項・禁止行為が追加されました(風営法22条の2)。

これは主にホストクラブを念頭に置いた改正ですが、ガールズバーが接待を伴う1号営業として許可を得ている場合には、この規制の対象となります。また、規制対象外の店舗であっても、これらのルールは遵守しておくべきです。

スカウトバックの禁止

性風俗店を対象とするスカウトバックの禁止規定は、性風俗関連特殊営業を対象とするものであり、通常のガールズバー(接待飲食等営業)は直接の対象とはなりません。
もっとも、スカウトグループに対する警察の厳しい目線からすれば、ガールズバーのキャスト採用においても、スカウトグループに対価を払うことは避けることが望ましいです。
キャスト募集のルート全般について、法令上問題のない形になっているか、この機会に確認しておくことをおすすめします。

開業前に確認すべきポイント

「風俗営業1号」と「深夜酒類提供飲食店」のどちらに当たるか

開業予定の店舗が、接待を伴う「風俗営業1号」に当たるのか、接待を伴わない「深夜酒類提供飲食店」に当たるのかを、想定する接客スタイルに基づいて事前に整理しておくことが重要です。

用途地域を必ず確認する

出店予定地の用途地域を、自治体の用途地域マップ等で確認し、深夜営業が可能な地域かどうかを事前に確かめておく必要があります。

摘発を避けるための実務チェックリスト

接客スタイルと届出内容の整合性を保つ

実際の接客スタイルが、届出・許可の内容と食い違っていないか、定期的に確認することが重要です。

年齢確認の体制を整える

身分証の確認等により、18歳未満・20歳未満の客への対応が適切に行われる体制を整えておくことが重要です。

スタッフへの教育を継続する

遵守事項の内容は多岐にわたるため、開業時だけでなく、継続的にスタッフへの教育を行うことが重要です。

弁護士に相談するメリット

自店の届出・許可の状況を確認できる

現在の営業形態が、必要な届出・許可を満たしているか、用途地域の要件を満たしているかを、弁護士に確認してもらうことができます。

摘発時の対応を任せられる

実際に摘発を受けた場合には、弁護士が対応を代行し、より軽い結果につながる可能性を高めることができます。

よくある質問(FAQ)

用途地域はどうやって確認すればよいですか?

各自治体のホームページで公開されている「用途地域マップ」等で確認できます。
不明な場合は、自治体の都市計画担当窓口や、弁護士・行政書士に確認することをおすすめします。

すでに営業している店舗が、後から用途地域規制に抵触していることが分かった場合はどうすればよいですか?

早急に弁護士に相談し、今後の対応方針を検討することをおすすめします。
移転や営業形態の見直しが必要になる場合もあります。

22条の遵守事項に違反した場合、どのような処分を受けますか?

違反の内容によって、刑事罰の対象となる場合と、行政処分(指示処分・営業停止処分等)の対象となる場合があります。

深夜酒類提供飲食店営業の届出をしていれば、22条の遵守事項は関係ありませんか?

いいえ。22条の遵守事項は、風俗営業だけでなく、深夜酒類提供飲食店営業にも準用されます。
届出をしていても、年少者関連の規制や客引き行為の禁止などは引き続き遵守する必要があります。

まとめ

ガールズバーが風営法違反に問われるケースは、「接待」に当たる接客の無許可営業だけでなく、用途地域規制違反、年少者関連の遵守事項違反など、複数の類型にわたります。
2025年の改正により、接待を伴う営業形態にはさらに新たな遵守事項も追加されています。

自店の営業形態や届出内容に不安がある場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。