【弁護士監修】メンズエステが摘発されたら経営者はどうなる? 逮捕・罰金・営業停止のリスク総まとめ

他店の摘発ニュースを見て、「自分の店も摘発されるのではないか」と不安を感じているメンズエステ・リラクゼーション店の経営者の方は少なくありません。

結論からいえば、メンズエステの摘発の多くは、店の実態が「違法営業の性風俗店」とみなされることで、風営法違反(禁止区域営業)として行われています。

この記事では、メンズエステが摘発される仕組み、施術のグレーな線引き、経営者が問われる罪と罰則、2025年の風営法改正の影響、警察から連絡や立入りがあった場合の対応まで、弁護士がわかりやすく解説します。

摘発が不安なメンズエステ・リラクゼーション経営者の方へ

施術内容や営業形態のリスクは、摘発を受ける前の段階でも弁護士に診断してもらうことができます。

IPアドレスや個人情報の開示請求にお悩みでしたら、弁護士にご相談してみませんか?
目次

結論|摘発は「違法営業の性風俗店」とみなされることで起こる

メンズエステの摘発の多くは、店の実態が風営法上の「店舗型性風俗特殊営業」に該当すると判断され、営業が禁止されている区域で届出をせずに営業していたとして、風営法違反(禁止区域営業)に問われるものです。

届出をしていない「無届けでの営業」も、同様に処罰対象となります。摘発事例の多くがこの禁止区域営業のパターンだといわれています。

摘発の主な理由は風営法違反(禁止区域営業)

風営法は、ソープランドや箱ヘルなどの店舗型性風俗特殊営業について、営業してよい区域を限定しています。

例えば東京都では、店舗型性風俗特殊営業を営める区域はごく一部の地域に限られており、新規の届出は事実上難しいのが実情です。

メンズエステは「エステ・マッサージであり性風俗店ではない」という建前で営業しているケースが多いため、こうした規制対象区域の外、つまり通常のオフィスビルやマンションの一室などで営業していることがほとんどです。

しかし、実際に性的サービスが提供されている実態が確認されると、警察は「実質的に店舗型性風俗特殊営業に該当する」と判断し、禁止区域での営業として摘発に踏み切ります。

経営者・セラピスト・客でリスクは大きく異なる

メンズエステの摘発では、経営者・セラピスト・客のそれぞれで問われる可能性のある責任が大きく異なります。

まず、風営法違反の摘発はセラピストが行った性的サービスを根拠とするものですので、真っ先に逮捕・処罰対象となるのはセラピストです。

また、風営法は風俗営業を「営む者」を規制する法律であるため、店舗の運営を管理する人物(店長など)も、セラピストの摘発に伴って逮捕・処罰の対象になります(性的サービスはセラピストの独断という弁解は基本的に認められません)

さらに、警察の疑いの目は店舗の収益を得る人物(いわゆるオーナー)に対しても及ぶことになり、店舗運営に対する関与の程度によっては摘発対象となります。

一方、客については、店舗摘発に居合わせただけでは、原則として風営法違反で逮捕されることはありません。ただし、セラピストへのわいせつ行為があった場合は、別の犯罪に問われる可能性があります。それぞれの詳細は後述します。

メンズエステが摘発される仕組み

実際にメンズエステ店が摘発に至るまでには、一定の段階を踏むのが一般的です。

通報・口コミサイトから内偵捜査が始まる

摘発のきっかけとして多いのが、近隣住民からの通報や、口コミサイト・SNS等での性的サービスをうかがわせる書き込みです。警察はこうした情報をもとに対象店舗を認識し、内偵捜査を開始します。

潜入捜査で実態を確認される

内偵の結果、疑いが強まると、警察官が客を装って実際に来店し、施術の実態を確認するいわゆる潜入捜査が行われることがあります。ここで性的サービスの提供が確認されると、摘発に向けた証拠として活用されます。

家宅捜索・摘発に至るタイミング

潜入捜査等で違法な実態が裏付けられると、警察は裁判所から捜索差押許可状の発付を受けたうえで、店舗や関係先に対する家宅捜索を実施し、経営者やスタッフの逮捕に踏み切ります。捜索では、営業に関する帳簿や顧客情報、売上データなどが押収されることもあります。

施術のどこからが「グレー」「アウト」になるのか

メンズエステの経営者が最も気にされるのが、「どこまでの施術なら合法で、どこからが摘発対象になるのか」という線引きです。

大まかには、①性的サービスを伴わない通常のリラクゼーション施術は合法②密着や際どい部位へのマッサージなどは個別事情による総合判断となるグレーゾーン③本番・抜き行為等の性的サービスそのものは明確に違法、という3段階で捉えることができます。

経営者が問われる罪と罰則

風営法違反(禁止区域営業・無許可営業)の罰則

メンズエステの実態が店舗型性風俗特殊営業に該当すると判断され、禁止区域で営業を行っていたと認定されると、風営法違反に問われます。

2025年6月の改正で罰則が大幅強化

2025年6月28日施行の改正風営法により、無許可営業・禁止区域営業に対する罰則は大幅に強化されました。個人に対する罰則は、改正前の「2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金」から、「5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金」へと引き上げられています。

法人には最大3億円の罰金も

法人に対する罰金も、改正前の200万円以下から、最大3億円以下へと大幅に引き上げられました。売上規模の大きいグループ経営の店舗ほど、改正後の重い罰則が適用される可能性があります。もっとも、罰則が強化された現在でも、実際の量刑相場は事案の悪質性によって大きく異なります。

両罰規定により経営者個人も処罰対象になる

風営法には両罰規定が置かれており(風営法57条)、法人としての罰金刑に加えて、違反行為を行った経営者・従業者本人も、個人としての罰則の対象になります。「会社の罪であって自分個人は関係ない」ということにはならない点に注意が必要です。

セラピスト・客はどうなるのか

セラピストは関与の程度によって処罰対象になりうる

セラピストについては、経営者の指示のもとで性的サービスの提供に関与していた場合、その関与の程度によっては、風営法違反の共犯として扱われる可能性があります。

客は原則不逮捕、ただしわいせつ行為があれば別

風営法は風俗営業を営む者を規制する法律であるため、店舗摘発に居合わせただけの客が、風営法違反で逮捕されることは基本的にありません。

ただし、摘発された店舗を利用していた事実が判明すると、捜査協力として任意の事情聴取を受ける可能性はあります。

また、セラピストの同意なく性的な行為に及んだ場合は、客自身が不同意わいせつ罪や不同意性交等罪に問われるおそれがあります。

摘発後の刑事手続きの流れ

逮捕から勾留・起訴までの流れ

経営者が逮捕された場合、警察は48時間以内に事件を検察官に送致し、検察官は24時間以内に勾留請求を行うかどうかを判断します。

勾留が認められると、原則10日間、延長でさらに10日間、最大20日間にわたって身柄が拘束される可能性があります。その間に検察官が起訴・不起訴を判断します。

不起訴・略式命令で終わるケースもある

悪質性が低い、初犯である、被害が限定的であるといった事情がある場合には、不起訴処分や、正式な裁判を経ない略式命令(罰金)による処理で終わることもあります。

弁護士が早期に関与し、事案の内容や経営者の対応状況などを検察官に主張することで、こうした結果につながる可能性を高められることがあります。

行政処分としての営業停止・許可取消しのリスク

刑事罰とは別に、公安委員会による行政処分のリスクもあります。届出をして性風俗関連特殊営業を営んでいた場合でも、違反行為があれば、営業の停止や許可の取消しといった処分を受ける可能性があります。

2025年の改正では許可の欠格事由も拡大されており、処分逃れとみなされる行為(処分後に許可証を返納するなど)を行った者も、新たに欠格事由に追加されています。

摘発を避けるための2つの経営方針

メンズエステの経営者が摘発リスクを避けるための方針は、大きく分けて「性的サービスを一切行わない健全店として運営する」方針と、「性風俗関連特殊営業として適法に届出をする」方針の2つです。

ただし後者は、営業可能な区域が非常に限られているため、立地によっては現実的な選択肢にならないケースも多くあります。

警察から連絡・立入りがあった場合の対応

任意の事情聴取・立入りへの対応

警察から電話で事情を聞きたいと連絡があったり、任意の立入りを求められたりした場合、これらはあくまで「任意」の協力です。

ただし、対応を誤ると、その後の捜査の展開に影響することもあるため、対応する前に弁護士に相談することをおすすめします。

出頭日時を指定された場合も、その場で即答せず、いったん予定を確認する形で構いません。

家宅捜索・逮捕された場合の対応

捜索差押許可状に基づく家宅捜索や、経営者本人の逮捕に至った場合は、速やかに弁護士に連絡し、以後の対応を相談することが重要です。

逮捕直後から弁護士による接見が可能であり、早期の対応が、その後の身柄拘束の見通しや処分結果に影響することもあります。

やってはいけないNG対応

証拠となりうる帳簿やデータを慌てて破棄したり、従業員に口裏合わせを指示したりする行為は、証拠隠滅とみなされ、かえって身柄拘束や処分が重くなる要因になります。

不安な状況であっても、自己判断で動く前に、まずは弁護士に相談することが重要です。

弁護士に相談するメリット

摘発前に営業実態のリスクを診断できる

摘発を受ける前の段階でも、現在の施術内容や広告表現、営業形態が風営法上どのようなリスクを抱えているかを、弁護士に診断してもらうことができます。

リスクが高い場合には、健全化に向けた具体的な改善策や、届出による適法化の検討など、早めの対応につなげられます。

摘発後の刑事弁護を任せられる

実際に摘発・逮捕された場合には、弁護士が身柄解放に向けた活動や、検察官・裁判所への働きかけ、必要に応じた対応などを行うことができます。

早期に弁護士が関与することで、不起訴や略式命令といった、より軽い結果につながる可能性を高められます。

よくある質問(FAQ)

Q. 初めての摘発でも逮捕されますか?

A. 悪質性や証拠の程度によりますが、初犯であることは、逮捕の要否やその後の処分を判断するうえで考慮される事情の一つです。もっとも、証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断されれば、初犯であっても逮捕に至る可能性はあります。

Q. 摘発されたら店は必ず廃業しなければなりませんか?

A. 刑事処分や行政処分の内容次第ですが、必ずしも廃業が避けられないわけではありません。事案の内容によっては、営業形態の見直しや、届出による適法化を経て、事業を継続できる可能性もあります。

Q. 従業員(セラピスト)にはどう説明すればよいですか?

A. 従業員に対しては、性的サービスの提供を指示・黙認していないこと、施術内容が適法な範囲にとどまっていることを日頃から明確にしておくことが重要です。摘発を受けた場合の対応方針も含め、弁護士に相談しながら整理することをおすすめします。

Q. 摘発のニュースを見て不安なだけですが、相談してもよいですか?

A. もちろんご相談いただけます。実際に摘発を受けていない段階でも、現在の営業実態のリスクを確認しておくことで、将来のトラブルを未然に防げる可能性があります。

まとめ

メンズエステの摘発の多くは、店の実態が「違法営業の性風俗店」とみなされ、風営法違反(禁止区域営業)に問われることで起こります。2025年6月の風営法改正により、個人・法人ともに罰則は大幅に強化されており、摘発された場合の経営者へのダメージはこれまで以上に大きくなっています。

施術内容やSNSでの集客表現に不安がある場合や、実際に警察から連絡があった場合は、自己判断で対応せず、早めに弁護士に相談することが、より良い解決につながります。

メンズエステ経営に関するご相談は弁護士法人アークレスト法律事務所へ

ネットトラブル・風俗営業に関するご相談に誠心誠意取り組んでいる法律事務所です。

摘発前のリスク診断から、摘発後の刑事弁護まで、個々の事情に応じて適切な対応をご提案いたします。

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野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。