氏名権(名称権)とは

氏名権とは、自分の氏名を排他的に利用する権利です。自分の名前は本人だけが自由に使うことができ、他人に勝手に使われることはないという権利です。人間に当然認められる「人格権」の一種として認められます。

日本では氏名権を正面から認める法律がありませんが、ドイツやオーストラリア、スイスなどでは明文化されています。

日本では民法などの条文によっては明確にされていませんが、氏名権自身は人格権の一内容として認められるので、侵害された場合の対応が可能です。「他人から氏名を正確に呼称されること」を人格的な利益と認め、侵害者へ不法行為の成立を認めた裁判例もあります(最高裁昭和63年2月16日)。この判例では「氏名は個人として尊重される基礎であり個人の人格の象徴であって人格権の一内容を構成する」としており、氏名権が人格権の1つとして保護されることを明らかにしています。