
「初回500円」のつもりで申し込んだら、2回目から高額な商品が届き続ける。解約しようにも電話がつながらない。アプリを消したのに、毎月の請求が止まらない。定期購入やサブスクをめぐるトラブルは、誰にでも起こりうる身近な問題です。
結論からいえば、通信販売にクーリング・オフはありませんが、最終確認画面の表示が分かりにくくて誤解して申し込んだ場合は取り消せる可能性があり、高すぎる解約料も無効になりうるので、記録を残して早めに行動することが大切です。
この記事では、定期購入・サブスクのよくあるトラブル、法律で守られていること、解約・返金を求める具体的な手順、相談先を、弁護士がわかりやすく解説します。
業者が解約や返金に応じない、高額な解約料を請求されたといった場合は、法的に争える余地があります。お困りの方はご相談ください。
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結論|「解約できない」とあきらめる前に確認すべきこと
定期購入やサブスクのトラブルでは、まず次の点を確認してください。
- 申し込んだときの画面に、定期購入であること、2回目以降の価格、解約の条件が分かりやすく表示されていたか
- 業者が定めた方法で、解約を申し出たか(アプリの削除や商品の返品だけでは解約にならないことが多い)
- 解約しようとした記録(画面、メール、電話の発信履歴)が残っているか
表示が分かりにくく、定期購入だと気づかずに申し込んだのであれば、特定商取引法に基づいて契約を取り消せる可能性があります。困ったときは、まず消費者ホットライン「188」に相談し、それでも業者が応じない場合は弁護士への相談を検討しましょう。
定期購入・サブスクのトラブルが増えている

国民生活センターによると、全国の消費生活センターなどに寄せられた「定期購入」に関する相談は、2025年度に98,455件でした。最も多かった2022年度の102,255件に次ぐ水準で、高止まりが続いています。
手口も巧妙になっています。国民生活センターは2026年4月、次のようなトラブルについて注意を呼びかけました。
- 購入の途中で「さらにお得」という案内を出し、回数の縛りがあるプランに誘導する
- 「1回限り」と表示されていたのに、実際は定期購入だった
2025年1月には、「定期縛りなし」とうたいながら、実際には解約するまで続く定期購入だったというトラブルについても注意喚起が出されています。
よくあるトラブルのパターン

「お試し」「初回だけ」のつもりが定期購入だった
広告では「初回無料」「お試し価格」が大きく表示され、定期購入であることや、2回目以降の価格、最低購入回数などの条件は、小さな文字や離れた場所にしか書かれていない、というケースです。サプリメントや化粧品、健康食品で多く見られます。
解約の電話がつながらない・解約ページが見つからない
解約は電話でしか受け付けないのに、何度かけてもつながらない。サイトのどこにも解約のページが見当たらない。こうして解約の期限を過ぎてしまい、次の商品が届く、という相談も多く寄せられています。
アプリを消したのに請求が続く
動画配信やアプリのサブスクでは、アプリを削除しても、契約は解約されません。国民生活センターは、1か月無料の動画配信をアプリの削除で済ませたつもりが、半年以上にわたって毎月約2,000円が請求されていた事例を紹介しています。
解約したのに請求が来る
解約の手続きをしたはずなのに、翌月以降も請求が続くケースもあります。国民生活センターは2026年8月、解約後も請求が続くという相談が多く寄せられた月額制のファッションレンタル事業者について、事業者名を公表して注意を呼びかけました。
法律で守られていること

通販にクーリング・オフはない(8日以内の返品ルール)
ネット通販やテレビ通販などの通信販売には、クーリング・オフの制度がありません。自分で広告を見て、じっくり考えて申し込める取引だからです。
その代わり、特定商取引法では、広告に返品の条件(返品特約)が表示されていなければ、商品を受け取ってから8日以内は契約を解除して返品できると定めています。ただし、返品特約が表示されていればそちらが優先され、返品の送料は購入者の負担になります。
最終確認画面の表示義務と、誤解した場合の取消し
2022年6月に施行された改正特定商取引法により、通販の業者は、注文を確定する直前の画面(最終確認画面)に、次の事項を分かりやすく表示しなければならなくなりました。
- 商品の分量(定期購入なら、各回の量と回数)
- 販売価格(定期購入なら、各回の代金と総額)
- 支払いの時期と方法、商品の引渡しの時期
- 申込みの期間(期間限定の場合)
- 申込みの撤回や解約に関する条件
この表示がなかったり、誤解させる表示があったりして、それを信じて申し込んだ場合は、契約を取り消すことができます。取り消せる期間は、誤解に気づいた時から1年、または契約した時から5年です。
消費者庁のガイドラインは、「お試し」「トライアル」とことさら強調しながら、実際は定期購入だったり、解約に条件があったりする表示は、法律が禁止する誤解させる表示に「該当するおそれが強い」としています。ただし、取消しができるのは最終確認画面の表示で誤解した場合で、広告だけを見て誤解した場合は使えない可能性があります。業者が取消しに応じないこともあり、その場合は争いになります。
解約妨害は禁止されている
特定商取引法は、解約を妨げるために、解約の条件についてうそを言うことを禁止しています。違反した業者には、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科されることがあります。
また、消費者庁のガイドラインは、解約を電話で受け付けると表示しながら、電話が一切つながらない、折り返しの連絡もない、といった場合は、うその表示にあたるおそれがあるとしています。
実際に、「しばりなし」と広告しながら、気づきにくい表示で「しばりあり」の条件に変えさせていた業者に東京都が業務停止を命じた例(2024年)や、誤解させる表示などを理由に、消費者庁が美容クリームなどの通販業者に業務停止を命じた例(2026年)があります。
高すぎる解約料は無効になりうる
消費者契約法により、解約に伴う違約金のうち、その種類の契約の解約で業者に生じる「平均的な損害」を超える部分は無効とされています。2023年6月からは、消費者に求められたら、業者は解約料の算定の根拠を説明するよう努めなければならないことになりました。
請求された解約料に納得できない場合は、まずその根拠の説明を求めてみましょう。
未成年者の契約は取り消せる
18歳未満の子どもが親の同意なく結んだ契約は、原則として取り消すことができます。ただし、年齢を偽ったり、親の同意があるように見せかけたりした場合は、取り消せないことがあります。親のアカウントやクレジットカードが使われた場合も、取消しが認められにくくなります。
解約・返金を求める手順

ステップ1:契約内容と画面を記録する
まず、申し込んだときの広告や最終確認画面、注文確認のメール、届いた商品の明細などを保存します。画面がまだ見られるうちに、スクリーンショットを撮っておきましょう。国民生活センターも、契約条件の画面や業者からのメールを保存するよう呼びかけています。
ステップ2:業者が定めた方法で解約を申し出る
解約は、業者が定めた方法で申し出るのが基本です。商品を受け取らない、返品する、アプリを消すといった行動だけでは、解約したことにならない場合があります。
- 解約が完了したら、完了画面のスクリーンショットと完了メールを保存する
- 電話がつながらない場合は、曜日や時間を変えてかけ直し、発信の日時を記録する
- あわせて、メールや問い合わせフォームなど、記録が残る方法でも解約の意思を伝える
解約しようとしたのに業者の都合でできなかったことを、あとで証明できるようにしておくことが大切です。
ステップ3:取消しや返金を書面で求める
最終確認画面の表示で誤解して申し込んだ場合や、高すぎる解約料を請求された場合は、取消しや返金を求める旨を、メールや内容証明郵便など記録の残る方法で業者に伝えます。いつ、どの表示を見て、何を誤解したのかを具体的に書きましょう。
ステップ4:消費者ホットライン188に相談する
業者との話し合いがうまくいかないときは、消費者ホットライン「188」(いやや)に電話してください。お住まいの地域の消費生活センターなどにつながり、相談員が無料で相談に乗ってくれます(通話料はかかります)。事案によっては、業者との間に入って話し合いを手伝ってもらえることもあります。
ステップ5:カード会社・決済事業者に相談する
業者が対応しない場合は、解約の記録をそろえたうえで、クレジットカード会社や後払い決済の事業者に相談する方法もあります。国民生活センターも、この方法を案内しています。
ただし、カード会社に支払いを止めてもらえるとは限りません。分割払いやリボ払いで一定額以上の場合は、法律に基づいてカード会社への支払いを拒める制度(支払停止の抗弁)がありますが、1回払いには原則として使えません。カード会社が加盟店に返金を求める「チャージバック」も、カード会社のルールに基づくもので、消費者の法律上の権利ではありません。
スマホアプリのサブスクを解約・返金申請する方法
アプリのサブスクは、アプリを消しても解約になりません。購入したストアの設定画面から、必ず解約の手続きをしてください。
- iPhone(App Store):「設定」から自分の名前をタップし、「サブスクリプション」で解約します。返金は、Appleの「問題を報告」のページから申請できます(返金されるかはAppleの判断によります)
- Android(Google Play):Google Playの「お支払いと定期購入」から解約します。Googleも、アプリをアンインストールしても定期購入は解約されないと案内しています
無料トライアルは、期間が終わると自動で有料に切り替わるものがほとんどです。Appleは、無料トライアルを有料にしたくない場合は、終了の24時間以上前に解約するよう案内しています。毎月の利用明細を確認する習慣をつけておくと、思わぬ請求に早く気づけます。
今後の規制の動き(2026年の検討会)

消費者庁の検討会は2026年9月、サブスクなどの解約をめぐるルールについて、中間取りまとめを公表しました。主な提言は次のとおりです。
- 解約の申出を拒んだり、不当に遅らせたりするなどの解約妨害を禁止する
- 合理的な理由なく、過度に複雑な解約手続を課すことを規制する
- 自動更新の前に、消費者に通知するよう努めさせる
これらはまだ提言の段階で、規制の内容は決まっていません。報道では、2027年の通常国会への法案提出が目指されているとされています。
弁護士に相談したほうがよいケース

定期購入やサブスクのトラブルの多くは、188に相談したり、記録を示して業者と話し合ったりすることで解決できます。一方、次のような場合は、弁護士への相談を検討してください。
- 請求されている金額や、取り戻したい金額が大きい
- 業者が解約や返金にまったく応じない、連絡がつかない
- 取消しができるかどうか、解約料が高すぎるかどうかで業者と争いになっている
- 業者から督促状や、裁判所の書類が届いた
弁護士は、申込み画面や契約の内容から取消しや返金を求める根拠を整理し、業者との交渉や、少額訴訟などの裁判所の手続きを代わりに行うことができます。
よくある質問(FAQ)
まとめ
通信販売にクーリング・オフはありませんが、最終確認画面の表示で誤解して申し込んだ場合は、特定商取引法に基づいて契約を取り消せる可能性があります。解約妨害は禁止されており、高すぎる解約料は無効になりえます。アプリのサブスクは、アプリを消しても解約にならない点に注意が必要です。
トラブルにあったら、申込みや解約の画面、メール、電話の発信履歴を記録し、業者が定めた方法で解約を申し出たうえで、188に相談しましょう。
金額が大きい、業者が応じないといった場合は、弁護士にご相談ください。






