威力業務妨害罪

威力業務妨害罪とは、強い威勢を示して対象者を威圧し、対象者の業務を妨害したときに成立する犯罪です。虚偽の情報を流したり他人をだましたりする方法で業務を妨害すると「偽計業務妨害罪」ですが、「威力(強い威勢)」を使って業務を妨害すると「威力業務妨害罪」となります。両者の違いは「手段の違い」です。

刑罰は偽計業務妨害罪と同様「3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑」となります(刑法234条)。

威力業務妨害罪が成立する例

  • 鉄道会社に爆破予告をする
  • イベント会社に「イベント当日に化学物質をまき散らす」と通知する
  • 飲食店にゴキブリやネズミをまき散らす

威力業務妨害罪は親告罪ではないので、被害者が刑事告訴しなくても加害者が逮捕される可能性があります。

ネット上でも威力業務妨害罪が成立する例は多々あります。たとえば、いたずらでネット掲示板に「イベント会場にドローンを落とすぞ」「爆破するぞ」などと書き込んだ場合や、飲食店のアルバイト店員が店内で全裸になって動画投稿した場合などにも威力業務妨害罪となります。

業務妨害罪の被害者は加害者への刑事的処分を求めるだけではなく、加害者に対して営業利益の損失などについて損害賠償請求が可能となります。