採用に響くネット誹謗中傷・企業口コミは削除できる?影響と企業がとれる対応を弁護士が解説

企業の採用活動には、「ネット誹謗中傷記事」の削除が重要!

ネット誹謗中傷記事の削除(企業の採用対策)とは、転職会議や企業口コミサイト、検索のサジェスト・関連ワード等に表示される事実に反する書き込みや、企業の社会的評価を不当に下げる投稿について、法的な手続きによって削除を求める対応をいいます。採用活動はネット上の評判に左右されやすく、ネガティブな書き込みを放置すると応募の辞退や候補者の離脱につながるおそれがあります。ただし、削除を求められるのは権利侵害(名誉毀損・信用毀損・業務妨害など)が認められる不当な書き込みに限られ、正当な評価や事実の指摘まで自由に消せるわけではありません。

企業が採用活動を進めるときには、企業に対する「評判」が大きく影響します。今は多くの学生や転職希望者がネットで情報収集しているため、ネット上に誹謗中傷記事があったら早めに削除しなければなりません。以下では、企業の採用活動における誹謗中傷記事削除の重要性について、ご説明します。

ご相談内容は秘密厳守で、弁護士の守秘義務に基づき取り扱います。

目次

誹謗中傷記事による企業イメージ低下の危険性

ネット上で企業に対する誹謗中傷記事が掲載されると、企業の採用活動が難航する可能性が高くなります。

たとえば、Yahoo!やGoogleの検索窓にて企業名を入力すると、サジェスト機能や関連ワードの箇所に「ブラック」「不祥事」「パワハラ」等のワードが表示されてイメージが悪く、ユーザーはエントリーの候補から外してしまうことも出てきます。関連ワードが出てしまうと、その導線からネガティブな情報の書かれた掲示板が露出されてしまいます。「〇〇社はブラック企業」「圧迫面接された」「採用の方法に問題がある」などと書き込まれて、多くの学生が目にすると、その企業に優秀な学生が応募してくることは期待できなくなるでしょう。

また、保護者をはじめとする本人以外の第三者がネット検索で評判を確認するケースもありますため、対策が必要です。

現代では、ただでさえ少子化が問題になっていますし、採用活動としてはネットを使ったものが中心ですから、ネット上でのイメージ低下が致命傷となるのです。

企業の採用活動で、特にリスク3つのサイト

企業が採用活動を進める上で、特にリスクとなりやすいのは、以下の3つのサイトです。

転職会議

転職会議は、転職活動をしている人が、企業の内情や採用情報などを集めるための口コミ掲示板サイトです。以前にその会社で働いていた人や面接を受けた人などが、企業の内情や感想などについての書き込みをしています。

みんなの就職活動日記

主に就職活動中の学生が利用することの多いサイトです。企業の面接方法などについての感想や体験談などが書かれているので、ここに誹謗中傷を書き込まれると、新卒採用への影響が大きくなります。

会社の評判

企業の元社員等による、大規模な口コミ掲示板です。年収や福利厚生から人間関係まで事細かく書かれて、評判スコアという得点をつけられます。多くの就職希望者が閲覧するサイトと考えられますので、対策が重要です。

悪質な書き込みとは?

もちろん、書かれている内容が正当な評価であれば、文句は言えません。しかし、実際には以前の会社で問題を起こして辞めた社員や、面接で落とされた学生などが、腹いせで誹謗中傷の投稿をすることも多いです。

たとえば、以下のような悪質な書き込みが行われるケースがあります。「経営状態が悪い、どうせ潰れる」「無茶なノルマがあるし、パワハラも横行している最悪な企業」「過重労働、ブラックだから、エントリーをやめておけ」。

このようなことを書かれると、採用活動に悪影響が及ぶことは、想像に難くありません。

採用活動に悪影響を与えやすい書き込みには、おおむね次のような類型があります。いずれも、正当な評価ではなく事実に反する内容や、社会的評価を不当に下げる内容である場合に、削除や法的対応の検討対象となり得ます。

  • 経営・財務に関する虚偽……「経営状態が悪い」「どうせ潰れる」など、事実に反して経済的信用を下げる書き込み。
  • 労働環境を断定する中傷……「パワハラが横行している最悪な企業」「過重労働のブラック企業」など、根拠なく断定する書き込み。
  • 採用・面接に関する中傷……「圧迫面接された」「採用の方法に問題がある」など、選考をおとしめる書き込み。
  • 検索サジェスト・関連ワード……企業名と「ブラック」「不祥事」等が結び付いて表示され、求職者の目に触れる状態。

誹謗中傷によって成立する犯罪

ネット上において、上記のような誹謗中傷が行われた場合、犯罪も成立します。成立する可能性のある犯罪は、以下の通りです。

偽計業務妨害罪

虚偽の投稿によって企業の業務を妨害すると、偽計業務妨害罪が成立します。法定刑は、3年以下の50万円以下の罰金です(刑法233条)。

信用毀損罪

虚偽の投稿によって、企業の経済的な信用を失わせる投稿をすると(倒産寸前などと書いた場合)、信用毀損罪が成立します。法定刑は、3年以下のは50万円以下の罰金です(刑法233条)。

名誉毀損罪

事実の摘示によって企業の名誉を毀損した場合には、名誉毀損罪が成立します。内容が真実の投稿であっても名誉毀損になります。法定刑は、3年以下のは50万円以下の罰金です(刑法230条)。

なお、書き込みが名誉毀損に該当するかどうかの判断基準や、具体的な削除の方法については、別途解説した記事もあわせてご確認ください。

採用活動を成功させるため、ネット誹謗中傷記事を削除しましょう

以上のように企業が採用活動を成功させるためには、不当な誹謗中傷記事を削除させることが重要です。そのためには法的な対応が必要となり、弁護士によるサポートがあるとスムーズです。

企業がネット誹謗中傷記事に対してとれる対応には、主に次のようなものがあります。ただし、いずれも対象となるのは権利侵害が認められる不当な書き込みであり、正当な口コミや事実の指摘まで削除できるわけではありません。

  • 書き込みの削除請求……サイト運営者や掲示板事業者に対し、権利侵害を理由に投稿の削除を求める。
  • 検索結果・サジェストへの対応……名誉毀損等が認められる場合に、表示の削除を検討する。
  • 発信者情報開示請求……悪質な投稿者を特定するための手続き。
  • 損害賠償請求・刑事告訴……特定した相手への民事責任の追及や、業務妨害・名誉毀損等を理由とした告訴の検討。

削除や開示が認められるかどうかは、書き込みの内容が真実か、社会的評価を不当に下げるものか、公共性・公益性があるかといった事情を踏まえて判断されます。証拠となる画面は削除せず保存したうえで、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

ネット誹謗中傷対策をご希望の企業様は、お気軽に当事務所までご相談ください。

口コミの投稿や検索候補への対応は、それが削除を求められる内容かどうかの見極めから始まります。採用への影響が気になる書き込みがあれば、該当画面を保存したうえで状況をお聞かせください。削除請求から投稿者の特定まで、貴社の状況に応じてとれる選択肢をご説明します。

ご相談内容は秘密厳守で、弁護士の守秘義務に基づき取り扱います。

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よくある質問(FAQ)

企業の悪い口コミは削除できますか?

削除できるのは、事実に反する書き込みや、企業の社会的評価を不当に下げる権利侵害が認められる投稿に限られます。実際に在籍した人が書いた正当な評価や、公共性・公益性のある事実の指摘までを自由に消せるわけではありません。削除できるかどうかは内容ごとの判断になりますので、弁護士にご相談ください。

転職会議や企業口コミサイトの書き込みも削除の対象になりますか?

転職会議、みんなの就職活動日記、会社の評判といった口コミサイトの書き込みでも、名誉毀損や信用毀損、業務妨害にあたる不当な内容であれば、サイト運営者への削除請求の対象になり得ます。一方で、正当な感想や事実に基づく評価は対象になりにくいとされています。

誹謗中傷を書き込んだ人を特定して責任を問えますか?

発信者情報開示請求によって投稿者を特定し、損害賠償請求や刑事告訴を検討できる場合があります。虚偽の投稿による業務妨害・信用毀損や、事実の摘示による名誉毀損が成立する可能性があるためです。ただし特定や請求が認められるかは内容や証拠によりますので、早めの相談が有効です。

採用への影響を抑えるために、まず何をすればよいですか?

該当する書き込みや検索結果の画面を、削除せずに証拠として保存することが第一です。そのうえで、内容が権利侵害にあたるかを確認し、弁護士に相談して削除請求や発信者情報開示などの対応を検討します。拡散や時間の経過で対応が難しくなることがあるため、早めの対応をおすすめします。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。