名誉感情とは

名誉感情とは、本人が自分自身に感じている価値や自尊心です。外部的な名誉が「社会からの客観的な評価」であるのに対し、名誉権は「本人の主観的な感情や意識」です。名誉権として保護されるのは、通常「外部的な名誉」と考えられており、本人が主観的に名誉感情を害されたとしても、必ずしも保護を受けられるとは限りません。なぜなら名誉感情をそのまま保護すると、プライドが高い人ほど強い保護を受けられる不合理な結果となってしまうからです。よって「名誉感情を侵害された」というだけで相手に損害賠償請求を行ったり刑事告訴したりするのは難しいといえます。

ただし名誉感情の侵害にも許容の「限度」があります。名誉感情の侵害度合いが著しく、人格権侵害のレベルに該当する場合には名誉感情を侵害された場合にも違法となります。

東京地方裁判所平成8年12月24日判決も「名誉権は内心の問題で個人差が大きく、他人のいかなる言動によって名誉感情が害されることになるか、害されるとしてどの程度かについても他人からは容易にうかがい知ることができない」としながら「誰であっても名誉感情を害されるような、看過し難い明確かつ程度の甚だしい侵害行為」については違法性を認めています。