風評被害・誹謗中傷

風評被害はなぜ起こる?事例を基に5つの原因と対処法を解説

2021.12.06
風評被害はなぜ起こる?事例を基に5つの原因と対処法を解説

いつ、誰が風評被害に遭うか分からない時代、企業においても平時から対策を講じておく必要があります。まずは風評被害がなぜ起こるのかを把握し、被害にいち早く対応できるよう準備しましょう。

風評被害はなぜ起こるのか?5つの原因を解説

風評被害はなぜ起こるのか?5つの原因を解説

一口に風評被害と言っても、それが起こる原因は様々です。ここでは、風評被害がなぜ起こるのか、原因を5つに分類し、事例をあげながら解説していきます。

1.事件・事故・災害

大きな事件や事故、災害が起きると、人々の不安が高まり、風評被害が発生しやすくなります。昨今の新型コロナウイルス感染症の流行過程でも、「コロナ」と名のつく会社や商品が言われのない批判を受けたり、売上を減少させたりするなどの被害を受けました。

また、大きな地震が発生した地域では、被害状況の噂に惑わされた予約客のキャンセルが相次ぎ、経済的に大きな打撃を受けたこともあります。

2.マスメディアの報道

テレビや新聞などのマスメディアによって風評被害が引き起こされることがあります。間違ってはいないにしても、過剰に不安を煽るような報道がなされたり、報道に偏りがあったりすることで、特定の業種や会社の悪評が広がることは、これまでも度々ありました。

例えば、コロナウイルスの蔓延の報道を受け、コロナ患者を受け入れている病院を避ける人が増え、多くの病院が経済的な被害を受けました。パチンコ業界がコロナウイルス感染症の偏向報道によって経済的打撃を受けた例もあります。

3.個人によるデマの流布

個人がニュースやWeb記事を曲解して改変されたデマがSNSで拡散され、特定の業種や企業に風評被害が及ぶこともあります。

地震で動物園からライオンが逃げたというデマが拡散した際は、当該動物園に電話が殺到して業務に支障をきたすほどの被害がありました。また、一部のウーバーイーツ配達員が起こした性犯罪やひき逃げ事件をきっかけに、「業界全体が悪いもの」であるかのようなイメージを世間に広めていた人もいます。

4.企業による説明不足

不正確な情報や噂話、デマなどが広まれば、多くの人々は不安な状態におかれることになります。そのような中、被害を受けた当事者が状況を説明して、社会の不安を取り除こうとしないと、それらの情報を黙認したものと受け取られかねません。また、説明をしたとしても、説得力が欠けるものであった場合、むしろ不安を高めて逆効果になってしまいます。

福島原発事故が起きたとき、政府や東京電力は情報やデータの発信をしていたものの、それらを精査し、分かりやすく説明することができず、風評被害の拡大を招く結果となってしまいました。

5.他社の不祥事や事故

自社になんら瑕疵がなくても、他企業の不祥事や事故が間接的に自社への風評被害につながってしまう場合もあります。例えば、同名の会社が問題を起こしたケースです。

大阪の会社「ミスターデザイン Mr.DESIGN」は、東京オリンピックのエンブレムの盗用疑惑が浮上したデザインの会社「MR_DESIGN」と同名だったため、いたずら電話や間違いメールの被害を受けました。社名を検索すると「盗用」や「倒産」などが関連ワードとして表示される被害に遭っています。

風評被害を受けたときに求められる対策

風評被害を受けたときに求められる対策

実際に風評被害を受けた場合、どのような対策を行えば良いのでしょうか。その対策方法を解説します。

評判回復のためのクライシス対応

報道機関による誤報や根も葉もない噂の流布、誤解に基づく非難や抗議の動きを見つけたら、速やかに声明文を出すなどして当事者としての見解を表明しましょう。自社のホームページ上に意見や事実を掲載することも、プレスリリースやSNSを利用することも有効です。

ここで気を付けておきたいことは、発信する情報が具体的な根拠に基づいた正確な情報であることです。

パートナー企業と共同で窓口を開設したり、記者会見を開いたりすることも評判回復のための対応としては大事になってきます。加えて、ステークホルダーに対するクライシスコミュニケーションを迅速に行えるように、社内で体制を整備しておく必要性があるでしょう。

風評被害の口コミや書き込みをモニタリング

風評被害が拡散しないように、自社に対する口コミや書き込みをモニタリングするのも重要な対策方法です。

一見すると些細な苦情も、ネット掲示板やSNS上で拡散すると、風評被害の原因となってしまう可能性をはらんでいます。定期的に自社に対するデマや誤情報をチェックし、炎上につながりそうな書き込みに対処しておくことが風評被害防止になります。

事後対策も重要ではありますが、風評被害が起こる前にその芽を摘んでおくことも、重要な風評被害対策です。

アークレスト法律事務所では、自動監視ツール「風評監視システム」をご提供しています。WEB上の風評を毎日モニタリングし、検索エンジンやSNS、掲示板にネガティブワードが書き込まれた際に、リアルタイムに検知・報告するサービスです。

<対応範囲>
Twitter、Googleサジェスト・関連ワード、Yahoo!サジェスト・虫眼鏡、5ちゃんねる、爆サイなど、検索結果上位50位、Googleマップレビュー

また、当事務所ではモニタリングだけでなく、削除依頼、犯人特定、訴訟までをワンストップで対応可能。弁護士事務所ならではの対応領域で、風評検知後の対応まで安心してお任せいただけます。

アークレスト法律事務所の「風評監視システム」

風評被害にかかわる書き込みを削除

風評被害の原因となっている書き込みを削除してもらうことも、対処方法のひとつです。一般的には、当該書き込みのあるサイト管理者に対して、専用フォームなどを利用して削除要請をします。サイト管理者が削除要請に応じない場合は、裁判所に仮処分の申立てが必要です。

口コミや投稿の削除を請け負う業者も存在しますが、弁護士以外の第三者が被害者の代わりに削除を要請して報酬を得るのは「非弁行為」という違法行為です。削除を検討している場合は、必ず企業自身が行うか弁護士に相談してください。

逆SEO

逆SEOとは、簡単に言えば「見られたくないサイトが検索結果にできるだけ表示されないようにすること」です。

具体的な手法としては、ポジティブな情報が掲載された新しいサイトを起ち上げることがあります。そのサイトの検索数が増えるようにすることで、ネガティブな情報のあるサイトの検索順位が下がっていくことを狙います。また、SNSを頻繁に更新してポジティブな情報を発信していけば、社名を検索したときに、そちらが上位に表示されるようになるでしょう。

風評被害とその対策についてより詳しく知りたい方はこちらもご参照ください。

風評被害ってどんなもの?企業に及ぶ影響と5つの対策方法をわかりやすく解説

風評被害の対策をするなら弁護士へ相談を

風評被害の対策をするなら弁護士へ相談を

ご説明してきたとおり、風評被害対策は法律がかかわってくる場面が多々あるため、弁護士のサポートがあるとスムーズです。

弁護士に相談するメリット

風評被害に対しては自社でもある程度の対応が可能ですが、弁護士に一任したほうがメリットが大きいです。

的確なアドバイスを受けられる

経験豊富な弁護士に相談することで、的確なアドバイスや被害回復のサポートをしてもらうことが可能です。加害者を特定し責任を追求したい場合も、訴訟が可能かどうかの判断も含め相談することができます。

風評被害の事後処理はすべて任せられる

投稿の削除請求や発信者情報開示請求は、サイト運営者やプロバイダが法的に問題があるか判断して対応するため、弁護士からの問合せがスムーズです。さらに、その後の損害賠償請求まで任せることができるので、企業は通常の業務に集中することができます。

刑事告訴にも対応可能

民事的な解決だけでなく、風評を流布した人の刑事責任を追及したい場合も、手続きや証拠の保全などに弁護士のサポートが受けられます。よりスピーディーかつ効率的に事態を進めることが可能です。

弁護士に相談した場合の費用相場

弁護士に相談した場合には、相談料や着手金、報酬金などがかかります。

・相談料…初回相談料として30分5,000円程度
・着手金…10万~数十万円
・報酬金…10万~数十万円

対策によっても大きな違いが出てきますので、相談する弁護士に問い合わせてみてください。なお、不法行為に基づく損害賠償請求の場合は、弁護士費用を相手に請求できるケースもあります

弁護士法人アークレスト法律事務所は、これまで誹謗中傷や風評被害など、ネット上のトラブルの解決に鋭意取り組んできました。状況に応じて適切な対応を提案しますので、誹謗中傷・風評被害対策にお困りの方はぜひお気軽にご相談ください。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。