風評被害・誹謗中傷

リベンジポルノを拡散させないための対策とは

2019.11.01
リベンジポルノを拡散させないための対策とは

リベンジポルノとは、元交際相手や配偶者、関係を持った相手やインターネット上の友人などが、性的な画像を本人の許可を得ることなくインターネット上などに公開する行為です。

※リベンジポルノの詳しい定義は下記の記事をご確認ください。

元交際相手などによって公開された写真はインターネット上を漂い続けるデジタルタトゥーとなり、あなたの将来に多大なる悪影響を与える可能性があります。そこで、本記事ではリベンジポルノの被害に遭った女性が、行うべき対策について解説します。今現在リベンジポルノの被害に悩んでいる方は、ご一読した上ですぐにしかるべき対応を取ることを強くおすすめします。

1.リベンジポルノを削除せずに放置することで想定できるリスクとは

リベンジポルノを削除せずに放置することで想定できるリスクとは

リベンジポルノによって、性的な画像や動画などがアップロードされた場合、まずやるべきことは「証拠の確保と削除の手続き」です。迅速に行えば被害は最小限で済み、実生活にそれほど大きな影響は出ないと考えます。では、放置すると何が起きるのでしょうか。まずはリベンジポルノの被害を放置したことで想定できるリスクについて説明します。

1-1.掲示板やSNSの拡散力によりインターネット上に痕跡が残る

対策を取らずに放置しておくと広く拡散されてしまい全てのデータを削除することがほぼ不可能になるリスクがあります。昨今は、掲示板やSNSなどで簡単に画像をシェアできます。シェアボタンによる拡散や、転載などによりあっという間に複数のサイトに画像が掲載されてしまうのです。

知人が、その画像を見れば本人だとわかります。さらに、将来の就職活動や結婚などにも拡散された画像や動画は悪影響を与えます。拡散されて多くの人々の目に晒されると、顔を見ただけで「あの画像の女の子だ」と露見してしまうこともあり、さらなるセクハラなどの二次被害を招来する危険性もあります。また、その画像などを用いて、本人になりすまし出会い系サイトや掲示板などに書き込む行為も想定できます。

これらの被害は、放置すればするほど拡大しますので、リベンジポルノの被害に遭っていることがわかった時点ですぐに証拠の確保や削除に向けて対策を取らなければなりません。

1-2.インターネットだけでなく個人の情報端末にも保存される

平成30年に、トイレの盗撮画像をインターネット上で販売したとして逮捕された事例では、犯人のパソコンには1000人以上の動画が保存されており、売り上げは約2700万円にも上ったという事例もあります。購入者のスマートフォンやパソコンには被害者の性的な動画が保存されていることが想定でき、犯人が逮捕されても動画が拡散されない保証はありません。早く対応しなければ、画像や動画がより多くの人の目に触れ保存・拡散されてしまいます。

掲示板等に投稿された場合も同様で、閲覧者が自分の端末に保存して、後日再投稿してシェアされるケースも考えられます。インターネット上への露出時間が長ければ長いほど、多くの端末に保存されてしまい、一生再投稿のリスクに怯えることになりかねません。

2.リベンジポルノの被害に遭ったら証拠確保の上即座に削除依頼を

リベンジポルノの被害に遭ったら証拠確保の上即座に削除依頼を

ご自身の性的な画像が投稿されていることがわかったら、すぐさまスクリーンショットなどで証拠を確保した上で、削除の手続きを行いましょう。削除の方法は下記の通り複数存在しますが、被害拡大を阻止する観点でも、弁護士に相談の上削除を依頼することが最適な解決方法であると考えます。

2-1.掲示板やSNSに直接削除を依頼する

大手掲示板やSNSなどには、投稿の削除申請フォームが用意されていますので、そちらからご自身で削除を依頼することも可能です。ただし、個人の削除依頼にすぐさま応じるとは限りませんので、なるべく早く画像を削除したい方にはおすすめできません。

2-2.セーファーインターネット協会に削除を依頼する

セーファーインターネット協会とは、有志の企業がインターネットの健全化を図るために設立した協会です。会員企業の筆頭がヤフー株式会社で賛助会員として株式会社ミクシィや株式会社メルカリ、アマゾンジャパン合同会社など、大手企業が参加しております。

セーファーインターネット協会では、「セーフライン」というリベンジポルノなどの違法な投稿の相談や削除を受け付ける事業です。リベンジポルノの削除は、一般的には掲示板などの運営者に削除を申請しますが、セーフラインでは削除手続きを代行するサービスを提供しています。

こちらのリンクから比較的簡単な手続きで削除を依頼することができます。

削除を依頼する場合は掲載されているページのURLが必要になりますので、用意しておきましょう。
このサービスは無料で削除依頼を代行してもらえますが、公式サイトに記載がある通り「個別の削除結果の連絡」はありません。削除に成功したかどうかは通知されませんので、しばらく不安な日々が続くことになります。また削除に成功しても投稿者を特定する手続きなどは代行してもらえませんので、刑事告訴や慰謝料請求を考えている方は別の方法を検討した方がよいでしょう。

2-3.弁護士に削除と投稿者の特定を依頼する

リベンジポルノの画像や動画の削除は時間との戦いですので、インターネットトラブルに精通した弁護士に削除を依頼することを強くおすすめします。弁護士に依頼する大きなメリットは「個人で行うよりも削除の確実性が増し、途中経過が報告してもらえること」です。
先ほど解説した、自分で削除する方法は成功率が低いですし、セーフラインでは削除の経過が報告されないため、削除を依頼しても安心はできません。

また、削除だけでなく訴訟や刑事告訴などの対応を検討している場合は「発信者情報開示請求」が必須です。発信者情報開示請求とは、投稿IPアドレスを特定した上でインターネットプロバイダに対して、投稿者の下記情報開示を求めるものです。

  • 氏名
  • 住所
  • 電話番号
  • メールアドレスなど

リベンジポルノの加害者は元交際相手が中心となっているものの、確証がなければ、訴訟や告訴はできませんので、投稿者を特定する「発信者開示請求」が必要不可欠です。

発信者開示請求は、被害者もしくは被害者の代理人が裁判所に申し立て、裁判所が加害者のインターネットプロバイダに開示の可否を照会するという手続きで進められます。個人で手続きを進めることも不可能ではありませんが、慣れない場合は時間がかかりますので、弁護士に一任した方がよいでしょう。

3.刑事告訴や慰謝料請求を望む場合の手続き

刑事告訴や慰謝料請求を望む場合の手続き

画像の削除だけでなく、加害者への制裁を希望する場合は先ほどお話しした発信者開示請求によって、投稿者を特定した上で、警察への被害届もしくは告訴状の提出を行います。それと同時に加害者には損害賠償請求を行い、慰謝料等の支払いを求めます。刑事告訴の前に、加害者に損害賠償請求を行えば、逮捕されることを恐れた加害者が示談交渉を持ちかけてくる公算が高いでしょう。リベンジポルノは、リベンジポルノ防止法だけでなく名誉毀損やストーカー防止法に抵触するケースもあるため、加害者は警察沙汰になる前に、示談を成立させようとする傾向があります。

慰謝料の請求だけでなくきちんと刑事罰によって償ってほしいと考えるのであれば、示談交渉には応じず警察に被害届や告訴状を提出することになります。加害者への対応をどうするかについては、弁護士と相談の上、ご自身が納得する形で解決できるようにしましょう。

4.まとめ

まとめ

リベンジポルノは、被害者の心に大きく傷を残す卑劣な行為です。加害者を処罰したいと考えるのも当然のことですので、信頼できる弁護士にまずは相談しましょう。削除だけを依頼するのか、刑事告訴や損害賠償請求も視野に入れるのかも弁護士と話し合いながら決定していくことをおすすめします。
まずは、「証拠の確保」「削除」を最優先に行動し、なるべく早くインターネット上からあなたの画像が削除されるよう対策を取らなければなりません。弁護士法人アークレスト法律事務所は、長年にわたりインターネット掲示板などの削除対応を行っておりますので、リベンジポルノの削除についても、いち早くお力になれると自負しております。
将来への影響を最小限に抑え、平和な日常を取り戻すためには、なるべく早くご依頼いただくことが大切です。お力になれるよう全力を尽くしますので、まずはお問い合わせください。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。