詐欺被害

投資詐欺とは?主な手口や被害事例、対処法を徹底解説

2022.10.28
投資詐欺とは?主な手口や被害事例、対処法を徹底解説

株や仮想通貨、FX、投資信託など、世の中には多くの投資商品があります。こうした投資にはリスクがつきものですが、なかでも特に気を付けなければならないのが投資詐欺です。投資詐欺犯は、うまい儲け話を持ち掛けて資金を引き出そうとしてきます。投資の知識が浅い若年者をターゲットにしたり、SNSやマッチングアプリを悪用したりするケースもあるので、年齢を問わず気を付けましょう。

本記事では、投資詐欺の手口や被害事例、予防方法などについて解説します。

投資詐欺とは

投資詐欺とは

投資詐欺とは、儲け話を持ち掛けて資金を提供させたあと、配当金などの約束を反故にする詐欺です。約束どおり元本が返還されなかったり、いつの間にか連絡が取れなくなったりして、出資者は損失をこうむります。多くは「元本保証です」「絶対儲かります」「のちほど高利で買い取ります」といったおいしい話を持ち掛けて資金を集めます。このように人を欺いてお金を出させる行為は、刑法246条に定められた犯罪です。

そもそも、金融商品の取引を仲介するためには、金融取引業の登録が必要です。登 録せずに有価証券の売買助言や勧誘をした場合、 5年以下の懲役または500万円以下の罰金、または両方が科せられます。

なお 、国民生活センターに寄せられた相談件数を見ると、近年、外国為替証拠金取引や暗号資産などに関するトラブルが増加傾向にあります。

投資詐欺の代表的な手口

投資詐欺の代表的な手口

投資詐欺のよくあるパターンがわかっていれば、話を持ち掛けられた際に気づきやすくなるでしょう。投資詐欺の代表的な手口を紹介します。

未公開株の紹介

未公開株とは、上場していない株式のことです。一般的な証券会社などから買うことはできませんが、当事者間での売買自体は違法ではありません。

しかし「もうじき上場する予定の株を割安で譲る」といった儲け話には注意が必要です。実際には上場予定のない株式であったり、株券が譲渡されなかったりといった詐欺の可能性があるからです。

新規上場株は、IPOとして証券会社を介して購入できます。個人から持ち掛けられた未公開株の紹介に安易に乗らないようにしましょう。

外国通貨の紹介

外国通貨の価値は日々変動するため、売買で利益を上げることができます。たとえば、1ドルが100円で買えるときに100ドル買って、1ドルを130円で買ってもらえるときに円に戻せば、差額分の儲けが出るといった具合です。

しかし、こうしたメジャーな通貨以外の外国通貨を「のちのち高額で買い取る」「値上がりする」と持ち掛けて個人的に販売する詐欺もあります。実際に海外の通貨が手元に残るので「詐欺」と気づきにくいかもしれませんが、いつまでたっても買い取ってもらえないまま通貨の価値が下がれば、多額の資金を失ってしまいます。

ポンジスキーム

ポンジスキームとは「出資金を出してくれれば、運用して儲けの一部を渡す」「出資額に応じた配当金を出す」などと持ち掛けてお金を出させ、実際には運用を行わない詐欺の手法です。

証券会社を通さない個人からの儲け話や、一定の配当を保証するような投資話、不自然に高配当の投資、実態のわからない会社からの勧誘などには注意しましょう。

架空の権利に関する勧誘

仮想通貨やAI技術など、時代に応じた話題の新技術や知的財産などに対して投資を募る詐欺もあります。今後の成長が見込める産業に投資をするのは問題のない行為ですが、それを持ち掛ける相手が詐欺師であった場合、出資した資金が戻ることはありません。

た とえば暗号資産(仮想通貨)関連の国民生活センターへの相談件数は、2019年に2,801件であるのに対し、2021年には6,350件と大幅に増加しています。今後も新しい技術への投資をうたう詐欺が登場するでしょうが、安易に新技術に飛びつかないように気を付けてください。

SNSやマッチングアプリを介した勧誘

特定の商材に限ったことではありませんが、SNSやマッチングアプリで出会った人に対して投資を持ち掛けるタイプの詐欺もあります。

このようなケースでは、詐欺師側は最初からターゲットとして近づいてきますが、投資を持ち掛けられた側は「知人」「友人」と思っているため、信用しやすくなります。恋愛感情を利用した「ロマンス詐欺」のほか、第三者への投資の紹介や一般的な儲け話のような流れから詐欺被害に遭うこともあるので、気を付けましょう。

投資詐欺の被害事例

投資詐欺の被害事例

実際に起こった投資詐欺の実例を3例紹介します。似たようなケースに遭遇したときは、家族や信頼できる相手に相談しましょう。

大学生を狙った多額の投資詐欺


大学生を相手に「儲け分を渡す」「2ヵ月後に返す」などと言葉巧みに勧誘して資金を提供させた投資詐欺の実例です。

この事件では、犯人グループも20代前半と若く、被害者と同年代でした。大学生など約30人から3,300万円以上のお金を集めています。被害者のなかには、すぐに元本が返ってくると言われて消費者金融からお金を借りてしまった大学生もいました。

早い段階で一部を還元することで信用を得てお金を集めていましたが、元本が返却されないことから詐欺行為が露見しています。

芸能人による巨額の投資トラブル


芸能人による投資トラブルもあります。後輩芸能人やスタッフ、仕事仲間などに投資を持ち掛けて投資上のパートナーに対して出資させたケースです。

2022年8月現在、該当の芸能人が詐欺容疑で逮捕されているわけではありませんが、この芸能人を信じて出資した人のお金は返ってきておらず、総額7億円にもなると言われています。

たとえ親しい仕事仲間や友人に誘われたとしても、あやしい儲け話に乗らないように気を付けましょう。

好意を持たせて金銭をだまし取る国際ロマンス詐欺


国際ロマンス詐欺とは、SNS等を通じて海外の異性をターゲットにお金を引き出そうとする詐欺のことです。

ある50代の女性は、ビジネス向けSNSで出会った男性から紹介された投資アプリで仮想通貨への投資をスタートしました。利益は画面に表示されていたものの、引き出そうとすると「納税が必要」とアプリ画面に表示されました。

表示に従って約200万円を振り込んだものの結局引き出しができず、約560万円をだまし取られたということです。この事例は、国際ロマンス詐欺に加え、仮想通貨に出資させるという「ポンジスキーム」の側面も持っています。

投資詐欺に遭わないための予防策

投資詐欺に遭わないための予防策

投資詐欺に遭わないためには、日頃から自分で情報を精査する習慣を付けることが大切です。「この場で決めてください」と言われたとしても、すぐに決めてしまわずに持ち帰り、情報を集めた上で検討しましょう。

具体的な対処法について、2つのポイントを紹介します。

金融商品や業者の情報を調べる

知らない投資商品や業者を紹介されたときは、名刺や商品名のメモなどを持ち帰って情報収集をしましょう

まずは、紹介された業者が金融商品取引上の登録業者であるかどうかを確認します。無登録の業者だった場合は、契約をやめましょう。な お、海外の業者であっても、日本に住む人と取引をするためには登録が必要です。

商品についても、実在する商品なのか、何に投資する商品なのかをできる限り調べてください。ニセの商品説明ページなどを作成している可能性もあるので、十分な注意が必要です。運用会社や運用先などが信用できるかどうか精査しましょう。

自己判断できないのであれば、いずれにせよ投資はやめておいた方が無難です。

「確実に儲かる」「元本保証」などのおいしい話は要注意

投資商品には、株式や債券、投資信託といった種類に関わらず一定のリスクがあります。投資商品の紹介のなかに「絶対に儲かる」「元本保証」といった言葉が出てきたら詐欺を疑ってください

そもそも、金融商品取引業者は、投資商品について「絶対儲かる」「確実に利益が出ます」などと断言したり、値上がりを約束して勧誘を行ったりすることができません。金 融商品取引法で禁止されている「不確実な事項について(中略)確実であると誤解させるおそれのあることを告げて(中略)勧誘をする行為」に該当するからです。

このような発言をする業者は信用できません。決してお金を渡さないようにしましょう。

あやしい勧誘を受けた、契約してしまった、そんなときはすぐに相談を

あやしい勧誘を受けた、契約してしまった、そんなときはすぐに相談を

投資詐欺では、巧妙な手口でお金を引き出そうとしてきます。親しい友人や信じている人から儲け話を持ち掛けられると「この人が言うなら」と思ってしまうかもしれません。しかし、即決はせずに自宅でじっくり調べ、ときには第三者に相談することが詐欺被害防止につながります。

どうしても断り切れなかったり、契約後に不安に感じたりしたときは、被害が大きくなる前にしかるべき機関に相談しましょう。相談先は消費生活センターや警察、弁護士などです。

なお、140万円を超える額の返金を求める訴訟を代理で起こすことができるのは弁護士だけです。詐欺に遭った疑いがある方は、アークレスト法律事務所までご相談ください。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。