悪徳業者から被害に遭ったら?具体的な対処法や相談窓口を解説
【弁護士監修】5ちゃんねる(5ch)の削除依頼は警察でできる?誹謗中傷の対処法を解説
2024.02.27電子掲示板「2ちゃんねる(2ch)」の後継として誕生した「5ちゃんねる」は、2ちゃんねると同様に誰でも自由に意見交換できる場としてにぎわっています。しかし、その一方で特定の個人を貶めるようなデマや誹謗中傷、さらにはプライバシーや個人情報を暴露する投稿も散見されるのが現実です。
被害に遭ったときは、影響を最小限に食い止めるためにも、一刻も早く書き込み自体を削除する必要があります。5ちゃんねるの不適切な投稿の削除依頼は、誰に相談すればよいのでしょうか?ここでは警察で削除依頼が対応してもらえるのか、風評被害を受けたときの対処方法を詳しくご説明します。
目次
目次
5ちゃんねる(5ch)の削除依頼は警察で対応してもらえる?
5ちゃんねるに誹謗中傷の書き込みがなされた場合、警察に相談すれば削除依頼に対応してくれるのでしょうか。
(1)警察では5ちゃんねるの削除依頼には対応していない
結論から言うと、5ちゃんねるに投稿された不適切な書き込みの削除依頼は、警察では受け付けていません。茨城県警察のホームページには、以下のように書かれています。
個人情報等について掲示板へ書き込まれた場合、管理者等への削除依頼は、警察では行っておりません。当該サイトに書かれた手順に沿って削除依頼をご自身で行うか、住所地を管轄する法務局の人権擁護課までご相談ください。
引用:茨城県警察
https://www.pref.ibaraki.jp/kenkei/a01_safety/cyber/taisyo/02_meiyo.html
また、警視庁のホームページでも、やや間接的に警察の関与を否定しています。
誹謗中傷を受けたり、自分のメールアドレスや電話番号などの個人情報が載せられたような場合は、その掲示板のアドレスを確認し、当該掲示板の管理者、もしくはサーバ管理者に削除依頼をする。
引用:警視庁
(略)
名誉毀損や業務妨害等の犯罪に該当するような場合は、お住まいの地域を管轄している警察署で相談する。
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/sodan/nettrouble/jirei_other/slander.html
つまり、犯罪の疑いがあるケースを除いて、警察では削除依頼の相談に対応していないということです。犯罪の疑いについては後述します。
(2)違法情報や有害情報であれば削除依頼が可能
5ちゃんねるに書き込まれた内容が違法情報または有害情報であれば、警察庁から委託された「インターネット・ホットラインセンター(IHC)」が削除依頼に対応してくれる可能性があります。
違法・有害情報とは、以下のような情報を指します。
このような情報が5ちゃんねるなどに書き込まれている場合、IHCに通報することで、IHCがサイト管理者やプロバイダに削除依頼してくれます。ただし、誹謗中傷などの事案については、IHCの削除依頼の対象外となっていますので、対応してもらうことはできません。
警察が5ちゃんねるの削除依頼に対応できない理由
警察が5ちゃんねるの削除依頼に対応できないのは、以下のような理由があるからです。
(1)民事不介入の原則
警察が5ちゃんねるの投稿の削除依頼に対応できないのは、警察の「民事不介入」原則のためです。民事不介入とは、「当事者間で解決すべき問題」に公権力は立ち入らないという立場のことです。
たとえば、お金の貸し借りでトラブルになり、警察に「あの人がお金を返してくれません」と助けを求めたとしても、民事上のトラブルを理由に警察が対応してくれることはありません。
つまり、法秩序の維持に反する疑いのある案件でない限り、警察が5ちゃんねるの投稿に関与することはありません。
そのため、5ちゃんねるの投稿で個人情報が晒された場合や誹謗中傷を受けた場合の投稿削除依頼は、原則、当事者自身ですることになります。
(2)犯罪の疑いがあっても削除依頼は警察の業務外
警察は、民事上のトラブルには介入することはできませんが、犯罪の疑いがある場合には、警察に助けを求めることができます。このような場合、警察は、捜査機関としての権限を行使して、犯罪の捜査を行い、犯人の検挙に向けて手続きを進めていきます。
しかし、警察の業務は、あくまでも犯人を検挙することにありますので、削除依頼は警察の業務外の手続きになります。そのため、警察が出動してくれるケースであっても、削除依頼には対応してもらうことはできません。
5ちゃんねるの投稿が原因で警察が出動してくれるケース
前述のとおり、犯罪の疑いがない限り、警察が動くことはありません。それでは犯罪の疑いがある投稿とはどんなものか、類型を挙げていきます。
脅迫罪
命や身体、自由や名誉などに害を与えることを告げるような投稿をすると、脅迫罪(刑法222条)に問われる可能性があります。例えば、「お前やお前の家族を車で轢いてやる」、「家に火を付けてやる」といった書き込みです。
名誉毀損罪
名誉毀損罪(刑法230条1項)は、他人の社会的信用を低下させる罪です。例えば、「〇〇店の〇〇とマネージャーは不倫関係にある」や「〇〇はドラッグをやっている」といった書き込みは名誉毀損罪に当たる可能性があります。
ちなみに、名誉毀損罪となるのは、具体的な事実を指摘して誹謗中傷する投稿です。この点が次に紹介する侮辱罪と異なります。
侮辱罪
不特定多数に見える場で誰かの社会的信用が低下する書き込みをすると、侮辱罪(刑法231条)に問われる可能性があります。侮辱罪は名誉毀損罪と異なり、具体的な事実を示していないときに成立する罪です。
例えば、「〇〇は頭がおかしい」、「〇〇は仕事がまともにできない」といった書き込みは侮辱罪になる可能性があるでしょう。
業務妨害罪
業務妨害罪には2つの種類があります。
①威力業務妨害罪
威力業務妨害罪(刑法234条)は、威力(暴力だけでなく何らかの方法)を用いて、会社の業務を妨害する罪です。たとえば「イベント会場に爆弾を仕掛けた」などと書き込むと、威力業務妨害罪になる可能性があります。
②偽計業務妨害罪
もうひとつは偽計業務妨害罪(刑法233条)。根も葉もない噂を流布させて営業の妨害をすることです。「○○社の機器が爆発した」などとデマを投稿した場合、偽計業務妨害罪に問われるかもしれません。
5ちゃんねるで起こりうる誹謗中傷の事例
5ちゃんねるで起こりうる誹謗中傷のなかから、典型的な事例を2つ紹介します。
個人名の特定と名誉権の侵害
5ちゃんねるには個人名を特定したうえで、名誉権を侵害するような書き込みが数多く投稿されています。例えば、「〇〇(実名やあだ名など)は、総務部長と不倫をしている」や「〇〇社は反社会的勢力の人と関係がある」という内容の投稿です。このような書き込みをすると名誉毀損罪に問われる可能性があります。
万が一投稿の対象となると、長年築いてきた信用を傷つけてしまいかねません。被害を受けた人や企業は、迅速かつ毅然とした対応が求められるでしょう。
営業妨害
5ちゃんねるに投稿されている書き込みのなかで多いのが、店の誹謗中傷ととれる内容です。たとえば「〇〇(店舗名)のお弁当の中に虫が入っていた」といった嘘の書き込みが広まれば、客足に大きな影響があるかもしれません。
悪い噂はあっという間に拡散して営業に悪影響を及ぼす可能性があります。こちらも早急に削除依頼を行うことが重要です。
警察に頼れない場合の5ちゃんねる投稿の削除依頼方法
5ちゃんねるに書き込まれた投稿に対しては原則警察で対応できないため、自らの力で削除依頼をすることになります。その手順を説明します。
なお、5ちゃんねるの投稿を削除依頼する手順の詳細は、下記の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
5ちゃんねる(5ch)の書き込みを削除依頼する方法【2021年版】|弁護士監修記事
書き込み・スレッドの削除依頼
すぐにできることは、5ちゃんねるの運営者に削除依頼をすることです。5ちゃんねるに書き込まれた投稿の削除依頼には、以下の3つのいずれかを利用します。
・メール
・削除要請板(削除要請フォーム)
・削除整理板(削除整理フォーム)
削除依頼の基本は、5ちゃんねるの管理者へのメールです。削除依頼する理由を添えて、また可能であれば資料を添付してメールを送信します。
また、5ちゃんねるには削除要請板があり、そこから個別の投稿の削除要請をすることもできます。その投稿を読んだ削除人と呼ばれるボランティアが、当該投稿を削除する可能性があるという仕組みです。ただし、この方法を選ぶと、削除要請そのものが5ちゃんねるへの投稿になり公開されてしまいます。
メールと削除要請板は、名誉毀損やプライバシーの侵害など重要な削除要請理由がある場合の削除依頼方法です。それ以外の一般的な削除依頼では、削除整理板に削除要請の投稿をします。
法的手段による削除方法
削除依頼をしても5ちゃんねるの運営側が削除依頼に応じない場合は、法的手段に訴えることになります。裁判所に投稿削除の仮処分命令を申請し、裁判所から5ちゃんねる運営側に削除命令を出してもらうという方法です。
仮処分とは、裁判所の判決確定を待っていては、権利の実現が困難になる事情があるときに、裁判所が暫定的な措置を命じる処分をいいます。仮処分命令は、あくまでも暫定的な措置にすぎませんが、5ちゃんねるは、裁判所の命令に従うという立場を表明しています。そのため、投稿削除の仮処分命令が発令されれば、その後正式に裁判を起こさなくても、投稿の削除に応じてもらえるでしょう。
しかし、実は法的手段に訴える前にもうひとつの方法があります。それが弁護士からの削除要請です。下記のとおり、5ちゃんねるは弁護士からの正当な理由に基づく削除依頼には原則対応するとしています。
表現の自由を配慮したリーガルマインドを持った弁護士と認めた者からの請求については、正当な理由があるものについて、原則として対応する
引用:5ちゃんねる
https://qb5.5ch.net/saku2ch/
5ちゃんねるに削除依頼をする際の注意点
5ちゃんねるに削除依頼をする場合には、以下の点に注意が必要です。
(1)削除ガイドラインを確認する
5ちゃんねるでは、「削除ガイドライン」を定めていますので、削除依頼をする際には、削除ガイドラインに従って行わなければなりません。具体的には、以下の4つの削除基準が設けられています。
このような削除基準に該当する書き込みがなされた場合に限り、削除依頼に応じてくれます。削除ガイドラインを無視して、削除依頼をしたとしても、5ちゃんねるの削除人に対応してもらうことができませんので注意が必要です。
(2)削除人への対応に気を付ける
ちゃんねるでは、削除権限を持つ「削除人」と呼ばれるボランティアによって、書き込みの削除が行われています。
削除依頼をしてから削除が完了するまでの期間は、2週間が目安になります。しかし、早く削除してもらいたいという思いから、何度も削除依頼の申請をしてしまったり、削除人に対して乱暴な言葉遣いになってしまうことがあります。
このような対応をしても早期に削除が完了するわけではなく、反対にガイドライン違反として削除に応じてもらえないリスクもあります。そのため、削除人への対応には十分に気を付けるようにしましょう。
(3)削除依頼フォームでの申請内容は公開される
削除要請版や削除整理版の専用フォームで削除依頼をした場合、その内容はすべて公開されるという点にも注意が必要です。
削除依頼の内容によっては、炎上のおそれやさらなる権利侵害のおそれがありますので、基本的には、抽象的な表現にとどめておくのが賢明です。削除依頼の内容を公開されたくないという場合は、5ちゃんねるにメールで削除依頼をした方がよいでしょう。
5ちゃんねるの削除依頼を行うなら法律事務所へ
5ちゃんねるの削除依頼をお考えの方は、早めに弁護士に相談するのがおすすめです。
(1)複雑かつ面倒な手続きをすべて任せることができる
ここまで説明してきたとおり、警察は民事不介入を理由に、5ちゃんねるのレスの削除依頼には協力できないため、削除依頼は自らの手でしなくてはなりません。
ここで問題となるのは、5ちゃんねるの運営側が「利用者の表現の自由を尊重する」という考えを示しており、個人情報の流出やプライバシーの侵害、明らかな誹謗中傷を除いて書き込みの削除に消極的であることです。自分ひとりで削除依頼をしても、依頼に応じてもらえないことも十分考えられます。
このような複雑かつ面倒な手続きを自分ひとりで行わなければならないのは、大きな負担となります。少しでも負担を軽減し、削除の可能性を高めるためにも、弁護士に依頼して手続きを行ってもらうのがおすすめです。
(2)迅速に誹謗中傷の投稿を削除できる
5ちゃんねるは、一方で、誠実な弁護士を通した正当な要請であれば、きちんと対応することを約束しています。5ちゃんねる側が削除依頼に簡単に応じない可能性を考慮して、5ちゃんねるの投稿の削除依頼手続きを弁護士に依頼することも検討してみてください。
また、5ちゃんねる以外にも、まとめサイト、コピーサイト、ミラーサイトと呼ばれるサイトに5ちゃんねるでの投稿内容が転載されている可能性もあります。このようなサイトに転載されてしまうと、5ちゃんねるの書き込みの削除だけでは不十分です。
5ちゃんねるの削除依頼の経験豊富な弁護士であれば、5ちゃんねる以外のサイトへの転載に関してもまとめて対応してくれますので安心して任せることができます。
(3)仮処分などの裁判手続きにも対応できる
5ちゃんねるへの削除依頼がうまくいかないケースでも、弁護士に依頼をすれば、削除の仮処分といった裁判手続きにも対応してもらうことができます。
削除依頼であれば、一般の方でも対応できるかもしれませんが、仮処分の申し立ては、法律の知識や経験がなければ適切に対応することはできません。迅速に削除を実現するためにも、最初から裁判手続にも対応可能な弁護士に依頼するとよいでしょう。
(4)削除依頼だけでなく投稿者の特定や損害賠償請求まで行うことができる
5ちゃんねるの書き込みの削除ができたとしても、それだけで終わりというわけではありません。誹謗中傷の書き込みにより権利を侵害された被害者の方は、書き込みをした加害者に対して、損害賠償請求を行うことが可能です。
しかし、5ちゃんねるの書き込みは、匿名での書き込みになりますので、損害賠償請求を前提として、加害者を特定するための発信者情報開示請求という手続が必要になります。弁護士に依頼すれば、削除依頼だけでなく、投稿者の特定や損害賠償請求などの一連の手続をすべて任せることができます。
まとめ
5ちゃんねるの悪質な誹謗中傷の書き込みを見つけても、自分ひとりではどのように対処すればよいかわからない方も多いと思います。インターネット上での誹謗中傷は、情報が拡散して、被害が拡大するおそれがありますので、迅速に対応することが大切です。
そのため、5ちゃんねるでご自身に関する誹謗中傷の書き込みを見つけた方は、弁護士法人アークレスト法律事務所までご相談ください。当事務所には、5ちゃんねるの誹謗中傷の書き込みの削除に関する経験豊富な弁護士が多数在籍しておりますので、迅速な削除依頼を実現することができます。一人で悩まずに、まずはお気軽に当事務所までご相談ください。
監修者
野口 明男(代表弁護士)
開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。
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