悪徳業者から被害に遭ったら?具体的な対処法や相談窓口を解説
企業の風評被害対策|4つの予防策と5つの事後対策を解説
2021.12.06デマや勘違いによる悪評、SNSでの炎上、誹謗中傷などが原因で、過去にはさまざまな風評被害が起こっています。自社に何ら問題がなくとも、大規模な災害や社会的な事故などによって思わぬところから風評被害が発生する場合もあるので、いざというときに備えておくことが重要です。本記事では、企業の風評被害対策として4つの予防策と5つの事後対策を解説します。
風評被害を受ける前に企業が行うべき対策
風評被害にできるだけ遭わないようにする事前対策として、以下のようなものがあります。
従業員の教育
内部から風評被害が発生することを防止するための重要な対策が従業員教育です。管理職・非管理職正社員・アルバイトや派遣従業員等、それぞれが従業員としていかに行動すべきかという観点から、ソーシャルメディアの使い方などを考える機会を作ります。
一方的に社内ルールを伝えるだけではあまり効果がない可能性もあります。個々の従業員が行動規範やネット利用のあり方を主体的に考える機会にするためには、正社員・非正規従業員の別を問わず建設的な意見を述べられるようなグループワーク形式での研修が望ましいでしょう。
ネット利用や風評被害対策について従業員間で話し合える場を設けることは、現実に風評被害が起きてしまった場合の協力体制の強化にもつながります。
ガイドラインやポリシーの策定
上記の従業員教育とも関連する事前対策として、ネット利用に関するガイドラインを策定することが推奨されます。そこには、最低限でも下記のような内容が盛り込まれる必要があるでしょう。
- 企業・従業員個人のネット利用全般に対する企業の立場や考え方
- 公式SNS運用担当者が守るべき事項
- 従業員の私的なSNS利用に関する注意事項
危機管理体制の整備
悪質なデマや誤情報が拡散してしまった場合を想定し、エスカレーションルール(エスカレーションフロー)を定めておく必要があります。エスカレーションルールとは、対応の手順を定めたもののことです。誰に判断を仰げばいいのか、何を基準に意思決定するのか、どの時点までに経営陣に報告するのかといった手順を決めておきます。
報告が必要なリスクの種類やレベル、事実把握から報告までの手順を詳細に定めたエスカレーションルールは、いざというときの対応マニュアルになります。
このルールを定める目的は、あくまで「危機管理としてのデマ・誤情報拡散防止」です。それゆえに「報告者を非難しない・責任追及しない」ということ明文化しておきましょう。
デマや誤情報と誤認して報告した従業員がいたとして、そのことが非難の対象となるようであれば、「間違っていたら怒られるから報告しない」という行動につながります。デマや誤情報が本当に発生したときに必ず報告されるように、一定数の誤認報告はありうるものと想定しておく必要があります。
風評被害の口コミや書き込みをモニタリング
風評被害の拡散を速やかに検知し対処するために、平時からウェブ上に投稿された自社の風評被害をモニタリングしておくことも重要です。
モニタリングを実行するには、手作業でやろうとすると莫大な労力を費やすことになります。通常業務に支障をきたしかねないため、モニタリングを委託したり、自動監視ツールを活用したりするのがおすすめです。
アークレスト法律事務所では、自動監視ツールの「風評監視システム」をご提供しています。WEB上の検索エンジン、SNS、掲示板などを幅広くモニタリング可能です。
<対応範囲>
Twitter、Googleサジェスト・関連ワード、Yahoo!サジェスト・虫眼鏡、5ちゃんねる、爆サイなど、検索結果上位50位、Googleマップレビュー
また、モニタリングのみのサービスとは異なり、当事務所では「削除依頼」、「犯人特定」、「訴訟」までをワンストップで対応できます。風評を検知したあとの対応まで、すべてお任せいただけます。
詳しくは当事務所までお気軽にお問い合わせください。
風評被害に遭ってしまった場合の対策方法
仮に事前対策が万全だとしても、風評被害に遭う場合は遭ってしまいます。実際に風評被害に遭った場合の対処法も理解しておきましょう。
声明文の発信
メディアによる誤報や事実無根の情報の流布、誤解による口コミなどが社会に誤解を与えている場合、当事者としての見解を発表します。方法は、企業公式サイトのトップへの掲載やニュースリリースの配信などです。
あわせて、速やかなクライシスコミュニケーションを取ることも必要です。クライシスコミュニケーションとは、風評被害等のリスク発生後に取引先や顧客、メディア等のステークホルダーに対して行う情報開示のことで、メディア向けの謝罪会見もこれに該当します。
風評被害が発生した場合は、直ちにクライシスコミュニケーションを開始して事実をステークホルダーに知ってもらうことが大切です。情報発信が遅れたり、事実関係の説明が不明瞭だったりすると、やましいことがあるという疑いを持たれて、さらなる被害の拡大を招いてしまう可能性があります。
風評被害にかかわる書き込みの削除依頼
風評発生源となっているSNSや匿名掲示板の書き込みへの対策も重要です。サイト管理者に削除請求を出し、申請が承認されれば削除されるという流れが一般的です。
書き込みの削除依頼は社内の担当者が行うことも可能ですが、弁護士を通したほうがサイト管理者等の相手方が依頼に応じてくれる可能性が高くなり、手続きもスムーズに進みます。サイト管理者が削除を拒否した場合は裁判手続きになるので、やはり最初から弁護士に依頼しておいたほうが安心です。
事後対策としては、ほかにもプロバイダ責任制限法に基づき投稿者本人を特定する方法があります。目的は謝罪や損害賠償の請求です。この場合は、最初にサイト管理者に対して投稿者のIPアドレス開示請求を行い、開示されたIPアドレスをもとにプロバイダを特定して、当該プロバイダに対して投稿者の氏名・住所の開示請求を行います。
公的機関への相談
業務妨害罪(刑法第233条・第234条)等の犯罪が疑われる悪質な書き込みによって被害を受けたときは、警察に相談できます。
また、総務省の「違法・有害情報相談センター」も、ネット被害の相談を受け付けている機関です。相談センターに連絡すれば、ネットのトラブルに遭ったときの一般的な対処方法や書き込み削除の依頼方法などをアドバイスしてくれます。
弁護士への相談
風評被害を受けた場合に、弁護士に相談するメリットは、法的な対応がすぐに取れることです。掲示板やSNSへの投稿削除要請や発信者情報開示請求、さらには損害賠償請求といった法的措置を取ることになったときも、弁護士の協力が必要になります。風評被害の根本的な解決を望むときは、はじめから弁護士に相談することが時間や労力の無駄を省くことにつながります。
風評被害対策会社には要注意
投稿(口コミ)の削除を代行する風評被害対策業者が存在するようです。このような業者の業務は、「非弁行為」にあたり違法の可能性があります。弁護士法の解釈では、弁護士資格がなければ、報酬を得て投稿削除依頼の代行をすることはできないのです。
またこのような業者は、高すぎる料金を設定しているケースもあるため十分ご注意ください。
風評被害対策の弁護士費用の相場
弁護士に手続きを依頼した場合、どのくらいの料金がかかるのでしょうか。あくまで相場ですが、必要な手続きごとの費用は以下のとおりです。
内容証明郵便による削除請求
プロバイダ責任制限法に基づき、サイト管理者に投稿・記事の削除を請求する手続きです。サイトにより手続きが異なり、費用にも違いが出ます。SNS投稿の削除依頼の場合、1件11万円前後です。
裁判手続きによる削除請求
投稿の削除請求は、裁判所への仮処分申立てという手続きを取ることになる可能性があります。サイトにもよりますが、一般的な費用目安は、1件約33~55万円(税込)です。5ちゃんねるの場合、1件33万円前後となります。
発信者情報開示請求
サイト運営者に対するIPアドレス開示請求、あるいは投稿者の利用プロバイダに対する発信者情報の開示請求の手続きを依頼した場合の相場は、1件あたり約44~110万円(税込)となります。
損害賠償請求
風評被害をもたらした投稿をした投稿者に対して、不法行為(民法第709条・第710条)に基づき企業が被った損害の賠償を求める手続きです。加害者側との間に示談が成立するかどうかで最終的な費用が異なります。通常、裁判に持ち込まれた場合よりも、示談によるほうが弁護士費用は少なくなります。
だいたいの費用目安は、約55~66万円(税込)です。
名誉毀損を理由として慰謝料を請求する場合の費用については、下記記事を参考にしてください。
名誉毀損の弁護士費用はどれくらい?費用相場や依頼メリットを解説
風評被害対策なら弁護士への相談がおすすめ
ネガティブな投稿は別のサイトに転載されるなどして次々に拡散し、時間が経てば経つほど削除などの対策が困難になります。そのため、できるだけ早期に対策を講じて解決を目指すことが重要です。
アークレスト法律事務所では、ネット風評被害対策に強い弁護士が風評被害に遭ってしまった企業の取るべき対策を客観的に、かつ個別の事情を考慮しつつ示すことが可能です。被害の拡大を防ぐためにも、風評被害で悩んでいる企業の担当者の方はぜひアークレスト法律事務所にご相談ください。
監修者
野口 明男(代表弁護士)
開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。
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