名誉毀損

名誉毀損の弁護士費用はどれくらい?費用相場や依頼メリットを解説

2020.09.19
名誉毀損の弁護士費用はどれくらい?費用相場や依頼メリットを解説

SNSや掲示板等で誹謗中傷の被害にあった場合、加害者に対して名誉毀損を理由とする慰謝料請求ができます。名誉毀損による慰謝料請求を弁護士に依頼する際に気になるのは弁護士費用がどのくらいかかるかということでしょう。そこで、名誉毀損の訴訟を弁護士に依頼する場合の費用弁護士に依頼するメリットを解説します。

1.名誉毀損の弁護士費用相場

名誉毀損の弁護士費用相場

名誉毀損の被害にあった人が加害者に対して、慰謝料請求などの法的手続をとる場合の弁護士費用としては次の種類があります。なお、名誉毀損の加害者が海外に在住している場合には、別途費用が加算される可能性があるため確認が必要です。

1-1.着手金

着手金とは、弁護士に依頼した時点で支払う必要のある弁護士費用です。依頼した事件の結果に関わらず、返還はされない性質の費用になります。名誉毀損による慰謝料請求を弁護士に依頼する場合の弁護士費用の相場は、投稿者1人につき10万円から30万円程度(消費税別)です。法律事務所によって、着手金がかからないところもあるようです。

1-2.報酬金

報酬金とは、弁護士に依頼した事件が解決した時点で発生する成功報酬です。名誉毀損による慰謝料請求における報酬金は(旧)日本弁護士連合会報酬等基準に基づいて計算している場合が多いです。

この報酬基準によれば、依頼者が獲得した慰謝料額の金額が300万円以下である場合には、獲得した金額の16%(消費税別)が報酬金となります。また、300万円を超える場合には、獲得した金額の10%に18万円を加えたもの(消費税別)が報酬金となります。

1-3.その他の費用

着手金と報酬金以外に、弁護士によっては裁判所などに出向くごとに日当を請求することがあります。また、弁護士の移動に要する交通費や郵便料金などの実費も請求されることが多いでしょう。このような費用についても依頼前に弁護士に確認しておいた方がよいといえます。このほか、弁護士が受け取る費用ではありませんが、裁判手続を利用する際には請求額等に応じて裁判所へ手数料を納付する必要があります。この手数料も通常は依頼者が負担することとなります。

1-4.投稿者特定の費用は別に必要

なお、名誉毀損による慰謝料請求をする場合、加害者の氏名や住所がわからないことがあります。この場合、発信者情報開示請求という投稿者を特定するための手続を先に行う必要があります。

発信者情報開示請求については、名誉毀損による慰謝料請求にかかる弁護士費用とは別に費用が発生します。

2.名誉毀損を弁護士に依頼するメリット

名誉毀損を弁護士に依頼するメリット

名誉毀損による慰謝料請求を希望する場合には、基本的に弁護士に依頼した方が良いことが多いでしょう。具体的に、弁護士に依頼するとどのようなメリットがあるのかを説明します。

2-1.相手に会わずに解決できる

弁護士に依頼する最大のメリットは、加害者に会わずに解決できることです。名誉毀損の事案は、加害者と被害者との間に激しい感情的な対立があることが通常です。したがって、被害者が相手に直接慰謝料請求をしても、加害者がまともに取り合わないことが多いです。それどころか、慰謝料請求を受けたことで加害者が逆上して誹謗中傷をさらに加速させ、被害者の身に危険が及びかねないこともあります。

このため、被害者にとっては自分で対応をすること自体が精神的に大きな負担となります。弁護士に依頼すれば、本人が直接対応することの負担から解放されます。

2-2.面倒な裁判手続をすべて代行してもらえる

名誉毀損による慰謝料請求では訴訟を起こさざるを得ないことも多いですが、裁判所の手続は法律にのっとり行われる厳格な手続です。このような手続を本人が自分で調べながら進めるのは大変です。また、投稿者がわからず発信者情報開示請求を行う場合には、プロバイダのログ保存期間が限られているとの事情があるため、保存期間内に迅速に手続を行う必要があります。

以上のことから、面倒な裁判手続を弁護士が迅速かつ確実に処理してくれることも弁護士に依頼するメリットといえます。

3.名誉毀損を弁護士に依頼する際のポイント

名誉毀損を弁護士に依頼する際のポイント

名誉毀損による慰謝料請求を弁護士に依頼する場合のポイントは次のとおりです。

3-1.弁護士の依頼までに必要なものを揃えておく

弁護士に依頼する際に必ず必要となるのが、どのような誹謗中傷を受けたかの証拠です。SNSやインターネット上の掲示板における投稿である場合、早い段階で誹謗中傷の書き込みの画面をスクリーンショットで保存しておくことが大切です。URLだけしか記録していないと、投稿者が削除してしまえばアクセスできなくなるためです。画面を保存する際には、URLのアドレス部分も完全に表示させてから保存するように注意しましょう。

3-2.慰謝料請求は相手の資力にも注意

名誉毀損による慰謝料請求で盲点になりがちなのが、相手の資力です。名誉毀損の加害者にまったく財産や収入が無い場合には、勝訴判決を獲得したとしても実際に慰謝料の支払いを受けることができない可能性があることは理解しておく必要があります。

4.名誉毀損を受けたらまずは弁護士に相談を

名誉毀損による慰謝料請求に関しては、インターネット上に誤った情報があふれています。これを鵜呑みにすることはとても危険です。名誉毀損の被害にあって慰謝料請求を考えている場合には、そもそも請求が認められる可能性がどの程度あるかについて弁護士に相談することをおすすめします。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。