コラムIPアドレス開示と投稿者の特定

ネット中傷の投稿者を特定するまでの流れ~IPアドレスから情報開示まで

2018.08.17

ネット上で誹謗中傷等の被害を受けたら、記事を削除するだけではなく「投稿者を特定」することが重要です。相手が誰か分からないと、損害賠償請求(慰謝料)や刑事告訴もできないからです。

以下では、ネット誹謗中傷の投稿者を特定するまでの流れを、詳細かつわかりやすく解説します。

1.ネット誹謗中傷の投稿者を特定する一般的な流れ

ネット誹謗中傷の投稿者を特定する一般的な流れ
  1. サイト管理者を調べる
  2. サイト管理者に連絡し、投稿者のIPアドレスを聞き出す
  3. 必要に応じて仮処分をする
  4. プロバイダを調べる
  5. プロバイダに連絡し、ログ保存をしてもらう
  6. 必要に応じてログ保存を仮処分をする
  7. プロバイダから投稿者に意見照会書が届く
  8. 必要に応じて訴訟をする
  9. 情報開示を受ける

一般的には上記の流れとなります。 以下では、それぞれの手順を確認していましょう。

2.サイト管理者を調べる

ネット誹謗中傷やプライバシー権侵害が行われた場合、まずは投稿が行われたサイトの管理者サーバー管理会社を調べることが必要です。
このとき、サイト管理者がドメイン代行業者を使っていたら、サイトを見ても、管理者が誰かが分からないケースがあります。
その場合には、「弁護士法23条照会」という方法を使って、サイト管理者を明らかにしなければなりません。

3.サイト管理者に連絡し、投稿者のIPアドレスを聞き出す

サイト管理者に連絡し、投稿者のIPアドレスを聞き出す

サイト管理者が明らかになったら、サイト管理者に連絡を入れて、投稿者の「IPアドレス」を開示するように求めます。IPアドレスとはネット上の住所のようなもので、それがわかったら投稿者のプロバイダが判明します。
任意で開示を受けられたら良いですが、受けられなかったら、次の手続き(仮処分)が必要です。

※IPアドレスを開示する方法については、下記の記事にて詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。

4.必要に応じて仮処分をする

サイト管理者が任意にIPアドレスを開示しない場合には、裁判所で「仮処分」という手続きを申し立てて、強制的に投稿者のIPアドレスを開示させる必要があります。仮処分は迅速に行う必要がありますし、法的に専門性を要求される手続きですので、弁護士に任せる方が良いでしょう。
適切に手続を進められたら、2週間~1ヶ月くらいで仮処分による情報開示命令が出ます。

5.プロバイダを調べる

プロバイダを調べる

仮処分によってIPアドレスが開示されたら、投稿者の経由プロバイダを調べます。このとき「Whois検索」というツールを使いこなす必要があります。 ネット誹謗中傷問題を積極的に取り扱っている弁護士であれば、スムーズかつ正確にプロバイダを明らかにできます。

6.プロバイダに連絡する

プロバイダが明らかになったら、プロバイダに連絡を入れて、投稿者の個人情報を開示するように求めます。
ただ、実際にはプロバイダから任意で情報開示を受けられることは少ないです。
プロバイダがむやみに契約者の情報を開示すると、プロバイダが契約者である投稿者(誹謗中傷の投稿者)から責任追及されてしまう可能性があるためです。

7.ログ保存の仮処分をする

ログ保存の仮処分をする

プロバイダが任意に投稿者の情報を開示しない場合、発信者情報開示請求訴訟という裁判をしなければなりません。
このとき、裁判前に「ログ保存の仮処分(発信者情報消去禁止仮処分)」という手続きをとっておくことが重要です。
ログ保存の仮処分とは、プロバイダが過去ログを消さないようにするための手続きです。
通常、プロバイダや通信会社は3~6ヶ月でログを消してしまいますが、消されてしまっては、裁判で情報開示命令が出ても、開示が物理的に不可能になってしまうからです。
弁護士が対応する場合には、きっちり仮処分を行ってログを保存してから、裁判に臨みます。

8.プロバイダから投稿者に意見照会書が届く

プロバイダが、投稿者の個人情報を開示して良いかを確認するために、プロバイダ責任制限法に基づいてプロバイダが投稿者に対して、意見照会書を発行し、発送します。

9.必要に応じて訴訟をする

必要に応じて訴訟をする

プロバイダが任意開示に応じない場合には、プロバイダに対して「発信者情報開示請求訴訟」という裁判をしなければなりません。
これは、仮処分ではなく本訴訟なので、厳格な手続きが適用されますし、非常に時間もかかります。仮処分以上に専門の弁護士に依頼する必要性が高いと言えます。
訴訟をすると、だいたい半年くらいはかかると見ておきましょう。
相手の投稿によって権利侵害を受けた事実や情報開示の必要性について、きちんと主張・立証できれば、裁判所が判決によって、プロバイダに対し、投稿者の情報開示命令を出してくれます。

※投稿者の個人情報を特定する方法については、下記の記事にて詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。

10.情報開示を受ける

情報開示を受ける

裁判所で情報開示命令の判決が出たら、プロバイダはその命令に従うので、投稿者の情報が開示されます。
開示される情報は、以下のようなものとなります。

  • 投稿者の住所
  • 投稿者の氏名
  • 投稿者のメールアドレス

この情報を使えば、投稿者に直接アクセスできるので、内容証明郵便を使って慰謝料の請求書を送ることも可能ですし、投稿者の自宅近くの警察に刑事告訴状を提出することなども可能となります。

以上のように、ネット誹謗中傷の投稿者を特定する作業は、非常に複雑で専門的です。 弁護士法23条照会など、弁護士にしかできないこともありますし、仮処分や訴訟などの裁判手続きも必要です。素人の方が取り組もうとすると、手続きに時間がかかって肝心のログを消されてしまうこともあります。 当事務所では、ネット誹謗中傷問題を得意としており、投稿者を特定して、訴訟を起こすまでの全てに対応可能です。お困りの際には、ログを消される前に、お早めに弁護士までご依頼ください。

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。