SNSの誹謗中傷・書き込み削除

X(旧Twitter)での誹謗中傷被害、ポリシーと削除申請の方法について

2024.03.01
X(旧Twitter)での誹謗中傷被害、ポリシーと削除申請の方法について

X(旧Twitter)は、世界中で利用されているSNSですが、匿名での投稿が可能であるため、投稿内容によっては誹謗中傷被害が生じることもあります。また、X(旧Twitter)には、拡散力の高いリポスト(旧リツイート)機能がありますので、そのまま放置していると被害が拡大し、大きなトラブルになる可能性もあります。 そのため、X(旧Twitter)での誹謗中傷があった場合には、早期に対象のポスト(旧ツイート)を削除するなど、対応をとることが考えられます。

本記事では、X(旧Twitter)での誹謗中傷被害の概要とその対処法としての削除申請の方法について解説します。

X(旧Twitter)は誰でも気軽に参加できる便利で人気のSNS!

X(旧Twitter)は若者を中心に、世界中で利用されているSNSです。日本だけでも、4500万人以上のユーザーが存在するといわれます。
X(旧Twitter)は、有料サブスクリプションに加入すれば、投稿する文字数を増やすことができるようになりましたが、そうでなければ短い文字数制限の中、気負わずほんの一言でも発信ができて、誰でも簡単に参加できるのがX(旧Twitter)の人気の秘密でしょうか。

しかし、X(旧Twitter)は誰もが匿名で気軽に参加できるからこそ、誹謗中傷などが頻繁に起きてしまい、多くの利用者が不快な思いを経験しているという結果が出ています。

X(旧Twitter)で書かれる誹謗中傷とは?

X(旧Twitter)では、まったく事実無根のことを投稿され、過去の犯罪歴など、他人に知られたくない事実を公開されてしまったなど、さまざまな誹謗中傷があります。中には、会社やお店の悪い評判を流されてしまい、経営が立ち行かなくなったケースもあることでしょう。

なぜX(旧Twitter)で誹謗中傷を書き込むのか?

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それでは、X(旧Twitter)で誹謗中傷を書き込む人というのはどういう人なのでしょうか。

あることないことを書き込んだり、人の悪口を発信したりするなんて、とても悪い奴だと思いますよね。
しかし、X(旧Twitter)で、誹謗中傷を書き込む人は、実はどこにでもいる普通の人たちなのです。世間では、人当たりが良く、良い人で通っているような人が、ネットの世界では過激な書き込みを繰り返しているなんてこともあるでしょう。
X(旧Twitter)で誹謗中傷を行う人の中には、それほど罪の意識のない人すらいることでしょう。

軽い気持ちで誹謗中傷をする人もいれば、逆恨みも含めて何か恨みがある人、自己承認欲求を満たすためにリツイートやいいね!を期待して書き込む人まで、様々なタイプの人間がいるのです。

X(旧:Twitter)での誹謗中傷被害を放置するとどうなる?

X(旧:Twitter)での誹謗中傷被害を放置していると、以下のようなリスクが生じるおそれがあります。

(1)被害が拡大する

X(旧:Twitter)は、世界中で多くの人が利用するSNSですので、誹謗中傷の投稿がされると、不特定多数の人の目に触れることになります。インターネット上の投稿は、容易に保存することが可能で、瞬時に拡散されてしまいますので、X(旧:Twitter)で誹謗中傷がなされると、被害が拡大するリスクが大きくなります。

特に、X(旧:Twitter)での誹謗中傷が悪意のあるセンセーショナルな内容であれば、多くの人の興味を惹きますので、情報が拡散するリスクはさらに高くなるでしょう。

(2)就職や結婚に影響が生じる

X(旧:Twitter)で誹謗中傷の投稿がされた場合、虚偽の内容が投稿されたとしても、投稿を目にした人は、その内容が真実であると受け止めてしまいがちです。

就職前の学生がX(旧:Twitter)での誹謗中傷被害を受けてしまうと、就職活動に大きな影響が生じて、希望する企業への就職がかなわないかもしれません。また、結婚を予定している人がX(旧:Twitter)での誹謗中傷被害を受けてしまうと、婚約が破談になってしまうかもしれません。

X(旧:Twitter)での誹謗中傷を放置していると人生の歯車を狂わされる事態にもなりかねません。

(3)個人情報が洩れることで犯罪に巻き込まれるリスクが高くなる

X(旧:Twitter)での誹謗中傷の際に、住所、氏名、電話番号などの個人情報が洩れてしまうと、犯罪に巻き込まれることもあり得ます。
そのため、X(旧:Twitter)で自分への誹謗中傷の書き込みを見つけた場合には、早めに適切な対応をとることが必要な場合があります。

X(旧Twitter)で誹謗中傷を書き込まれたら、どうすればいいのか。

X(旧Twitter)での誹謗中傷は、気軽な気持ちや逆恨みなど、いろいろなパターンがあるため、誰でも被害にあう可能性があるといえます。
もし、X(旧Twitter)で誹謗中傷を書き込まれた場合、どう対処すればいいのでしょうか。まずは、無視するというのも手でしょう。ブロックしてしまえば、自分の目に触れることもなくなりますし、そのうちあまり気にならなくなるでしょう。
しかし、個人が特定できるような形で誹謗中傷されていたり、無視することにより、いやがらせがエスカレートしたりすることも考えられます。

あまりにひどく、実害がある場合には、弁護士に依頼して法的手続きをとることも可能です。しかし、お金も手間もかかるし、何より誰だって大事にしたくない気持ちがあるでしょう。

そんなときは、X(旧Twitter)にポスト(旧:ツイート)の削除申請をすることができます。これは、弁護士や警察などでなくても、個人で対応が可能です。

X(旧:Twitter)で誹謗中傷被害を受けたときにやってはいけないこと

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X(旧:Twitter)で誹謗中傷被害を受けた場合、自分で何とかしようと行動する方も少なくありません。しかし、以下のような対応は、被害をより拡大するおそれがありますので、やめたほうがよいでしょう。

(1)X(旧:Twitter)で言い返す

X(旧:Twitter)で誹謗中傷を受けると、感情的になってしまい、すぐに相手に対して言い返してしまう方もいます。
しかし、相手に対して直接言い返しても、事態が収束することは期待できず、むしろ逆上した相手からさらにひどい誹謗中傷の投稿がされるおそれがあります。お互いのやり取りがエスカレートすると、周囲の人も巻き込んで炎上するリスクもあります。
そのため、X(旧:Twitter)での誹謗中傷を発見したとしても、まずは冷静になって、削除要請などの対応をすることが大切です。

(2)自分も誹謗中傷を行う

X(旧:Twitter)で誹謗中傷されたからといって、自分も相手を誹謗中傷してよいというルールはありません。
自分も誹謗中傷を行ってしまうと、アカウントのロック・凍結などのリスクや、名誉毀損罪などにより刑事処罰を受けるリスク、損害賠償を求められるリスク等がありますので、絶対にしてはいけません。

(3)誹謗中傷の投稿を放置する

すでに説明したとおり、誹謗中傷の投稿を放置するとさまざまなリスクが生じます。事実無根の投稿だからといって放置するのではなく、すぐに投稿の削除要請などの対応に向けて行動した方がよいこともあるでしょう。

X(旧Twitter)のポリシーで禁止されていること

当然ですが、ポスト(旧:ツイート)の削除要請は、なんでもかんでも好き勝手にできるわけでは有りません。削除してもらうためには、それ相応の理由が必要です。誰かのことを批判しているだけでは、削除対象にはならないことが多いでしょう。表現の自由、言論の自由がありますので、ポスト(旧:ツイート)の自由は尊重されるべきものだからです。

X(旧Twitter)では、個人情報の勝手な公開や誹謗中傷などはポリシーで禁止されています。X(旧Twitter)のポリシーには、「X(旧Twitter)はすべてのユーザーに、バリアなくアイデアや情報を瞬時に作成することができ、それを有するための機能を提供したいと考えます。」とあります。

X(旧Twitter)のポリシーでは、以下のような投稿を禁止しています。

  • 暴力的な発言に関する投稿

  • 攻撃的な行為、嫌がらせに関する投稿

  • ヘイト行為に関する投稿

  • 自殺や自傷をほのめかす投稿

  • 個人情報に関する投稿

  • 他人になりすます投稿

  • 違法な商品の販促

  • ヘイト行為

  • 自殺や自傷をほのめかす行為

  • 暴力的なコンテンツを含む投稿

    X(旧Twitter)のポリシーに違反

    X(旧Twitter)のポリシーに違反している場合は、アカウントを凍結されるなどの措置をとられることがあります。しかし、この行為に該当しているかどうかは非常に曖昧な判断となります。
    どこからが嫌がらせでどこまでがユーモアや通常の批判や評価なのかが曖昧だからです。

    そのため、ポスト(旧:ツイート)の削除がすぐ実行されるかはX(旧Twitter)の対応によりますが、削除申請自体は、誰でも可能です。

    もしも、X(旧Twitter)での誹謗中傷の被害にあった場合は、まずは当該ポスト(旧:ツイート)の削除申請から始める方法もあります。

    X(旧Twitter)の削除申請はどうすればよいのか?

    ネットでの名誉毀損に対する削除仮処分の流れ

    X(旧Twitter)の削除申請は、X(旧Twitter)社に対してインターネット上で申請することができます。

    X(旧Twitter)の https://help.twitter.com/forms にアクセスをして、右側中ほどにある「Twitterにおける安全性や、センシティブなコンテンツに関する懸念」をクリックしてください。
    その後、「どのような問題がありますか?」、「報告する内容の対象」という質問に対して、複数の選択肢から選び、ユーザー名等を入力することになります。

    削除申請する場合は、それがどうして嫌がらせだといえるのかを説明する必要があります。
    「現在起きている問題について、詳しくお知らせください」の回答欄に、できるだけ、客観的かつ論理的に説明をして特定の誰かの権利を侵害しているということを明記してください。

    この説明が、ポスト(旧:ツイート)の削除申請において、一番重要なポイントです。個人情報などが公開されている場合は、比較的簡単に理由も書くことができ、削除申請が通りやすくなります。しかし、誰への悪口かがはっきりとしない表現である場合や、無関係の人から見るとたいした内容ではないように見える場合は、丁寧な説明が必要です。

    当該ポスト(旧:ツイート)の内容がどういったもので、誰に対してどういう誹謗中傷になり、どんな権利侵害が行われているのかを書いてください。一部で通用するような隠語で書かれている場合は、その隠語などについても詳しい説明が必要です。文章が上手である必要はありません。とにかく一つずつ丁寧に説明をして分かってもらうように努力することが大切です。

    削除申請には、運転免許証やパスポートなどのコピーをアップロードする必要があることがあります。
    その場合には、これらを揃えた上で、削除申請をすれば、X(旧Twitter)から連絡が来るでしょう。必要な情報がそろっていない場合は、追加で証拠や情報を求められることもあります。これにもしっかりと対応してください。

    これで、申請が通ればポスト(旧:ツイート)の削除が完了します。
    申請方法がよく分からない方や適切に申請されたい方などは、専門家である弁護士に依頼した方がいいと思います。

    X(旧:Twitter)での誹謗中傷は裁判所への投稿削除の仮処分でも削除可能

    X(旧:Twitter)への削除申請で削除に応じてもらえない場合には、裁判所に投稿削除の仮処分の申立てをすることで、誹謗中傷の投稿を削除してもらえる可能性があります。
    仮処分というのは、簡単にいうと、早急に救済を図る必要のある事案について、早急に裁判所の決定をもらい、暫定的に申立て内容を実現する手続きです。

    このような仮処分の申立てをするには、法的知識や経験が必要になりますので、個人での対応は難しいといえます。そのため、X(旧:Twitter)への削除申請が通らなかった場合には、早めに弁護士に相談して、投稿削除の仮処分の手続きを進めてもらうようにしましょう。

    X(旧Twitter)の削除申請は誰にでもできる!

    想像より手間がかかる印象があるかもしれませんが、削除申請の作業は個人でも可能な範囲内と考えられます。いわれのない誹謗中傷や、悪い噂を流されてしまった場合は、毅然とした態度で対応することが重要です。削除申請はその第一歩として非常に有効な手段ですので、ぜひご活用ください。

  • 野口 明男 弁護士

    監修者

    野口 明男(代表弁護士)

    開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
    旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
    弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
    単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。