ネットトラブル

ネット上の書き込みや投稿によって成立する犯罪とは

2018.08.21
ネット上の書き込みや投稿によって成立する犯罪とは

ネット上では過剰な書き込みが行われやすいので、いつなんどき、自分のことについて誹謗中傷されるかわかりません。 ネット上の投稿によっても、ときには「犯罪」が成立することがあります。 具体的には、どのような犯罪が成立する可能性があるのでしょうか? 今回は、ネット上での投稿が脅迫罪や名誉毀損罪などの「犯罪」になるケースについて、解説します。

1.ネット上の投稿によって成立する犯罪

ネット上の投稿によって成立する犯罪

ネット上での投稿によって成立する可能性のある犯罪は、主に以下のようなものです。

  • 名誉毀損罪
  • 侮辱罪
  • 業務妨害罪
  • 信用毀損罪
  • 脅迫罪

以下で、それぞれがどのような犯罪なのか、順番に見ていきましょう。

1-1.名誉毀損罪
名誉毀損罪は、公然と事実の摘示によって、他人の社会的評価を低下させた場合に成立する犯罪です。摘示する事実は「真実」であっても犯罪となります。
法定刑は、3年以下の懲役もしくは禁固または50万円以下の罰金です。
1-2.侮辱罪
侮辱罪は、事実の摘示によらずに、公然と他人を侮辱した場合に成立する犯罪です。侮辱罪の法定刑は、拘留または過料です。
1-3.業務妨害罪
業務妨害罪は、虚偽の噂を流したり人を騙したり誘惑したりして他人の業務遂行を妨害したときに成立する犯罪です。法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑です。
1-4.信用毀損罪
虚偽の噂を流すことによって人の経済的な信用を低下させたときに成立する犯罪です。
法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑です。
1-5.脅迫罪
相手やその親族の生命、身体、財産、名誉、自由に害悪を告知することによって成立する犯罪です。
法定刑は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金刑です。

2.犯罪に該当する書き込みの具体例

犯罪に該当する書き込みの具体例

具体的にはどのような投稿が犯罪となるのか、それぞれの犯罪行為の例を見ていきましょう。

2-1.名誉毀損罪
「あの子は不倫している」
「あいつは前科がある」など
内容が真実でも犯罪が成立します。
※書き込みが名誉毀損に該当するかの判断基準と削除方法については、下記の記事にて詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。
2-2.侮辱罪
「バカ野郎!」
「ゲス!」など
2-3.業務妨害罪
「手抜き工事・違法建築だ」
「使っている素材が粗悪、すぐに壊れた」など
内容が虚偽の場合に犯罪が成立します。
2-4.信用毀損罪
「あの会社は倒産寸前」など
内容が虚偽の場合に犯罪が成立します。
2-5.脅迫罪
「殺すぞ」
「家に火をつけてやる」
「子どもをさらうぞ」
「お前の前科を公開するぞ」など

3.被害に遭ったときの対処方法

被害に遭ったときの対処方法

以上のように、ネット上で違法な投稿が行われたときには、不当な投稿内容が広まらないうちに、早めに削除させるべきです。 また、相手を刑事告訴することにより、警察に逮捕してもらって刑事手続の対象にできる可能性がありますし、慰謝料や売り上げ低下分の民事的な損害賠償請求をすることも可能です。 ただ、ネット上の投稿の場合、相手が不明なことがほとんどですので、まずは投稿者を特定する作業が必要となります。

※IPアドレスを開示する方法については、下記の記事にて詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。 ※投稿者の個人情報を特定する方法については、下記の記事にて詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。

4.誹謗中傷被害に遭ったら、弁護士までご相談ください

被害者がお一人でこのような対応をとることは難しいものです。 弁護士であれば、速やかに記事の削除を行い、投稿者を特定し、刑事告訴や損害賠償請求などの手続きをスムーズに進めていくことができます。

ネット上の不当な投稿によってさまざまな被害を受けてお困りの場合には、被害が拡大する前に、なるべくお早めに弁護士までご相談ください。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。