悪徳業者から被害に遭ったら?具体的な対処法や相談窓口を解説
風評被害を個人で解決する方法は?3つの対策方法を徹底解説
2021.11.16風評被害に遭ったにもかかわらずそのまま放置してしまうと、社会的評価や信用力の低下、精神的ダメージといったリスクが生じます。しかし、風評被害対策の方法を調べようにも、企業向けの情報が多く個人でできる解決策は分かりにくいのが実情です。
本記事では、個人が風評被害に遭った場合のリスクや対策方法を解説します。
風評被害とは?
風評被害とは、流言やデマ、根も葉もない噂などによって、経済的な被害を受けることをいいます。風評被害は誹謗中傷と混同されがちですが、後者は流言やデマ・噂といった虚偽の情報に加えて、対象人物に対するネガティブな評価(非難・罵言等、いわゆる悪口)が上乗せされたものです。
風評被害は誹謗中傷によって起こる場合もありますが、ネガティブな評価を伴わない情報によっても発生することがあります。
風評被害が個人にもたらす影響
個人がネット上の誹謗中傷などにより風評被害に遭った場合、どのような影響を被ることになるでしょうか。
勤務先や取引先からの評価が下がる
例えば、会社員の男性が勤務先で部下の女性にセクハラしているという虚偽の噂がネット上に流れたとします。これが拡散することにより、あらぬ噂が勤務先にも広がり、人事考課に悪影響を与える可能性があります。
また、勤務先での人間関係がぎくしゃくしたり、取引先からの信用に傷が付いたりすれば、仕事の上でのマイナスは計り知れないものになるでしょう。
周囲の人間関係が悪化する
ネットに書き込まれた内容によっては、周囲の人間関係にも影響する可能性があります。友人や知人から避けられたり、頼みごとを断られるようになったりするかも知れません。
社会的・経済的な信用が低下する
拡散した情報の内容によっては、勤務先や取引先との関係を超えた社会的・経済的な信用低下に遭う恐れがあります。例えば、借家の賃貸契約を締結できなくなる、クレジットカードの審査を通過できなくなるといったケースです。
ストレスにより心身の健康を害する
人間関係を中心とする負のスパイラルに陥ると、ストレスがたまります。ストレスはうつ病発症や、最悪の場合は自殺の原因になりうるものです。リアリティ番組の出演者が自殺に追い込まれてしまった事例もあり、軽視できない問題と言えます。
個人に対する風評が起こりやすい場所
では、どのようなところで対個人の風評被害が発生するのでしょうか。今の時代、やはり発生元となりやすいのはネットです。さらに細かく見ていくと、以下のような媒体で起こります。
ネット掲示板
かつてはネット掲示板「2ちゃんねる」の影響力が圧倒的で、個人に対する誹謗中傷による風評被害もここで多発していました。現在は、2017年に2ちゃんねるから引き継がれた5ちゃんねるのほかにも、地域密着型を特徴とする「爆サイ」で個人に対する誹謗中傷・風評被害が頻繁に発生しています。
口コミサイト
事業者が取り扱う商品やサービスに対する口コミサイトの場合、個人が被害に遭う危険性はほとんどないと考えてよいでしょう。
一方で、「転職会議」など転職希望者のためのサイトの場合、個人が風評被害に遭う可能性があります。転職を考えている人にとって有益な情報とは、企業の内部事情という側面があるからです。サイト運営者は明らかに個人が特定できるような内容の投稿は削除するというガイドラインを掲げていますが、仕事内容などから内部の人には個人を特定できる情報が残っている可能性もあります。
SNS
現代のネット媒体の中で、個人に対する風評被害が最も発生しやすいのはSNSといえるでしょう。特に「Twitter」はユーザー数が多く、拡散力が高いのが特徴です。フォロワーの反応(いいね・コメント・リツイート)によっては、ツイートが不特定多数の人の目に触れやすくなるため、内輪ウケを狙っただけのツイートが本人も知らぬ間に話題になり、結果的に想定外の事態を引き起こしてしまうこともあり得ます。
一方、Instagramは画像中心のSNSであり、また自分のフォロワーに他人の投稿をシェアする仕組みが無いため情報が拡散されにくいです。Facebookも情報の公開範囲をその都度設定できることや、友達以外の投稿がタイムラインに表示されないことなどから情報が届く範囲が限定されるため、風評被害のリスクはTwitterに比べると低いでしょう。
個人でもできる風評被害への対策方法
風評被害に遭った場合の対策としては、「プロバイダ責任制限法」(令和3年法律第27号)に準拠して投稿を削除したり、投稿者本人を特定したりする方法が有効です。それぞれの方法を簡単に解説します。
誹謗中傷の投稿の削除を依頼する
まず、風評被害の原因となっている投稿がなされたネット掲示板や口コミサイトに問い合わせして、プロバイダ責任制限法第3条2項2号に基づき投稿削除を依頼するという方法があります。
サイト運営者に認められれば該当の投稿が削除されるため、それ以上被害が拡大するのを防げます。
発信者情報開示請求をして投稿者に責任を追及する
サイト運営者に対してプロバイダ責任制限法第5条に基づいて「発信者情報開示請求」を行い、投稿者の責任を追及することも可能です。基本的な流れは以下のようになります。
1.サイト運営者へのログ開示請求
まずサイト運営者に対して発信者情報開示請求を行い、発信者(投稿者)のIPアドレスを取得します。
2.プロバイダへの発信者情報開示請求
発信者のIPアドレスから、投稿者が利用したプロバイダを特定するのが次のプロセスです。プロバイダを特定した後、プロバイダに発信者情報開示請求して投稿者の氏名や住所、メールアドレスなどの情報を取得します。
投稿者を特定することで、投稿者本人に損害賠償請求などの対応をとる準備ができたことになります。
3.情報消去を禁止する要請
投稿者の特定に必要な情報は一定期間が過ぎると順次消去されていきます。開示請求中にそれらのログが消去されることを防ぐため、手続きの際は発信者情報の消去禁止命令の申し立てが必要です。裁判所はサイト運営者とプロバイダに対し、発信者情報開示請求の手続きが終わるまで証拠となるログ情報を消去しないよう命令を出します。
警察に相談する
風評被害に遭ったことを相談すれば、警察に力になってもらえることもあります。しかし、刑法や各種法令上の罰則規定に基づいて加害者を罪に問えるケースでなければ、警察が出動することは原則ありません。
特に、単なる悪口ととれる内容は個人間で解決するべき問題とみなされ、警察に捜査してもらえる可能性が低いです。個人に対する風評被害の場合は確実な方法とは言えないでしょう。
個人で風評被害対策をするなら弁護士へ相談を
確実な対処をとりやすいのは、法に基づいて投稿を削除または投稿者を特定する方法ですが、手続きが煩雑で時間もかかるため、個人が行うのは現実的には困難です。その点、弁護士に相談すればプロバイダ側に削除依頼や開示請求に応じてもらえる可能性が高くなり、また違法行為への対抗手続きもスムーズに行うことができます。
アークレスト法律事務所では、ネット上の誹謗中傷問題を知り尽くした弁護士がそれぞれのケースに応じて適切な対策をアドバイスします。誹謗中傷による風評被害を受けてしまったらひとりで悩まず、アークレスト法律事務所にお気軽にご相談ください。
監修者
野口 明男(代表弁護士)
開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。
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