サイトごとの削除・対策方法

【弁護士監修】5ちゃんねる(5ch)の削除依頼は警察でできる?誹謗中傷の対処法を解説

2021.09.27

電子掲示板「2ちゃんねる(2ch)」の後継として誕生した「5ちゃんねる」は、2ちゃんねると同様に誰でも自由に意見交換できる場としてにぎわっています。しかし、その一方で特定の個人を貶めるようなデマや誹謗中傷、さらにはプライバシーや個人情報を暴露する投稿も散見されるのが現実です。

被害に遭ったときは、影響を最小限に食い止めるためにも、一刻も早く書き込み自体を削除する必要があります。5ちゃんねるになされた不適切な投稿の削除依頼は、誰に相談すればよいのでしょうか?ここでは警察で削除依頼が対応してもらえるのか、風評被害を受けたときの対処方法を詳しくご説明します。

5ちゃんねる(5ch)の削除依頼は警察では対応不可

警察では対応不可

結論から言うと、5ちゃんねるに投稿された不適切な書き込みの削除依頼は、警察では受け付けていません。茨城県警察のホームページには、以下のように書かれています。

個人情報等について掲示板へ書き込まれた場合、管理者等への削除依頼は、警察では行っておりません。当該サイトに書かれた手順に沿って削除依頼をご自身で行うか、住所地を管轄する法務局の人権擁護課までご相談ください。

引用:茨城県警察
https://www.pref.ibaraki.jp/kenkei/a01_safety/cyber/taisyo/02_meiyo.html

また、警視庁のホームページでも、やや間接的に警察の関与を否定しています。

誹謗中傷を受けたり、自分のメールアドレスや電話番号などの個人情報が載せられたような場合は、その掲示板のアドレスを確認し、当該掲示板の管理者、もしくはサーバ管理者に削除依頼をする。
(略)
名誉毀損や業務妨害等の犯罪に該当するような場合は、お住まいの地域を管轄している警察署で相談する。

引用:警視庁
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/sodan/nettrouble/jirei_other/slander.html

つまり、犯罪の疑いがあるケースを除いて、警察では削除依頼の相談に対応していないということです。犯罪の疑いについては後述します。

警察が5ちゃんねるの削除依頼に対応できない理由

対応できない理由

警察が5ちゃんねるの投稿の削除依頼に対応できないのは、警察の「民事不介入」原則のためです。民事不介入とは、「当事者間で解決すべき問題」に公権力は立ち入らないという立場のことです。

つまり、法秩序の維持に反する疑いのある案件でない限り、警察が5ちゃんねるの投稿に関与することはありません。加えて、仮に警察が出動するとしても、それは捜査や検挙が目的であり、投稿の削除依頼をしてくれるわけではありません。

5ちゃんねるの投稿で個人情報が晒された場合や誹謗中傷を受けた場合の投稿削除依頼は、原則、当事者自身ですることになります。

5ちゃんねるの投稿が原因で警察が出動してくれるケース

警察が出動してくれるケース

前述のとおり、犯罪の疑いがない限り、警察が動くことはありません。それでは犯罪の疑いがある投稿とはどんなものか、類型を挙げていきます。

脅迫罪

命や身体、自由や名誉などに害を与えることを告げるような投稿をすると、脅迫罪(刑法222条)に問われる可能性があります。例えば、「お前やお前の家族を車で轢いてやる」、「家に火を付けてやる」といった書き込みです。

名誉毀損罪

名誉毀損罪(刑法230条1項)は、他人の社会的信用を低下させる罪です。例えば、「〇〇店の〇〇とマネージャーは不倫関係にある」や「〇〇はドラッグをやっている」といった書き込みは名誉毀損罪に当たる可能性があります。

ちなみに、名誉毀損罪となるのは、具体的な事実を指摘して誹謗中傷する投稿です。この点が次に紹介する侮辱罪と異なります。

侮辱罪

不特定多数に見える場で誰かの社会的信用が低下する書き込みをすると、侮辱罪(刑法231条)に問われる可能性があります。侮辱罪は名誉毀損罪と異なり、具体的な事実を示していないときに成立する罪です。

例えば、「〇〇は頭がおかしい」、「〇〇は仕事がまともにできない」といった書き込みは侮辱罪になる可能性があるでしょう。

業務妨害罪

業務妨害罪には2つの種類があります。

威力業務妨害罪

威力業務妨害罪(刑法234条)は、威力(暴力だけでなく何らかの方法)を用いて、会社の業務を妨害する罪です。たとえば「イベント会場に爆弾を仕掛けた」などと書き込むと、威力業務妨害罪になる可能性があります。

偽計業務妨害罪

もうひとつは偽計業務妨害罪(刑法233条)。根も葉もない噂を流布させて営業の妨害をすることです。「○○社の機器が爆発した」などとデマを投稿した場合、偽計業務妨害罪に問われるかもしれません。

5ちゃんねるで起こりうる誹謗中傷の事例

誹謗中傷の事例

5ちゃんねるで起こりうる誹謗中傷のなかから、典型的な事例を2つ紹介します。

個人名の特定と名誉権の侵害

5ちゃんねるには個人名を特定したうえで、名誉権を侵害するような書き込みが数多く投稿されています。例えば、「〇〇(実名やあだ名など)は、総務部長と不倫をしている」や「〇〇社は反社会的勢力の人と関係がある」という内容の投稿です。このような書き込みをすると名誉毀損罪に問われる可能性があります。

万が一投稿の対象となると、長年築いてきた信用を傷つけてしまいかねません。被害を受けた人や企業は、迅速かつ毅然とした対応が求められるでしょう。

営業妨害

5ちゃんねるに投稿されている書き込みのなかで多いのが、店の誹謗中傷ととれる内容です。たとえば「〇〇(店舗名)のお弁当の中に虫が入っていた」といった嘘の書き込みが広まれば、客足に大きな影響があるかもしれません。

悪い噂はあっという間に拡散して営業に悪影響を及ぼす可能性があります。こちらも早急に削除依頼を行うことが重要です。

警察に頼れない場合の5ちゃんねる投稿の削除依頼方法

削除依頼方法

5ちゃんねるに書き込まれた投稿に対しては原則警察で対応できないため、自らの力で削除依頼をすることになります。その手順を説明します。

なお、5ちゃんねるの投稿を削除依頼する手順の詳細は、下記の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

5ちゃんねる(5ch)の書き込みを削除依頼する方法【2021年版】|弁護士監修記事

書き込み・スレッドの削除依頼

すぐにできることは、5ちゃんねるの運営者に削除依頼をすることです。5ちゃんねるに書き込まれた投稿の削除依頼には、以下の3つのいずれかを利用します。

・メール
・削除要請板(削除要請フォーム)
・削除整理板(削除整理フォーム)

削除依頼の基本は、5ちゃんねるの管理者へのメールです。削除依頼する理由を添えて、また可能であれば資料を添付してメールを送信します。

また、5ちゃんねるには削除要請板があり、そこから個別の投稿の削除要請をすることもできます。その投稿を読んだ削除人と呼ばれるボランティアが、当該投稿を削除する可能性があるという仕組みです。ただし、この方法を選ぶと、削除要請そのものが5ちゃんねるへの投稿になり公開されてしまいます。

メールと削除要請板は、名誉毀損やプライバシーの侵害など重要な削除要請理由がある場合の削除依頼方法です。それ以外の一般的な削除依頼では、削除整理板に削除要請の投稿をします。

法的手段による削除方法

削除依頼をしても5ちゃんねるの運営側が削除依頼に応じない場合は、法的手段に訴えることになります。裁判所に投稿削除の仮処分命令を申請し、裁判所から5ちゃんねる運営側に削除命令を出してもらうという方法です。5ちゃんねるも裁判所の命令には従うという立場を表明しています。

しかし、実は法的手段に訴える前にもうひとつの方法があります。それが弁護士からの削除要請です。下記のとおり、5ちゃんねるは弁護士から正当な理由でなされた削除依頼には原則対応するとしています。

表現の自由を配慮したリーガルマインドを持った弁護士と認めた者からの請求については、正当な理由があるものについて、原則として対応する

引用:5ちゃんねる
https://qb5.5ch.net/saku2ch/

5ちゃんねるの削除依頼を行うなら法律事務所へ

削除依頼を行うなら法律事務所へ

ここまで説明してきたとおり、警察は民事不介入を理由に、5ちゃんねるのレスの削除依頼には協力できないため、削除依頼は自らの手でしなくてはなりません。

ここで問題となるのは、5ちゃんねるの運営側が「利用者の表現の自由を尊重する」という考えを示しており、個人情報の流出やプライバシーの侵害、明らかな誹謗中傷を除いて書き込みの削除に消極的であることです。自分ひとりで削除依頼をしても、依頼に応じてもらえないことも十分考えられます。

5ちゃんねるは一方で、誠実な弁護士を通した正当な要請であれば、きちんと対応することを約束しています。5ちゃんねる側が削除依頼に簡単に応じない可能性を考慮して、5ちゃんねるの投稿の削除依頼手続きを弁護士に依頼することも検討してみてください。

また、もしあわせて損害賠償の請求も希望する場合は、はじめから弁護士に相談した方がスムーズです。

まずは、弁護士法人アークレスト法律事務所にご相談ください。当事務所の経験豊かな弁護士がインターネット上に書き込まれた誹謗中傷の投稿削除に尽力します。5ちゃんねるに書き込まれた投稿の被害に遭われた方は、ぜひお気軽にご相談ください。

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。