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犯罪歴が就職に及ぼす影響や支援制度について徹底解説
2025.03.26
犯罪に対する悪いイメージは、就職に大きな影響を与えます。犯罪歴を隠して就職することもできますが、ばれると就業を続けるのが難しくなるかもしれません。
そのリスクを避けるため、犯罪歴をオープンにして就職活動をする方法もあります。ここでは、犯罪歴が就職にどんな影響を与えるか、就職するときにどのような支援制度を受けられるのかを解説します。
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犯罪歴が就職に及ぼす影響とは

刑期を終え、新しい仕事に就くときに壁として立ちはだかるのが「犯罪歴」です。ここでは、犯罪歴が就職に及ぼす影響のうち、とくに知っておきたい2つのポイントについて説明します。
就職先が見つかりにくい
犯罪歴があることを申告して就職をする場合、就職先が見つかりにくいことがあります。とくに求職者が多いときは、犯罪歴のある人よりもない人を選びたいというのが、企業の本音でしょう。
しかし、犯罪歴を申告していれば、就職後に「ばれるのではないか」と不安になることもありません。
隠して就職すると解雇のリスクもある
実は、犯罪歴を隠していても就職はできます。犯罪歴の申告義務があるのは、履歴書に賞罰欄があるときと面接などで犯罪歴を問われたときです。賞罰欄のない履歴書に犯罪歴を書く必要はなく、就職先から犯罪歴を聞かれなければ自己申告する必要はありません。そのため、犯罪歴を隠して就職することは可能です。
しかし、犯罪歴がないと嘘を吐いた場合は、申告義務違反や経歴詐称に当たります。就職後に経歴詐称がばれると、懲戒解雇になる可能性もあります。犯罪歴を聞かれたら、正直に答えましょう。また、申告義務のない場合でも、就職時に犯罪歴を申告しておく方が後々のトラブルを防げるかもしれません。
前科や逮捕歴は就職先にバレる?企業が犯罪歴を調べる方法とは
前科持ちの人は、それを隠して就職活動をしたいと考えるでしょう。賞罰欄のない履歴書を利用し、採用面接でも犯罪歴の有無を聞かれなければ、隠して就職することも可能です。
しかし、就職後に犯罪歴がバレてしまっては意味がありません。そこで、以下では、企業が従業員の犯罪歴を調べることができるのかについて説明します。
企業が従業員の犯罪歴を照会することはできない
前科は、検察庁のデータベースと市区町村の犯罪人名簿に登録されます。
しかし、前科の紹介は、犯歴事務規定により検察官または検察事務官しかすることができませんので、一般人や民間企業が従業員の前科を照会することはできません。そのため、従業員から積極的に犯罪歴を申告しない限りは、就職先に犯罪歴があることを知られる可能性は低いでしょう。
就職後に犯罪歴がバレる可能性があるケース
企業が従業員の犯罪歴を照会することはできませんので、犯罪歴を隠したまま働き続けることも可能です。しかし、以下のようなケースに該当する場合には、犯罪歴がバレてしまう可能性もありますので注意が必要です。
過去の犯罪について実名報道されたケース
ネットニュースなどで過去の犯罪が実名報道されると、その内容は、インターネット上に半永久的に残ってしまう可能性があります。これを「デジタルタトゥー」といいます。
採用時には過去の犯罪歴がバレなかったとしても、その後、何らかのきっかけで自分の名前がネット検索されてしまうと、過去の犯罪歴が会社にばれてしまうことがあります。
すべての犯罪が実名報道されるわけではありませんが、重大な犯罪や社会的関心の高い犯罪だと、実名報道されるリスクが高いといえます。
一定の資格を要求される仕事に就いているケース
就職先によっては、業務を行うにあたって一定の資格や免許を要求されることがあります。
資格や免許の種類によっては、前科があることが欠格事由として定められているものがあるため、資格や免許を取得できないことが理由で犯罪歴があることがバレてしまうケースもあります。
将来、前科が欠格事由として定められている業務に就く予定がある場合には、採用面接時に前科があることを伝えておいた方がよいでしょう。
就職先に過去の犯罪歴を知っている人がいたケース
実名報道がされていなければ、企業に過去の犯罪歴がバレるおそれはほとんどありません。
しかし、実名報道をされなかったとしても、事件の内容によってはその地域の人々には誰が犯人であるのかわかってしまうケースもあります。
就職先にたまたま過去の犯罪歴を知っている人がいると、その人からの申告で自分の犯罪歴がバレてしまう可能性があります。このようなリスクを避けるには、事件を起こした地域から離れた場所で就職した方がよいでしょう。
犯罪歴がある人の就職支援制度

犯罪歴があることによって就職先が見つかりにくい点は、法務省も問題視しているようです。法務省や厚生労働省では、犯罪歴のある人を対象とした就労支援制度を展開しています。法務省が管轄している支援制度を2つご紹介します。[注1]
[注1]法務省:更生保護における就労支援
http://www.moj.go.jp/hogo1/soumu/hogo02_00030.html
法務省のホームページです。
更生保護就労支援
更生保護就労支援は、保護観察所が実施する就職支援制度です。協力雇用主を募集し、犯罪歴のある人に理解のある企業への就職ができます。
更生保護就労支援の特徴は就職活動の支援だけでなく、就職後に職場に定着できるかまでを支援することです。勤務・生活状況もフォローアップしてくれるので、就職後にトラブルがあったときも支援を仰げます。
刑務所出所者等就労支援
刑務所出所者等就労支援は、法務省が厚生労働省と連携して実施している支援制度です。ハローワークが実施するセミナーや職場体験講習の受講、職場体験見学会やトライアル雇用などの支援を受けられます。
刑務所出所者等就労支援では、出所前からハローワークの職員に相談する機会が得られたり、職業案内を受けたりすることが可能です。出所前から出所後までをハローワークが一貫して支援することで、犯罪歴があっても就職しやすい環境を得られます。
犯罪歴がある人の就職活動の方法

犯罪歴があっても、支援制度を使わずに就職活動をする方法もあります。支援制度を利用しないときは、ハローワークやエージェントに登録して就職活動を進めます。
しかし、犯罪歴をオープンにして支援なく就職活動をするのは、孤独な活動です。
ここでは、支援を利用した就職活動の方法について解説します。
コレワークを利用する
コレワークとは、矯正就労支援情報センターのことで、犯罪歴のある人の就職を支援する施設です。犯罪歴のある人と、それに理解のある企業とをマッチングさせる役割をします。
ハローワークを通じて登録し、希望職種や就業条件が合う企業へ紹介してくれます。事前に犯罪歴のある人への理解を深めるセミナーなどが行われており、就職後も安心して就労できる仕組みです。[注2]
[注2]法務省:コレワーク(矯正就労支援情報センター)について
http://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei08_00070.html
民間の就労支援サービスを利用する
民間団体や企業でも、就労支援サービスを展開しています。NPO法人による支援サービスだけでなく、日本財団の「職親プロジェクト」[注3]など、犯罪歴のある人専用の求人サイトや求人誌、支援プログラムもあります。
民間企業の支援サービスでは、利用料金がかかることがデメリットです。しかし、犯罪歴を隠さずに働くことのできる場を探す手伝いをしてくれるので、1つの選択肢として覚えておくとよいでしょう。
[注3]日本財団:職親プロジェクトとは
職親プロジェクトとは — 日本財団職親プロジェクト
https://shoku-shin.jp/about/
日本保釈支援協会の職業紹介サービス
日本保釈支援協会では、保釈保証金の立替サービスに加えて、前科・前歴がある人に特化した職業紹介サービス[注4]も提供しています。日本保釈支援協会の職業紹介サービスは、日本保釈支援協会の保釈支援を受けた被告人が利用できる制度で、大手派遣会社と提携し、保釈後や判決後の職業紹介を受けることができます。
就業先に前科・前歴があることが伝わることはなく、本名ではなく通称名(希望名)で勤務することも可能です。
利用できる人が限定されていますが、対象となる方は、同制度を利用して職業紹介をしてもらうとよいでしょう。
[注4]一般社団法人 日本保釈支援協会 職業紹介サービス
https://www.hosyaku.gr.jp/oshigoto/
犯罪歴で就職しにくいと感じたら支援制度を利用しよう
犯罪歴があると、就職先が見つかりにくいのが現実です。だからといって、犯罪歴を隠して就職すると、ばれたときに周囲の目が気になってそのまま就業を続けるのが難しくなるかもしれません。また、犯罪歴はないと嘘をついた場合は、経歴詐称として解雇される可能性もあります。
犯罪歴をオープンにして就職するときは、支援制度を利用する方法もあります。犯罪歴が原因で就職先が決まらない場合も、一度関連施設に相談をしてみるとよいでしょう。

監修者
野口 明男(代表弁護士)
開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。
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