犯罪歴・逮捕歴

犯罪者のデータベースとは?犯罪歴が公開されたときの対処法も解説

2024.01.22
犯罪者のデータベースとは?犯罪歴が公開されたときの対処法も解説

犯罪者の情報が登録されたデータベースは、インターネット上などにいくつか存在します。犯罪歴がある方にとって、そんなデータベースが公開されているかどうかは非常に気になるところでしょう。

犯罪者であっても、法律に従って罪を償ったり、更生の機会を与えられたりすれば、通常の生活を送る権利が認められます。しかし、犯罪歴が実名で公開されてしまうと、就職や結婚に支障をきたすなど、日常生活に大きな悪影響を及ぼす恐れがあります。

そこで今回は、犯罪者のデータベースとしてどのようなものがあるのか、それは公開されているのか、犯罪歴が実名で公開された場合にはどうすればよいのかについて解説します。

犯罪者のデータベースとは?

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データベースとは、様々なデータを集約して保管し、参照したいデータを検索するなどして抽出できるようにしたシステムのことです。したがって、「犯罪者のデータベース」とは、犯罪者に関する情報を検索して参照できるシステムになります。

現在、犯罪者のデータベースには、次のような種類があります。

警察庁の犯罪歴データ

警察庁には、それまでに認知した事件の内容や被疑者の氏名、逮捕歴、検挙歴などのデータが保管されています。

保管されたデータは、様々な事件の捜査や防犯活動などのために役立てられています。

検察庁の前科データ

検察庁では「前科調書」が作成されており、この書類には今までに有罪となった被告人の氏名や犯した罪名、裁判所で言い渡された刑罰の内容などが記載されています。

これらのデータは、検察官が行う捜査に役立てられるとともに、起訴・不起訴の判断や、刑事裁判で求刑する刑罰の内容を決める際に参照されています。

市区町村の犯罪人名簿

全国の市区町村の役所では、罰金以上の刑罰を受けた被告人の氏名や罪名、刑罰の内容などを記載した「犯罪人名簿」が作成され、保管されています。

犯罪者名簿に記載されたデータは、選挙権・被選挙権の有無や、犯罪歴によって一定の職業に就くことを禁止されていないかを確認するために役立てられています。

新聞データベース

新聞各社のデータベースには、過去の記事の内容が保管されています。その中には、犯罪の報道記事も含まれています。

このデータベースに犯罪者の情報が保管されているかどうかは、報道された記事の内容によります。実名で報道された場合は犯罪者のデータが保管されますが、実名報道でなければ事件の内容のみが保管されます。

インターネット検索

インターネット上の検索で犯罪者の情報がヒットする仕組みも、犯罪者のデータベースの一種といえます。

ネット上には、新聞やニュースサイトの記事、報道記事の内容を転載または引用したSNS、ネット掲示板、個人ブログなどでの投稿など、様々な形で犯罪に関するデータが配信されています。

そして、検索エンジンに人の氏名を入力して検索すると、その人に犯罪歴があれば、その事件に関する情報がヒットすることがあります。

犯罪者データベースは公開されている?

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犯罪者のデータベースは上記の通り、いくつも存在しますが、その内容が公開されているかは気になるところでしょう。

結論からいいますと、公的機関のデータベースは非公開ですが、新聞、ネットの情報は公開されています。

公的機関のデータベースは非公開

警察庁や検察庁、市区町村の犯罪者データベースは、先ほどもご説明したとおり、犯罪捜査や選挙権・被選挙権の有無を確認するためなどの目的で作成されています。その他の目的で犯罪者データが使用されることはありません。

一般の方に対しては非公開であり、これらの公的機関に対して犯罪歴や逮捕歴を照会しても、受け付けられません。

新聞、ネットの情報は公開されている

新聞、ネットの情報は、犯罪者のプライバシーにかかわるデータであっても、一般に広く公開されています。

ただし、「新聞データベース」にアクセスするためには、有料サービスに登録することが必要です。

それに対して、ネットに投稿された情報は基本的に無料で閲覧できます。新聞やニュースサイトなどにおいて実名で報道された場合には、検索で犯罪者としてのデータが数多くヒットすることもあるでしょう。

まとめますと、実名で報道されたことがある場合には、新聞データベースやネット検索で犯罪者としてのデータが広く知られてしまう恐れがあるということです。

犯罪歴が公開されることによる不利益

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犯罪者のデータベースによって犯罪歴が実名で公開されてしまうと、次のような不利益が生じることがあります。

1.仕事に支障をきたす

就職活動や転職活動の際、自主的に犯罪歴を申告する必要はありませんが、応募先の担当者がネット検索で犯罪歴を知ってしまう可能性があります。その場合には、採用を見送られてしまうかもしれません。

就職・転職ができたとしても、犯罪歴を知られると職場にいづらくなったり、重要な仕事は任せてもらえないなど、待遇面で不利になる恐れもあります。

2.賃貸物件を借りられないことがある

賃貸住宅の契約をする際、大家さんは家賃の支払い能力だけでなく、借り手の人柄も重視することが多いです。様々なトラブルを回避するために、犯罪傾向がある人に物件を貸すのは避ける傾向にあります。

犯罪歴があるためにどこにも住めないということはありませんが、家探しに苦労する可能性があることには注意が必要です。

3.家族に迷惑がかかる

実名で報道された犯罪歴は、本人だけでなく家族の生活にも支障を及ぼす恐れがあります。

事件の内容によっては、親や配偶者、子どもまで世間から非難されることもあるでしょう。特に、子どもが学校でいじめられたり、就職や結婚に支障をきたしたりするのは避けたいところでしょう。

犯罪歴が公開されたときの対処法

犯罪歴が公開されてしまったときは、なるべく早めに実名での報道記事やネットへの投稿などを削除することが重要です。

その方法は、自分で削除依頼をするか、弁護士に依頼して対応してもらうか、この2つに大きく分けることができます。

確実に削除されるとは限りませんが、ネット上のサイトの多くは、お問い合わせフォームや通報機能を利用して、削除依頼ができるようになっています。

また、自分で削除依頼をしても応じてもらえない場合には、弁護士に対応を依頼するのがおすすめです。弁護士からサイト運営者に連絡をとり、法的観点から削除の必要性を説明して交渉すれば、それだけで削除されることも少なくありません。

交渉で削除に応じてもらえなければ、プロバイダ責任制限法に基づく送信防止措置依頼や、削除の仮処分、削除請求の訴訟などの法的措置が必要となります。

裁判所の手続きを活用すれば、プライバシー権が侵害されている場合には強制的に犯罪者としてのデータを削除することができます。

しかし、裁判所の手続きを的確に進めるためには、高度な専門知識や多大な労力を要するため、弁護士に依頼して対応してもらうのが一般的です。

ネット上の犯罪歴を削除するには弁護士に相談を

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ネット上で公開された犯罪歴は、速やかに削除しなければ拡散されてしまい、日常生活に多大な支障をきたす恐れがあります。

ただし、報道機関やサイト運営者にも表現の自由があるので、一般の方が自分で削除依頼をしても応じてもらえないことが珍しくありません。そんなときは、弁護士の力を借りるのがおすすめです。

実名で犯罪歴や逮捕歴を公開されてお困りの方は、「どうしようもない」と諦めず、インターネット関連のトラブルに精通した弁護士に相談してみましょう。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。