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逮捕歴があると就職に不利になる?気になる影響を詳しく解説
2020.12.13
逮捕歴があると、就職で不利になるイメージを持っている人は少なくないでしょう。実は、逮捕歴があっても就職にはほとんど影響がありません。なぜなら、自分から逮捕歴を申告する義務はないからです。
ただし、経歴詐称など注意する点もあります。ここでは、前科と前歴の違いや就職に影響するか、また就職先にばれたときの対処方法を説明します。
目次
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1.そもそも逮捕歴とは?前科や前歴との違い

そもそも逮捕歴とは、逮捕された記録のことです。最終的に有罪判決を受けるかどうかではなく、被疑者として捜査機関に身体拘束を受けた場合に逮捕歴が残ります。
逮捕されたあとの処遇により、前科になるか前歴が付くかが異なります。前科とは、逮捕後に起訴され裁判で有罪判決を受けた人に残る記録です。
一方、前歴になるのは下記の場合が挙げられます。
- 被疑者として捜査機関の捜査対象になった人
- 逮捕されたが不起訴処分となった人
- 起訴されたが裁判で無罪判決を受けた人
つまり、前科と前歴の違いは裁判で有罪判決を受けたかどうかです。比較的罪の軽いスピード違反や器物破損でも、罰金刑が決まると前科が付きます。しかし、重犯罪の被疑者になったとしても、嫌疑不十分で起訴されなければ前歴調書に記録が残るだけで前科にはなりません。罪の重さで変わるわけではない点を理解しておきましょう。
2.刑事事件の逮捕歴は就職にほとんど影響しない

刑事事件で逮捕歴があっても、就職にはほとんど影響がありません。なぜなら、就職面接や履歴書で逮捕歴を申告する義務はないからです。
しかし、医師や弁護士などの国家資格は、前科があると資格が失効することもあります。また、申告は不要でも逮捕歴について質問されたときは、内容を偽って回答してはいけません。
前科がある場合、履歴書や面接で前科の有無を虚偽報告すると、経歴詐称で解雇処分になる可能性もあります。賞罰を記入する欄がある履歴書を使うときは、前科を記載しなければなりません。
前歴だけの場合は、履歴書の賞罰欄への記載は不要です。ただし、面接で聞かれたときに虚偽の返答をすると、入社後に前歴が発覚したときに経歴詐称とされることもあります。自ら進んで逮捕歴を申告する義務はありませんが、虚偽の申告は絶対にしてはいけません。
3.逮捕歴が就職先にばれる原因とそのときの対応

前科や前歴を申告せずに入社できても、就職先に発覚してしまう可能性はあります。ここでは、逮捕歴がばれる原因とその対応について説明します。
3-1.ネットの情報
就職先に逮捕歴がばれる原因のひとつは、SNSやネットニュースなどのネット情報です。
前科があり有罪判決を受けた場合、あるいは不起訴でも逮捕された場合には、名前がネットニュースに載ることがあります。実際に罪を犯していなくても、嫌疑がかかっただけでSNS上に情報が出回ることもあるのです。それらの情報は、年月が経っても残ります。
逮捕歴が就職先の同僚や上司の目に入れば、解雇まではされなくとも仕事を続けにくくなるかもしれません。そうなる前に、ネット上にある情報を削除することも選択肢に入れましょう。とくに、嫌疑がかかっただけで起訴されなかった場合などは、プライバシー権を根拠に情報の削除を請求すれば、依頼が認められることがあります。
有罪判決を受けたときは、報道の自由により削除が難しくなります。しかし、事件から時間が経過していたり、事件とは関係ないプライバシーに関する内容であったりする場合、削除が認められる可能性があります。まずは、ネット情報の削除に詳しい法律事務所に相談してみるとよいでしょう。
就職後に逮捕歴がばれても、逮捕歴だけでは解雇の理由になりません。就業規則に前科や前歴が解雇事由になると明記されていない、経歴詐称をしていないなどの条件であれば、解雇を不当として撤回を求めることも可能です。
3-2.関係者からの情報
前職を逮捕歴により懲戒解雇となっていた場合、その情報が関係者を介して就職先に伝わる可能性も考えておかなくてはいけません。同じ業種であれば、就職先にも逮捕歴がばれる可能性が高いでしょう。
しかし、前科や前歴などの個人情報を漏洩することは許されません。もし、関係者が逮捕歴を漏らしたとすれば、プライバシーの侵害に当たります。この場合も、法律事務所に相談しましょう。
4.逮捕歴を削除したい・逮捕歴を理由に解雇された場合は弁護士に相談

逮捕歴があっても、ほとんどの場合は就職には影響しません。経歴詐称をしなければ、就業規則で前科や前歴を問われない限り申告の義務はないからです。
ただし、就職先に逮捕歴がばれてしまう可能性もあります。そうなると、解雇されたり、仕事を続けにくい環境になったりするかもしれません。逮捕歴があるだけでは懲戒解雇の理由にはなりません。
ネット上の、事実とは異なる情報や古い逮捕歴の情報は削除依頼が認められることもあります。ネット上の情報を削除したいときや不当な解雇を受けた場合は、まずは弁護士に相談しましょう。

監修者
野口 明男(代表弁護士)
開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。