悪徳業者から被害に遭ったら?具体的な対処法や相談窓口を解説
著作権
著作権とは、思想や感情を創作的に表現したもの(著作物)に対し、著作者に認められる独占的な権利です。音楽や絵、文章や写真、ダンス、演劇、彫刻、映画、建築、コンピュータプログラムなどに著作権が認められます。著作権は、著作者が著作物を作りだした瞬間に発生するので「登録」などは不要です。
著作者には著作物への独占的な利用権、支配権が認められるので、他者が勝手に著作物を利用することは許されません。無断で著作物を利用されたら、著作者は侵害者へ利用の差し止め請求や損害賠償請求ができますし、被害者が刑事告訴をすれば侵害者に罰則が適用される可能性もあります。
ネットでも著作権侵害が頻発します。
他人の文章をコピーペーストして自分のブログに投稿した
他人の挙げている画像や動画を勝手にダウンロードした、投稿した
他人のダンスや音楽を真似て投稿した
テレビ番組などを勝手にYouTubeに投稿した
著作権は「有名な芸術家」や「テレビ局の作った動画」だけではなく一般の個人が作りだしたものにも認められます。無名の個人が書いた文章や描いたイラスト、撮影した写真なども勝手に利用すると著作権侵害となります。
日本では著作権侵害の大部分が親告罪なので、被害者が刑事告訴しない限り刑事罰が適用されないケースが多数です。ただし対価を得る目的でプロテクトのかかっているテレビ番組やブルーレイなどのコピーを外してアップロードした場合などには、告訴なしに処罰される可能性があります。
著作権とは
著作権とはどのような権利なのでしょうか。以下では、著作権に関する基本を説明します。
著作権の定義
著作権とは、著作物を創作した人(著作者)に対して与えられる権利で、自分が創作した著作物を第三者に無断で利用されない等ということが保障されています。
著作者としては、苦労して創作した著作物が第三者により簡単に盗用されてしまうと、創作意欲が失われ、文化の発展が阻害されてしまいます。そのような事態を防止するために、著作権法により著作権が保護されているのです。
著作物にあたるものとは?
著作権により保護される著作物とは、思想または感情を創作的に表現したもので、文芸・学術・美術・音楽の範囲に属するものをいいます。具体的には、以下のようなものが著作物に該当します。
・小説、脚本、論文、講演その他の言語的表現
・音楽
・舞踊または無言劇
・絵画、版画、彫刻その他の美術
・建築
・地図または学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形
・映画
・写真
・プログラム
著作権はいつ発生する?
著作権は、著作物を創作した瞬間に自動的に発生する権利です。そのため、権利の発生のために特許庁や文化庁などの行政機関に登録をする必要はありません。
著作権の種類
著作権には、以下の11種類の権利が存在します。
複製権 | 著作物を印刷、複写、写真、録画、録音などの方法により有形的に再製する権利 |
上演権・演奏権 | 著作物を公に上演・演奏し、または、上演・演奏された著作物を電気通信設備を用いて公に伝達する権利 |
上映権 | 著作物を公にディスプレイやスクリーンに映写する権利 |
公衆送信権・公の伝達権 | 著作物を自動公衆送信し、放送し、有線放送し、または公衆送信された著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利 |
口述権 | 言語の著作物を口頭での朗読などの方法により公に伝える権利 |
展示権 | 美術の著作物および未発行の写真の著作物の原作品を公に展示する権利 |
頒布権 | 映画の著作物の複製物を頒布する権利 |
譲渡権 | 映画以外の著作物の原作品または複製物を公衆に譲渡する権利 |
貸与権 | 映画以外の著作物の複製物を公衆に貸与する権利 |
翻訳権・翻案権など | 自己の著作物を翻訳、編曲、翻案、変形などする権利 |
二次的著作物の利用権 | 自己の著作物を原作品とする二次的著作物を利用することにつき、二次的著作物の著作権者が持つものと同じ権利 |
著作権侵害の具体例
著作権侵害に該当する典型的なケースとしては、以下の例が挙げられます。
テレビ番組の録画や漫画をコピーする行為
テレビ番組や漫画は、著作物に該当しますので、それを録画したり、コピーする行為は「複製」に該当し、著作権侵害となります。
ただし、私的使用の範囲内であると認められる場合には、例外的に複製が可能になります。そのため、個人や家族で楽しむための複製であれば著作権侵害とはなりません。
キャラクター画像をSNSのプロフィール画像に利用する行為
キャラクター画像は、著作物に該当しますので、著作権者の許可なくキャラクター画像を利用する行為は、著作権侵害となります。そのため、キャラクター画像をSNSのプロフィール画像に利用するには、原則として著作権の許諾が必要になります。
ただし、インターネット上にアップロードせず、個人のスマートフォンの待ち受け画像として利用する程度であれば、私的使用の範囲といえますので、著作権侵害にはあたりません。
海賊版サイトから音楽、動画、漫画などをダウンロードする行為
海賊版サイトに音楽、動画、漫画などをアップロードする行為だけでなく、違法にアップロードされたものであることを知りながらダウンロードする行為も著作権侵害となります。
一般的な著作物の複製であれば、私的使用の範囲の場合、著作権侵害にはなりませんが、海賊版サイトからのダウンロードに関しては、個人的な利用であっても著作権侵害になりますので注意が必要です。
経営している店で音楽を流す行為
音楽は、著作物にあたり、作曲家、作詞家、音楽出版社がそれぞれ著作権を有しており、お店のBGMとして利用するためには、各著作権者の許諾を得る必要があります。これらの許諾を得ることなく無断で音楽を流す行為は、著作権侵害にあたります。
音楽の利用に関しては、「JASRAC」という窓口を通して、著作物利用のための使用料を支払うことで適法に音楽を利用することができます。ただし、商用利用が可能な有料音楽サービスであれば、利用料金に著作権使用料が含まれていますので、JASRACを通さずに利用することが可能です。
著作権を侵害されたときの対処法
第三者により著作物が無断利用されるなどの著作権侵害行為があった場合には、以下のような対処法が考えられます。
侵害行為の差止請求
著作権者は、著作権が侵害され、または侵害されるおそれがある場合、著作権侵害の停止または予防を請求することができます。このような請求を差止請求といいます。
侵害行為の差止請求は、著作権侵害をした相手に故意または過失があることは要件とされていませんので、単に著作権侵害またはそのおそれがあれば請求することができます。また、差止請求をする際には、著作権侵害により制止された物の廃棄など侵害の停止または予防に必要となる措置も請求することができます。
損害賠償請求・不当利得返還請求
著作権侵害行為により著作権者に損害が発生した場合には、著作権侵害行為者に故意または過失があれば、損害賠償請求をすることができます。著作権者に発生した損害額については、推定規定が設けられていますので(著作権法114条)、著作権者の立証責任が軽減されています。
また、著作権の侵害行為により、著作権侵害行為者が利益を得た場合には、不当利得返還請求により取り戻すことができます。
名誉回復等の措置の要求
著作者には、著作権のほかに、著作者人格権が認められています。著作者人格権が侵害されたときは、侵害行為者に対して、謝罪広告などの名誉を回復するための措置を求めることができます。
刑事告訴
著作権侵害は、犯罪ですので、著作権者が刑事告訴することにより侵害者を処罰してもらうことができます。著作権の侵害は、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金に処せられ、法人による侵害については3億円以下の罰金に処せられます。
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