レピュテーションリスク

レピュテーションリスクとは、企業に対する評判が低下して企業の信用やブランド価値が失われ、売上低下や新規取引の困難、採用人事の困難、離職者発生などの悪影響が発生する危険をいいます。いわゆる「風評被害」に近い言葉です。

近年ではネットの普及にともなって企業に対する評価などの情報もすぐに拡散されるので、「評判」「口コミ」の持つインパクトが強まっています。レピュテーションリスクが発生すると企業の業績が大きく低下する可能性もあるので注意が必要です。

レピュテーションリスクの事例としては、以下のようなものがあります。

・不祥事の隠蔽、粉飾決算
・商品や製品による事故の発生
・アルバイト店員などによる不祥事

従来はマスコミに取り上げられなければレピュテーションリスクが発生する可能性はほとんどありませんでしたが、最近ではX(旧Twitter)やYoutubeなどのSNSに投稿された個人のポスト(投稿)や画像、動画がきっかけとなるケースも多数あります。インパクトのある投稿が行われると爆発的に拡散されて「炎上」し、対象企業が大きな被害を受けます。

ネット上のレピュテーションリスクに備えるには、日頃からネットへのモニタリングを行い、問題のある投稿があれば削除して投稿者を特定し然るべき措置をとるなどの対応が必要です。

レピュテーションリスクとは

レピュテーションリスクとは、企業などに対するネガティブな評判が世間に広まり、社会的信用性やブランド価値の低下などを招き、経営上の損失を被るリスクのことをいいます。いわゆる「風評被害」に近い意味の言葉と理解しておけばよいでしょう。
近年、インターネットやSNSなどの普及により、インターネット上に企業の評価や評判がさらされる機会が増えてきました。ポジティブな評判であれば企業価値を高めることに役立ちますが、反対にネガティブな情報であった場合には、企業価値を大きく損ない、莫大な損害が発生するおそれがあります。
そのため、企業としてはレピュテーションリスクに備えて、しっかりと対策を講じることが求められています。

レピュテーションリスクの要因

レピュテーションリスクが発生する要因としては、主に以下の5つが考えられます。

企業の法令違反や不祥事

企業の法令違反や不祥事は、内容の真偽にかかわらず、レピュテーションリスクの要因の一つとなります。
具体的には、以下のような事例が挙げられます。

・産地偽装
・賞味期限の改ざん
・粉飾決算
・リコール隠し

従業員による不祥事

従業員個人の不祥事が企業全体のレピュテーションリスクを招く要因になることもあります。近年、「バイトテロ」と呼ばれるアルバイト従業員による悪ふざけがSNSなどに投稿されることで、雇用主である企業の責任が問われる事案が増えてきていますが、これも従業員によるレピュテーションリスクの要因の一つです。

内部からの申告

従業員や元従業員による内部からの申告が原因でレピュテーションリスクが生じることがあります。たとえば、転職情報サイトなどで「劣悪な労働環境だ」、「長時間残業が当たり前」などと投稿されると、内容の真偽にかかわらず、企業イメージの悪化を招いてしまいます。

根拠のない風評被害

企業が扱う商品やサービスに対して、根拠のない噂や悪意のある誹謗中傷がインターネットやSNSなどで投稿されることがあります。インターネット上の情報は、あっという間に拡散されてしまいますので、事実無根の内容であったとしてもレピュテーションリスクを招きます。

商品の質やサービスの低下

一般消費者は、口コミサイトやインターネット上の評判などに基づき、商品やサービスの選択をすることが増えてきています。商品の質やサービスが低下すると、そのことが口コミサイトなどですぐ投稿されてしまいますので、売り上げの低下といったレピュテーションリスクを招く要因になります。

レピュテーションリスクが企業に及ぼす影響

レピュテーションリスクが発生すると企業には、以下のような悪影響が生じます。

企業の社会的信用性やブランド価値の低下

レピュテーションリスクが顕在化すると企業の社会的信用性やブランド価値の低下を招きます。それにより、取引先から取引を打ち切られたり、顧客離れが進み、最悪の場合、企業の倒産に追い込まれることもあります。
レピュテーションリスクの顕在化により、長年築き上げてきた信用が一瞬にして崩れ去ってしまいますので、企業としてはレピュテーションリスクの回避に向けた対策が重要となります。

信頼回復のためのコスト増

レピュテーションリスクが顕在化すると、それにより失われた信頼を回復するために多大なコストを費やさなければなりません。たとえば、食品に異物が混入していることがSNSなどで拡散されると、商品の自主回収だけでなく、設備の刷新などの経済的負担が生じます。
信頼を失うのは一瞬ですが、失われた信頼を回復するためには多くの時間とコストがかかります。

離職者の増加や就職希望者の減少

レピュテーションリスクが顕在化すると、離職者の増加や就職希望者の減少により優秀な人材の確保が難しくなります。
企業への就職希望者は、就職・転職サイトなどで事前に企業の評判を調べてから応募しますので、企業の悪い評判が広まると、就職希望者が大幅に減少してしまいます。企業は、従業員によって支えられていますので、優秀な人材が集まらなければ、中長期的に見て大きな損失となるでしょう。

レピュテーションリスクが顕在化した場合の対処法

レピュテーションリスクが顕在化した場合の対処法としては、以下のものが挙げられます。

情報の真偽や事実確認を行う

顕在化したレピュテーションリスクに適切に対応するためにも、まずは情報の真偽や事実確認を行うことが重要です。情報の真偽によっては、企業がとるべき対応も変わってきますので、迅速かつ正確に事実確認を行い、状況の把握に努めるようにしましょう。

早期に自社サイトなどで企業側の公式見解を公表する

事実確認ができた段階で、企業側の公式見解を自社サイトなどで公表することが大切です。
誤った情報であれば早期に訂正することで、レピュテーションリスクを最小限に抑えることができます。また、正しい情報だったとしてもその経緯や理由を説明することで、レピュテーションリスクの拡大を防ぐことができます。

法的措置の検討

インターネットやSNSに誤った情報が投稿されて、レピュテーションリスクが顕在化した場合には、投稿者への法的措置を検討します。
投稿者への法的措置としては、民事上の責任追及としての損害賠償請求や刑事上の責任追及としての刑事告訴が考えられますが、その前提として、投稿者を特定する必要があります。そのためには、発信者情報開示請求という手続きが必要です。また、事実無根の情報をそのまま放置していると、被害が拡大してしまいますので、早めに情報の削除の手続きをとることも必要です。
悪質な投稿者に対して、企業側が厳格に対応するという姿勢を示すことで、このような風評被害を防止することにもつながるでしょう。

レピュテーションリスクを回避するための対策

企業としては、レピュテーションリスクを回避することが重要です。そのためにできる対策としては、以下のものが挙げられます。

従業員教育の徹底

レピュテーションリスクは、従業員の不祥事により生じるケースも多いため、そのようなリスクを抑えるためにも従業員教育を徹底することが大切です。
特に、従業員による不祥事の多くは、ネットリテラシー不足が原因で生じていますので、定期的にネットリテラシー教育を行う必要があります。SNSなどで情報発信する際の心構えやリスク、使い方などをしっかりと理解してもらえれば、バイトテロなどの不祥事を防ぐことができるでしょう。

社内での監視・チェック体制の強化

内部統制システムを構築し、経営陣相互間で監視・監督できる体制を整備することで、経営陣による法令違反や不祥事のリスクを減らすことができます。
また、現場の業務においても二重・三重のチェック体制を整備したり、権限を分散することにより、従業員による不祥事のリスクを減らすことができます。

顧問弁護士の利用

従業員教育や内部統制システムの構築にあたっては、顧問弁護士のサポートが有効です。顧問弁護士であれば、普段から法的な問題がないかチェックすることができますので、レピュテーションリスクが顕在化する要因を排除することが可能です。
日常的に顧問弁護士に相談できることで、経営者としても安心して経営に専念することができるでしょう。