悪徳業者から被害に遭ったら?具体的な対処法や相談窓口を解説
ディープフェイクとは?ディープフェイクの定義と被害に遭った場合の対処法
2020.12.01人工知能の進化により、ディープフェイクと呼ばれる動画が多数作成されるようになり、有名人のみならず一般の方もその脅威にさらされる事態となっています。
今回は、ディープフェイクの定義や、ディープフェイクが問題となった事例、ディープフェイクによる被害、そしてディープフェイクの被害に遭った場合の対処法を解説します。
目次
目次
1.ディープフェイクとは?ディープフェイクの定義と作成方法
まずはディープフェイクの定義、ディープフェイクを作成する方法を確認しておきましょう。
1-1.ディープフェイクの定義
ディープフェイクとは、人工知能(AI)によって、作成された精巧な偽物の動画のことを指します。ディープフェイクという言葉は、「ディープラーニング」と、「フェイク」を組み合わせた造語です。
インターネットでは、昔から「アイコラ(アイドルコラージュ)」と呼ばれる画像が多く見られていました。アイコラは、画像加工ソフトやペイントソフトを使って、静止画を加工したものです。代表的なアイコラが、有名人や知人の顔に他の女性の裸体を合成したものです。まれに動画もありましたが、非常にクオリティが低く、本物と見間違える可能性は低いものばかりでした。
一方でディープフェイクは、AIの顔認証システムを利用しているため、本物と見分けることが難しいほどに精巧です。
- 有名女優の顔に、第三者の裸体を付けた動画
- 政治家が不適切発言をしている動画
などがディープフェイクの代表例です。高いスキルを持っているエンジニアであれば、本人にそっくりの声を合成してフェイク動画を作成することができます。
1-2.誰でもディープフェイクは作成できる
ディープフェイクは、「AIの顔認証システムを利用」というように先進のテクノロジーを用いているため、一般の方の作成は難しいように思えます。ところが、簡単に顔を取り替えられるアプリや、ソフト、サービスの登場により、誰でもディープフェイクを作成できるようになりました。
必要な素材をアップロードするだけで、ディープフェイク動画を作成できるサービスも存在します。
2.ディープフェイクによる被害と、報道された事例
次に、ディープフェイクによってもたらされる被害と、報道された事例を確認しておきましょう。
2-1.ディープフェイクによってもたらされる被害
ディープフェイクは、個人的に楽しむために作成し第三者に披露することがなければ大きな問題とはなりません。しかしながら、動画に登場する人物の許可を得ずに公開されたディープフェイクは、さまざまな被害をもたらします。
想定されるディープフェイクによる被害は以下の通りです。
- アダルトビデオに合成される
- いじめやバイトテロなどの不適切な行為をしている動画に合成される
- 自分の主義主張とは異なる発言をしているように見える動画を作成される
- 違法行為をしている動画に合成される
このような不適切な動画が拡散されてしまうと、社会的信用が低下したり、風評被害が広がって就職や結婚に支障をきたすなどのおそれがあります。
このような、ディープフェイクの被害を受けるのは、有名人だけではありません。無名の一般の方であっても、嫌がらせ、報復、いたずらなどの目的でディープフェイクが作成されて拡散されるリスクがあるのです。
2-2.リベンジポルノよりも怖いディープフェイク
リベンジポルノは、交際相手や元交際相手、結婚相手等が、別れた腹いせ等に裸の画像等をインターネットにアップロードするなどのものでした。リベンジポルノはあくまでも、元々撮影した性的な画像、動画があって成立するものです。
ところが、ディープフェイクは本人の顔写真さえあれば様々な不適切な動画を作成できてしまいます。もちろん、動画から写真を切り出すこともできますので、フェイクのリベンジポルノが可能となるのです。リベンジポルノは性的な画像や動画を撮影させないことである程度予防できますが、ディープフェイクを用いたリベンジポルノを防ぐことは、非常に困難であるといえます。
2-3.ディープフェイクのニュース、逮捕事例
2020年11月末現在、国内にはディープフェイクの作成自体を取り締まる法律は存在しません。しかしながら、ディープフェイクを公開したことによって他人の名誉を毀損したり、著作権を侵害したりした場合には、罪に問える可能性はあります。
国内ではすでに3人の男性が、ディープフェイクを公開したことによる「名誉毀損」と「著作権侵害」の疑いがあるとして逮捕されました。
彼らが公開した動画は、アダルト動画の出演者の顔を芸能人にすり替えたものでした。これらの動画をサイトにアップロードして広告収入を得ていたとのことです。
この事件では、「公開した人物」が名誉毀損や著作権侵害に問われており、「作成した人物」が罪に問われているという報道はまだなされていません。
3.ディープフェイクを公開された場合の対処法
次にディープフェイクを公開された場合の対処法を解説します。ディープフェイクを公開された場合は罪に問える可能性があります。また、罪に問うことが難しい場合でも、動画の削除を求めることは可能です。
3-1.証拠を保存する
あなたが登場しているディープフェイクを発見したら、投稿されているサイトのURLを保存しておきましょう。スクリーンショットも撮影しておくとよいでしょう。
3-2.弁護士に相談をする
ディープフェイクが公開されている証拠を確保した上でやるべきことは、「サイト管理人に削除を依頼すること」と、「裁判上の手続で公開した人物を特定すること」です。
いずれも、あなたの権利を侵害していることを立証した上で、削除や情報の開示を求めることになります。これらの手続きは、スピーディーに着手することが重要です。インターネット上に掲載されている時間が長ければ長いほど、被害は拡大してしまいます。
しかしながら、法律事務に携わる仕事をしていない方にとっては、インターネット上の情報の削除依頼や公開した人物を特定する作業は非常に煩雑で時間かかるものです。
あなたが登場するディープフェイクを発見した場合は、速やかに弁護士に依頼をすることをお勧めします。インターネット上の情報の削除実績が豊富な弁護士であれば、すぐに削除手続を行えますので、被害の拡大を最小限に抑えられる可能性が高まります。
4.ディープフェイクでお困りの方は弁護士法人アークレスト法律事務所へご相談を
ディープフェイクを公開されてお困りの方は、弁護士法人アークレスト法律事務所にご相談ください。弁護士法人アークレスト法律事務所は、多くの削除実績を有しておりますので、ディープフェイクの削除についても速やかに着手可能です。状況によっては、削除だけでなくアップロードした人物の特定も可能となりますので、まずはお気軽にご相談ください。
監修者
野口 明男(代表弁護士)
開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。
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