悪徳業者から被害に遭ったら?具体的な対処法や相談窓口を解説
風評被害ってどんなもの?企業に及ぶ影響と5つの対策方法をわかりやすく解説
2021.11.16老若男女を問わず、スマホで簡単に情報にアクセスできるようになった現在、その情報が拡散されるスピードは加速しています。企業が風評被害に遭う可能性も高まっていると考えて間違いないでしょう。企業としては風評被害に遭うことを未然に防ぎ、また風評被害に遭ったとき適切な処置が取れるよう、社内体制を整備しておくことが求められます。
そこで、本記事では風評被害が企業に与える影響と5つの対策をわかりやすく解説します。
風評被害とは?意味と定義
風評被害とはどのようなものをいうのでしょうか。真っ先に思い出されるのが、東日本大震災後に起き、いまだに続いている福島県についての風評被害でしょう。
さらに、新型コロナウイルスの感染者や感染者を出した施設・店舗に対する風評被害も記憶に新しいところです。
風評被害の定義は様々ですが、国が設立した「日本司法支援センター」によると次のように説明されています。
物やサービスにまったく問題がないのに、問題があるとの情報が流れた結果、消費者に問題があると認識されてその価格が落ちたり価値がなくなったりする被害
引用元:日本司法支援センター法テラス
風評被害とはどのようなものですか。中間指針では、どのように定めていますか。
https://www.houterasu.or.jp/saigaikanren/saigaiqa/qaindex/genpatsusongai/qa12_4index/qa12-21.html
根も葉もない噂話や不正確な情報が報道やネットなどを通じて流布されることで、企業や個人が社会的・経済的な被害を受けることが、風評被害の意味・定義となるでしょう。
風評被害の原因となり得る情報元
前述のとおり、風評被害とは根も葉もない噂話や事実と異なる情報によって引き起こされるものです。それでは、その風評被害の原因となる事実無根の噂話や正確性に欠ける情報はどこから発生するのでしょうか。
ここでは、風評被害の原因となり得る情報をパターン別に解説します。
ネット掲示板やSNSへの書き込み
風評被害の原因となり得る情報元として、ネット掲示板やSNSへの書き込みが挙げられます。
誰もが匿名で情報を発信できるようになった現代では、情報の真偽を確認することなく拡散してしまう人も多数いるのが現実です。ネット上の噂の拡散スピードは非常に速く、あっという間に広まってしまいます。
マスコミによる報道
風評被害はマスコミによる事実誤認の情報によって発生することもあります。
テレビや新聞などのマスコミの情報は、多くの人々が見たり聞いたりする機会が多いため、影響力も非常に大きいものです。テレビや新聞を無条件に信用した人が間違った情報を拡散してしまうことがあります。
検索エンジンのネガティブな情報
検索エンジンが風評被害の原因となる可能性もあります。企業情報を調べようと検索エンジンに打ち込んだ際、会社の悪評が書かれたサイトが検索結果に現れるのを見たことはないでしょうか。
また、関連ワードとして表示されるネガティブな言葉が原因で風評被害が広まることもあります。
人から人への伝聞
口から口に伝えられる情報も風評被害を生み出してしまうことがあります。地域に根ざしたビジネスを展開している事業者が被害に遭いやすいパターンで、「〇〇銀行が破産するらしい」、「どこどこのお店は傷んだ食材を使っている」といった噂話が典型的なケースです。
このような口コミの流布で、経営破綻に追い込まれるほどの被害が発生することがあります。
風評被害で企業に及ぶ影響とは
それでは、風評被害は企業にどのような影響を与えうるのでしょうか。考えられる影響をひとつひとつ見ていきます。
企業イメージの低下
風評によって企業イメージが傷付けられ、例えば「酷いことをする会社」という漠然とした悪いイメージで見られるようになる可能性があります。
売り上げの減少
小売業やサービス業であれば、企業イメージの低下は多かれ少なかれ客足に影響を与えることになるでしょう。
取引先からの信用低下
近年、自己防衛のため、悪い噂のある企業との取引を控える企業が増えています。企業イメージの低下とともに、取引先が離れていく可能性があります。
経営状態の悪化
顧客離れや取引先の離反は売り上げの低下に直結する問題です。放置すると、経営状態の悪化を招くことになりかねません。
優秀な人材の採用率低下
求職者の多くは、興味を持った企業の情報を事前にチェックするため、評判が良くない企業は避けられる可能性が高くなります。
企業が風評被害を受けた事例
それでは、実際に風評被害を受けた事例を解説します。どのような風評被害があったのかを3つの事例で見ていきましょう。
事例1:大臣の湿原による銀行取付騒動
1927年、昭和金融恐慌の発端になったのが東京渡辺銀行の事件でした。片岡直温大蔵大臣が「東京渡辺銀行がとうとう破綻を致しました」と衆議院予算委員会で発言したことから、日本で初めての取付騒ぎに発展し、後に東京渡辺銀行は本当に破綻してしまいました。この後、他の銀行でも取付騒ぎが発生しています。
事例2:同名企業の突然の閉店で被害に
成人式の当日に突然店舗を閉鎖したため、多くの新成人が振袖を受け取れないという事態に発展した「はれのひ騒動」は、いまだ記憶に新しいのではないでしょうか。この騒動に同名の企業が巻き込まれる形で風評被害に遭いました。
社名が同じというだけで、いたずら電話が200件以上、問い合わせの電話が100件以上掛かってくる被害に遭った企業もあるといいます。この同名の企業は社名を理由に提携契約交渉を白紙に戻されることもあったとのことです。
事例3:お菓子に芋虫混入の画像が拡散
皆さんも一度は口にしたことがあるであろうチロルチョコに、芋虫が混入していたというショッキングな情報がTwitter上で拡散されたことがあります。芋虫が混入していたチロルチョコの画像を添付したツイートは、一瞬で1万回以上リツイートされるほど話題になりました。
これに対しチロルチョコ側は画像を分析し、芋虫が混入したのは生産過程ではなく購入後であることを証明しました。この事例は、企業側が危機的状況を何とか回避した事例になります。
風評被害を受けた場合の対策方法
これまで見てきたように、現代社会ではいつ、誰が風評被害に遭ってもおかしくない状況です。ここでは、実際に風評被害にあった場合、どのように対処すれば良いのかを解説します。
風評被害の内容や情報源を確認
まず行うことは、風評被害の内容をしっかりと把握することです。どのような情報が流布していて、その情報の内容はどのようなものか、真偽はどうか、誰がどこで発信しているのかを把握することで、今後の対策を立てやすくなります。
また、日頃から自社に対する情報をモニタリングすることも重要です。小さな情報が拡散され、風評被害へと発展する可能性がありますので、どんな些細な情報でもチェックしておくことが望まれます。
クライシスコミュニケーション
クライシスコミュニケーションとは、リスクが発生した際、顧客や取引先、メディアなどに対して行う対外危機管理対応のことをいいます。万が一、事実無根の噂や憶測などが拡散された場合には、具体的根拠に基づく正確な情報を企業側からアナウンスすることが重要です。
さらに、ステークホルダーに正確な事実を知ってもらうことは、被害を最小限に食い止めるために欠かせない手続きとなります。
警察や相談センターにアドバイスを求める
風評被害が発生したとき、対応の方策を自社内で判断できない場合は、公的機関にアドバイスを求めて相談することも可能です。
窓口としては、各都道府県警察本部に設置された「サイバー犯罪相談窓口」や総務省の支援事業である「インターネット違法・有害情報相談センター」があります。
口コミの削除依頼・法的措置
風評被害の原因がネットにある場合、問題の投稿の削除は最優先に取り組む課題です。NS上やネット掲示板に書き込まれた口コミの削除を依頼する場合は、サイトの管理者に対して行います。申請が承認されれば、投稿が削除されます。
また、損害賠償の請求を念頭に置いて、サイト管理者に発信者情報の開示を求め、投稿者の特定を行うことも方法のひとつです。
弁護士に相談して解決を目指す
風評被害対策はある程度まで自社内で準備しておく必要があります。しかしながら、最終的な処理は法律に熟知した弁護士に相談することになるでしょう。弁護士は、法的な立場からSNSやネット掲示板上の投稿に対して削除依頼をすることもできますし、法的措置を前提とした個人情報の開示請求を行うこともできます。社内の風評被害対策チームと連携して、対策を練ることになるでしょう。
弁護士法人アークレスト法律事務所は、これまでネット上のトラブルの解決に鋭意取り組んできました。様々なケースに応じて適切な対応を提案することが可能ですので、風評被害や誹謗中傷対策にお困りの方はぜひお気軽にご相談ください。
監修者
野口 明男(代表弁護士)
開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。
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