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ストーカー規制法違反とは?逮捕・警告・禁止命令の流れと罰則を解説
2025.08.29
ストーカー被害は、被害者の生活や心身に深刻な影響を及ぼす深刻な問題です。このようなストーカー行為を取り締まるために制定されたのが「ストーカー規制法」です。
ストーカー規制法では、様々な行為を規制対象としていて、これに違反すると警察からの警告や公安委員会による禁止命令を経て、最終的に逮捕されることもあります。ストーカー被害からあなたの身を守るためにも、ストーカー規制法の対象となる行為や逮捕までの流れを理解しておきましょう。
今回は、ストーカー規制法違反として逮捕される可能性のある具体的な行為や警告・禁止命令の流れ、適用される罰則について詳しく解説します。
目次
ストーカー規制法違反で逮捕される可能性のある行為

ストーカー規制法では、特定の相手に対する恋愛感情その他の行為の感情またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、繰り返し行われるつきまとい行為などを「ストーカー行為」として定義し、これを禁止しています。
以下では、実際にストーカー規制法違反で逮捕される可能性がある代表的な行為について解説します。
つきまとい・待ち伏せ・押し掛け・うろつき等
もっとも典型的なストーカー行為が、つきまといです。つきまとう、待ち伏せる、自宅に押しかける、自宅付近をうろつくといった行為は、被害者に強い不安や恐怖を与えます。このような行為を繰り返すとストーカー規制法違反となります。
監視していると思わせるような事項を告げる行為
「お前が〇時にどこにいたのを見た」「今日は○○に寄っていたね」など、相手の行動を把握していることを示唆し、監視していると告げる行為も禁止されています。被害者が監視されているという恐怖を感じるため、重大な精神的苦痛を伴います。
面会や交際の要求
被害者が拒否しているにもかかわらず、「会いたい」「話したい」「付き合ってほしい」などの要求を繰り返すことも違法です。
恋愛感情や好意に基づいていたとしても、相手が望んでいない以上、それを繰り返すことはストーカー規制法に違反することとなります。
乱暴な言動
怒鳴る、脅す、大声を出す、「馬鹿野郎」等の粗暴な内容のメールを送るなどの乱暴な言動もストーカー規制法の対象です。
被害者が恐怖心を感じたかどうかにかかわらず、繰り返されるとストーカー規制法違反となります。
無言電話、拒否後の連続した電話・ファクシミリ・電子メール・SNSメッセージ・文書送信等
無言電話をかけたり、拒否されているにもかかわらず、連続して電話・ファクシミリ・電子メール・SNSのメッセージ・手紙などを送信する行為も、ストーカー行為とされます。たとえメッセージの内容が無害であっても、繰り返し行われることがストーカ規制法違反であると判断されます。
汚物等の送付
汚物や動物の死体などの嫌悪感を与えるものを送りつける行為も、ストーカー行為の一種とされています。精神的苦痛を与える目的で行われるケースが多いです。
名誉を傷つける
インターネット上で被害者の名誉を傷つける行為も対象となります。特に、SNSなどの不特定多数の目に触れる媒体での中傷は、被害が拡大しやすく深刻な問題につながります。
性的しゅう恥心の侵害
被害者の性的しゅう恥心を侵害する行為も、ストーカー規制法に抵触します。たとえば、盗撮やわいせつな画像の送付、卑わいな言葉を告げるなどの行為がこれに該当します。
相手方の承諾を得ないで、GPS機器等を用いて位置情報を取得する行為
被害者の承諾を得ずに、スマートフォンのGPSや車載機器などを利用して位置情報を取得する行為は、近年の法改正により新たに追加された禁止行為です。
被害者の行動を監視する目的で行われることが多く、強い恐怖感を与えます。
相手方の承諾を得ないで、GPS機器等を取り付ける行為等
被害者の所有物(車やかばんなど)にGPS機器等を取り付けて位置情報を取得する行為も違反とされます。これも近年の法改正により新たに追加された禁止行為です。
プライバシーの重大な侵害であるうえ、被害者に気づかれにくいため、悪質と判断されるケースが多くあります。
ストーカー規制法違反で逮捕されるまでの流れ|警告・禁止命令

ストーカー行為があったとしても、直ちに逮捕されるとは限りません。多くの場合、警察や公安委員会による段階的な対応が取られ、その中で「警告」や「禁止命令等」が重要な役割を果たします。
以下では、ストーカー規制法に基づく逮捕までの流れを説明します。
被害者による相談・被害申告
ストーカー被害を受けた場合、まずは被害者が警察に相談・被害申告を行います。
最寄りの警察署の生活安全課などに相談をすることで、捜査機関がストーカー行為を認知することになります。
このとき、被害の内容や継続性、証拠の有無などが重要となり、相談の段階で詳細な事情を説明することが求められます。
警察から加害者に対する「警告」
警察がストーカー行為の事実を把握し、かつ、加害者が更に反復してストーカー行為が行うおそれがあると判断した場合、まずは加害者に対して「警告」を発します。
これは法律上の強制力はなく、加害者にストーカー規制法に違反していることを認識させるための措置に過ぎません。ただし、警察が介入することで、加害者に「これ以上続けるとまずい」という認識を与えることができるため、この段階でストーカー行為がなくなるケースも少なくありません。
なお、警告を受けたにもかかわらず、ストーカー行為が継続される場合には、次の段階へ進むことになります。
公安委員会から加害者に対する「禁止命令等」
都道府県公安委員会は、ストーカー行為があった場合において、加害者が更に反復してストーカー行為を行うおそれがあると判断した場合、加害者に対して「禁止命令等」を出すことができます。禁止命令等には法的拘束力があり、これに違反すると刑事罰の対象となります。
禁止命令等が出た後もストーカー行為を繰り返している場合、逮捕される可能性が一気に高まります。
「禁止命令等」とは、加害者に対して、①更に反復してストーカー行為を行ってはいけないこと、②ストーカー行為を反復して行われないために必要な事項を遵守することを命ずるものです。
禁止命令等は、警告を行っても効果がない場合に行われることもありますが、警告が出されることなく行われることもあります。
禁止命令に違反したときは逮捕
都道府県公安委員会の禁止命令に違反した場合、逮捕に至るケースが一般的です。
また、逮捕後は勾留・起訴される可能性もあり、前科がつく可能性があるため、ストーカー行為を繰り返す加害者に対して強力な制裁となるでしょう。
緊急性があるときは警告・禁止命令なしで逮捕される可能性もある
ストーカー規制法違反で逮捕されるのは、警告・禁止命令違反した場合が一般的ですが、すべてのケースで「警告」や「禁止命令」が必要というわけではありません。
被害が差し迫っている、暴力行為が含まれる、被害者の生命や身体に危険が及ぶおそれがあると判断された場合、警告や禁止命令を経ずに、直ちに逮捕されることもあります。
このように、ストーカー規制法に基づく逮捕までには一定の手順がありますが、加害者側の態度や行為の内容次第で、警告なしにいきなり逮捕となる場合もありますので、ご自身の身を守るためにも早めに警察に相談することが大切です。
ストーカー規制法違反で警察に相談する際の注意点

ストーカー被害にあった場合、早めに警察へ相談することが大切です。ただし、警察に動いてもらうためには、いくつか注意すべきポイントがあります。以下では、警察での相談の際に押さえておくべき3つのポイントを紹介します。
ストーカー被害を受けている証拠を集める
警察が対応を検討するうえで重要になるのが、ストーカー行為の証拠です。被害を受けていることを客観的に証明できる証拠があると、警察も早急に対応しやすくなります。
たとえば、以下のような証拠が有効です。
・加害者から届いたメールやLINEのメッセージ
・無言電話や着信履歴のスクリーンショット
・つきまといや待ち伏せの様子を撮影した動画や写真
・SNSの投稿やコメント
・日時と被害内容を記録したメモ(日記)
このような証拠は、警察だけでなく弁護士に相談する際にも役立ちますので、なるべく多くの証拠を残しておくようにしましょう。
証拠を持参して被害申告をする
警察に相談に行く際は、事前に集めた証拠を必ず持参するようにしてください。「何度も無言電話がある」「毎日待ち伏せされている」と口頭で説明しても、事実確認ができなければ、警察は動いてくれないことがあるからです。
相談先は、最寄りの警察署の生活安全課が基本です。また、配偶者や交際相手からのストーカー行為である場合は、配偶者暴力相談支援センターや女性相談センターでも相談可能です。証拠を提示しながら被害の具体的な状況を説明することで、警察の対応がスムーズになります。
警察が動いてくれないと感じたときは弁護士を同行する
被害を訴えても警察の対応が鈍いと感じるケースがあります。そのようなときは、弁護士に相談し、同行してもらうことを検討しましょう。弁護士が被害の緊急性や法的観点を補足することで、警察が真剣に対応してくれる可能性が高まります。
また、弁護士は、ストーカー規制法違反による刑事告訴や接近禁止の仮処分の申立てなどの法的手続きを代理してくれるため、精神的な負担も軽減されます。被害が深刻な場合は、早めに専門家の力を借りることをおすすめします。
ストーカー規制法違反の罰則
ストーカー規制法に違反した場合、行為の内容や状況に応じて罰則が科されます。以下では、基本的な罰則と悪質なケースでの罰則をそれぞれみていきましょう。
【基本】1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
ストーカー規制法に違反するストーカー行為をした場合、原則として1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科されます。
【禁止命令等に違反した場合】2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金
公安委員会からの禁止命令を無視して、ストーカー行為を継続した場合には、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金が科されます。
禁止命令が出されたかどうかによって、ストーカー規制法違反の刑罰が異なり、より重い刑罰が適用されます。
ストーカー規制法違反の被害者が弁護士に相談するメリット

ストーカー被害に遭ったとき、警察への相談はもちろん重要ですが、弁護士に相談することで得られるメリットも多くあります。特に、法的手続きが必要となる場面では、専門的な支援が大きな力になります。
ストーカー規制法違反で逮捕してもらうための証拠収集のアドバイスができる
弁護士は、ストーカー規制法違反を立証するためにどのような証拠が有効かを熟知しています。被害者自身では気づきにくい証拠の集め方や保全方法について、的確なアドバイスを受けることができます。
これにより、警察への被害申告がより説得力のあるものとなり、迅速な対応につながる可能性が高まります。
警察に同行することで事件の緊急性・重大性を理解してもらえる
弁護士が警察に同行することで、事件の重大性や緊急性を客観的に伝えることができ、警察が本格的に動くきっかけになることがあります。
ストーカー被害を受けた方は精神的に不安定な状態でうまく説明できない場合も多いですが、そのようなときでも同行した弁護士が適切に補足してくれますので安心してください。
接近禁止の仮処分の申立てができる
弁護士は、ストーカー加害者に対する「接近禁止の仮処分」などの民事上の手続きを代理してくれます。これにより、加害者の接触を法的にブロックでき、被害者の安全を確保しやすくなります。
また、刑事告訴や損害賠償請求といった手続きについても、全面的にサポートを受けることができます。
ストーカー被害は、命に関わる深刻な問題に発展することもあります。警察だけに頼るのではなく、法律の専門家である弁護士と連携することで、より確実に被害から身を守ることができます。
まとめ
ストーカー規制法は、被害者の安全と平穏な生活を守るために制定された重要な法律です。つきまといや無言電話、GPSの取り付けといった行為は、内容や継続性によっては逮捕に至る可能性があります。
ストーカー被害を受けた際は、証拠を集めて警察に相談し、必要に応じて弁護士にも協力を仰ぎましょう。早めの行動が、重大な被害を防ぐ鍵となります。
ストーカー被害を受けてお困りの方は、弁護士法人アークレスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

監修者
野口 明男(代表弁護士)
開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。
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