悪徳業者から被害に遭ったら?具体的な対処法や相談窓口を解説
ネット上で個人情報を晒された!書き込みの削除方法や対処方法とは【2021年版】
2020.01.21誰もがSNSを使って情報を発信できる時代になり、投稿した本人に悪気はなくとも、他人の名前や学校名、会社名などの個人情報を勝手にネット上に公開してしまい、トラブルになるケースも散見されます。もし、ネット上で自分の個人情報を晒された場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
目次
目次
1.個人情報とプライバシー情報
氏名や住所、電話番号といった個人情報は、誰しもネット上でおおやけにされたくない情報ではないでしょうか。そして、ほかにも逮捕歴や出自、結婚・離婚歴、病歴などプライバシーにかかわる情報も暴露されたくない情報ではあります。では、個人情報とプライバシー情報はどのような違いがあるのでしょうか。
1-1.ネット上の個人情報にあたるものとは
ネット上で個人情報にあたるのは、以下のような情報とされています。
- 氏名
- 住所・本籍地
- 性別
- 生年月日、年齢
- マイナンバー
- 電話番号(固定電話・携帯電話)
- 勤務先
- 職業
- 収入額
- 家族関係
- メールアドレス(PC・携帯)
- 個人を特定できるIPアドレス情報
- 現在地(GPS情報等)
1-2.個人情報をネットに晒すとプライバシー侵害や個人情報保護法違反に
たとえばSNSで「友達の娘 〇〇ちゃんの学校行事に行ってきた」と写真つきで投稿すると、その子どもの名前や学校などの個人情報をネット上に晒してしまうことになります。このような場合、プライバシー侵害にあたる可能性があります。また、事業者が顧客の個人情報をネット上でだれでも閲覧できる状態にしてしまった場合、個人情報保護法違反にあたると考えられます。
1-3.個人情報とプライバシー情報の違いとは
プライバシー情報とは、みだりに公にされたくない私生活上の情報のことです。先ほど挙げた氏名や住所などの個人情報も、他人に晒されたくない情報なのでプライバシー情報であると言えます。
一方、「〇〇は被差別部落の出身だ」「〇〇は痴漢の容疑で逮捕されたことがある」「〇〇は整形している」などはプライバシー情報にあたりますが、これらは個人情報ではありません。したがって、「個人情報」と「プライバシー情報」は重なっている部分があると言えるでしょう。
2.個人情報の流出・晒しは犯罪にあたる場合がある
勝手に他人の氏名や住所、学校名などの個人情報をネット上にアップして他人の目に晒せば、場合によっては犯罪もしくは不法行為が成立することがあります。
2-1.名誉毀損罪
たとえば、重大な犯罪事件が起きた場合、まとめサイトが作られて「この犯人は〇〇市〇〇町に住んでいる」「犯人の父親は〇〇病院の医師」「犯人の妹は〇〇高校の2年生だ」など犯人だけでなく、犯人の家族の情報までもがネット上に晒されてしまうことがあります。この場合、犯人の家族にとって他人に知られたくない具体的な情報が摘示されており、社会的な信用をおとしめることになるため、名誉毀損罪が成立する可能性があります。
※名誉毀損罪については、下記の記事にて詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。2-2.個人情報保護法違反
事業者がネット上に個人情報を流出させ、だれにでも閲覧できるような状態にしてしまったら、個人情報保護法違反となります。この場合、個人情報保護委員会が事業者に対し、違反を是正するために措置勧告または措置命令を下すことがあります。措置命令に違反した場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。行為者のみならず法人自体も罰金刑に処せられます。これを「両罰規定」と言います。
2-3.プライバシー侵害にあたる可能性も
他人の個人情報をネット上に晒したり暴露したりすると、プライバシー侵害にあたることもあります。しかし、そのことでどんなに不愉快な思いをしたとしても、「プライバシー侵害罪」という名前の犯罪は存在しないので、プライバシー侵害で相手方を刑事告訴することはできません。ただ、プライバシー侵害に当たる場合は、民法上の不法行為が成立するので、相手方に慰謝料や損害賠償を請求することは可能です。
3.ネット上の個人情報流出・漏洩の被害事例
ネット上に個人情報が流出・漏洩された事件については、慰謝料・損害賠償額が数万円程度の低額なものから数百万円の高額なものまであります。ここでは、低額だったものと高額だった判例をそれぞれご紹介します。
3-1.ブログに判決書をアップして相手方の個人情報を公開した事件
裁判の当事者が判決書を自分のブログにアップし、相手方の氏名や住所を公開してしまう事件がありました。
ブログ主は「相手方の住所は登記簿や電話帳で公開されている」と主張しましたが、裁判所は「自宅住所情報は他者にはみだりに開示されたくないと考えることは不合理なものではなく(中略)プライバシーの利益として法的に保護されるべき」と主張。住所が公開されていたのは比較的短期間だったこと、訴状の送達によりブログ主が自主的に情報を削除したことから、裁判所はブログ主に対し被害者一人当たり6万円の支払いを命じました。
(東京地裁平成23年8月29日判決)
3-2.公安テロ情報流出被害国家賠償請求事件
2010年10月、日本に住む一部のムスリム(イスラム教徒)について、警視庁公安部が作成していたデータベースがファイル交換ソフトを介してインターネット上に流出した事件がありました。
掲載されていた情報は、氏名や生年月日、電話番号といった個人情報から身体的特徴や交友関係、モスクへの立ち入り状況など、テロリストもしくはテロリスト支援者であるかのような印象を与えかねないようなものだったのです。この情報は流出を止めるのが不可能なほど拡散してしまったことから、警視庁のある東京都に対して慰謝料500万円と弁護士費用50万円の支払いが命じられました。
(東京地裁平成26年1月15日判決)
4.ネット上で個人情報が晒された場合の対処法
ネット上で個人情報が晒されたら、何らかの不利益を被る前にただちに削除しなければなりません。すでに実害が発生している場合は、刑事告訴や民事訴訟をするために投稿者を特定する手続きを行うことも検討すべきでしょう。
4-1.投稿の削除依頼をする
まず、これ以上情報が拡散されないよう、投稿の削除依頼をします。問い合わせフォームがあればそちらからサイト管理者や運営会社(以下「サイト管理者等」)から、削除してほしい旨を伝えましょう。もしサイト管理者等がわからなければ、「whois検索」を使ってサイトのURLから管理者情報を検索することができます。
自力でサイト管理者等にコンタクトを取っても対応してもらえないことがありますが、弁護士に依頼すれば、対応してもらえる可能性が高くなります。また、裁判所の仮処分などの法的措置もとれるので、成功率を高めるためにも弁護士に相談するようにしましょう。
※プライバシー侵害情報の削除や仮処分に関しては、下記の記事にて詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。4-2.投稿者を特定する
個人情報がネット上に晒されて何らかの被害が生じている場合は、刑事告訴または慰謝料・損害賠償請求をするために投稿者の特定が必要となります。サイト管理者にIPアドレス開示請求を行ってアクセスプロバイダを割り出し、その後アクセスプロバイダに対して発信者情報開示請求訴訟を起こして投稿者の情報を開示してもらいます。
IPアドレス開示請求や発信者情報開示請求は裁判所で仮処分や訴訟の手続きを行うことが必要です。したがって、発信者情報開示請求を行うときには成功率を高めるためにも弁護士に依頼すべきでしょう。
※投稿者の特定方法に関しては、下記の記事にて詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。4-3.刑事告訴する
名誉毀損罪は、被害者が告訴しなければ投稿者を罰することができない親告罪です。そのため、書き込み内容が悪質で相手方を処罰してもらいたい場合は、投稿者を刑事告訴します。名誉毀損罪が成立する場合、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処せられます。
4-4.損害賠償請求訴訟を起こす
個人情報をさらされて何らかの損害を受けた場合は、慰謝料や損害賠償を請求するための民事訴訟を提起します。刑事告訴と民事訴訟は両方とも提起することが可能です。得られる慰謝料や損害賠償の金額は、公開された場所や期間、回数や範囲などを考慮の上、決定されます。
5.ネット上で個人情報を晒されたら弁護士法人アークレスト法律事務所に相談を
ネット上に個人情報をばらまかれた場合、悪徳業者に利用されたり、自分を良く思っていない人物から嫌がらせを受ける可能性もあります。被害をできる限り最小限におさえるためにも、ネット上に個人情報が晒されたら弁護士法人アークレスト法律事務所にご相談ください。
監修者
野口 明男(代表弁護士)
開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。
- 最新記事